東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第5回 浅漬けミックスの収穫と他の野菜の生長について(理:山本実永)

2022年11月10日 (木)

第5回報告(11月5日~11月10日)

こんにちは。山本である。久しぶりに木曜日に投稿できてよかった。冒頭の写真は、浅漬けミックスの鉢受けに使用したシシャモのトレーである。シシャモに粉チーズをかけて焼くと、魚とチーズの香りが合ってとてもおいしい。私はお酒を飲めないが、酒の肴にもいいかもしれない。読者の皆さんも一度お試しあれ。それでは第5回の報告を始めようと思う。今回は以下の4つについて書く。

 

 1 スタッフさんからの質問への回答
 2 収穫した浅漬けミックスを食べてみての感想
 3 朝霧の経過について
 4 浅漬けミックスの経過について

1 スタッフさんからの質問への回答

i)液体肥料についてだが、鉢花用かどうかがはっきりと分からない。植物全般用と書いてあり、「草花・野菜・ハーブなど、様々な植物に」と謳い文句が書かれている。下は私が使用している液体肥料の包装である。

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ii)寒さ対策の一環として袋をかぶせるということに関してお答えする。まず、今の換気の仕方について説明する。基本的に、私が家にいない時間は袋をかぶせているが、朝と夕方に30分程度袋を外して換気するようにしている。また、日差しがあり暖かいと感じる日には、袋を外して日に当てるようにしている。次に、厳寒期の換気について私が考えていることとしては、袋に小さい穴を開けるということである。ただ、これでは少し換気が足りないと考えるので、先達の記事を参考にしようと思う。何事にも先達はあらまほしきことなり、とはまさしくこのことである。

2 収穫した浅漬けミックスを食べてみての感想

 以下に書くことは個人の感想であるということを最初に断っておく。前回も記事にした通り、播種から23日目に当たる11月2日夜に浅漬けミックスを収穫した後、常温で放置したためしおれてしまった。常温保存は野菜によってはダメだということが身に染みた。下の写真は、11月3日時点の浅漬けミックスの様子である。

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そして、収穫した浅漬けミックスを実際に口にしたのは、その次の日の11月3日であった。だいぶしおれていたが、生のまま食べた。まずは味付けせずに食べた。しおれていたため、シャキシャキとした食感は失われていた。えぐみはなかった。味は苦みが強く、ドレッシングなしでは好き嫌いが分かれそうな味であると感じた。味については、小松菜とホウレンソウでいえば、ホウレンソウに近い味であった。次に、ドレッシングを付けて食べた。胡麻ドレッシングと本つゆで食べ比べたところ、胡麻ドレッシングの方が相性が良かった。今回はしおれてから食べることになってしまったが、次の収穫の際には新鮮な食感を味わいたい。

3 朝霧の経過について

 種の方は全く発芽しておらず、すでに発芽して育っているものの観察がメインとなる。今週の変化は新たに出てきた本葉が大きく生長したということだ。播種から26日目の11月5日の写真では、まだ最初の2枚の本葉が大きく写っているが、日が経つにつれ新しく出てきた本葉が目立つようになっている。上から11月5日、6日、7日、8日、9日の夜、10日の夕方に撮影した写真である。撮影時間に若干の振れ幅があることはご容赦いただきたい。この6枚を見比べると、最初に出てきた本葉の間から出てきた本葉が生長する様子を実感いただけると思う。

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下は、先ほどの写真とほぼ同じ時間に横から撮った写真である。上から11月5日、6日、7日、8日、9日の夜、10日の夕方である。

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また、最初の2枚と新しく出てきた本葉では見た目が異なるという点も興味深い。最初の2枚は滑らかで葉脈があまり目立たない。しかし、新たに出てきた2枚は一番太い葉脈のところが溝になっており、でこぼこしていてホウレンソウらしい外見である。下の写真は11月5日時点の様子である。浅漬けと書いてある名札の近くにある円い葉が新たに出てきた本葉で、それ以外の大きく写っているものが最初に出てきた本葉、細長いものが子葉である。

IMG_20221105_103259.jpgそれから1週間ほど見ているが、最初の2枚は相変わらず滑らかであり、新たに出てきた2枚はぼこぼこしている。市販のホウレンソウに滑らかな葉とぼこぼこした葉があるか、今度確認してみたいと思う。下の写真は11月10日時点の写真である。写真に向かったとき、左右に広がっている2枚の葉が最初に出てきた本葉であり、上下に広がっている2枚の葉が新たに出てきた本葉である。

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そして、播種から31日目の11月10日に観察されたことだが、2枚ある双葉の内1枚がしおれてきた。下の写真白線内。

InkedIMG_20221110_070828.jpgラボスタッフのオガタさんが指摘してくださったように、子葉が役目を終えたということのサインなのかもしれない。本葉が元気な分には問題ないが、このまま枯れるのか、一時的にしおれているだけなのかということを見ていたいと思う。

4 浅漬けミックスの経過について

 浅漬けミックスは、播種から23日目に当たる11月2日に収穫してから、8日が経過した。その間、驚くほど生長した。前回の収穫の際、収穫直前にもっと生長するということを期待して待つということをした。その時は10㎝前後で成長が止まったが、収穫後はめざましく背丈が伸び、播種から31日目に当たる11月10日には14cmに達している。おそらく、鉢から株が減ったため、一つの株が根を張れる空間に余裕ができ、より多くの栄養を吸い上げて生長したのではないかと推測している。下の写真は上から11月5日、6日、7日、8日、9日、10日の夜である。

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種が入っていた袋には「20cm位になったら」収穫と書いてあるため、さらに生長するか観察したいと思う。また、播種から27日目に当たる11月7日のことであるが、浅漬けミックスの葉のギザギザを触っていて痛いと感じた。これは、葉が元気に生長しているということの証であると考えている。

IMG_20221110_162620.jpgちなみに、浅漬けミックスは、円い葉のものとギザギザの葉のものと細長い葉のものの3種類の種が混ぜてあると観察を通じて気づいた。次に収穫する際には、それぞれの葉について食感や味を観察したい。

コメント

理学部 山本さん

育種の渡辺です。シラバスに書かれてあるペースで投稿して、フロントランナーですね。是非、このまま講義をリードして下さい。日中に日が当たると高温になりすぎることは注意かもです。温度計があれば、土日などに入れておいて、昼間に気温の確認というのはどうでしょうか。もちろん、先達の試みを確認することは、この講義を通じて、是非習得して下さい。

ホウレンソウの栽培は順調ですね。夕方、夜に撮影されているからか、少しくらい写真ですね。その当たりは少し工夫が必要ですね。ミックスは小さな植物での収穫ですが、一部を残して通常の栽培も可能です。どうすることが観察などをする上で楽しくなるのか、考えながら収穫をしてみて下さい。


わたなべしるす




山本さんこんにちは

 冒頭の話で、シシャモに粉チーズ...... むむむ、これほど予測がつかない組み合わせも珍しいですね...... それはともかく、「トレーが必要」というコメントに素早く反応してもらって感謝です。

 液体肥料はやはり「花」工場なんですね。リン分が多いので家庭園芸には好適です。余談ですが、植物はリン分をフィチン酸という化合物で蓄えることができます。このフィチン酸は動物が消化することはなく、余分なリン分を取り入れることがなくて済みます。

 もう一つの余談です。リン分は湖沼・河川の水質汚濁の原因になります。不足しているリン分が与えられると、爆発的に細菌やプランクトンが増えますから。そこで、よく学校などで「活性炭を播きましょう」「EM菌を播きましょう」とかやりますが、全く意味がありません。リン分や窒素分といった成分を除去しない限り、良くなりません。

 本当にオマケの話で、最近問題になっている「海洋マイクロプラスチック汚染」の問題ですが、この最大原因は農業です。農家の播くコーティング肥料(肥料をゆっくり溶かし出すためにプラスチックでコーティングされているもので、農家にとっては播く回数を減らせるので省力化になる)のためです。消費者のレジ袋などはほとんど関係ありません。

 さて、掛けてある袋について、そんなに取り外しする必要はありません。わずかな穴があれば結構です。普通にかけている限り、密封されているわけではありませんから、それで充分です。ただし、過去の受講生の記事では「動物と植物を混同している」人がかなり多いのです。植物は自分で熱を出しません。それに、必要なのは「光合成が可能な明るい日中に温度が保たれる」ことです。この目的を考えれば、自ずと最適解が見えてきます。

 浅漬けミックスを23日で収穫とは、非常に順調な生育でした。味が苦い......これは栽培種によるものか、肥料過多なのかは分かりません。植物は窒素分過多の場合、硝酸態窒素を葉に貯えます。植物にとっては窒素やリンは貴重なものなので、そういう貯える機構があります。その硝酸態窒素はエグ味になりますね。

 次にホウレンソウの生育です。

 実は、私も自分の庭に10/31にホウレンソウを播いてみました。14日後の現在、やっと発芽してきて子葉です。やはり気温が低いと発芽は遅いですね。

 

 記事では面白いことに、「一日ごとのタイムラプス状態」で表示しています。あまり日記調の報告は意味がないのですが、このタイムラプスはかなりいいと思います。

 本葉の形も変化しています。この後に出る葉はいっそうホウレンソウらしくなっているでしょう。ちなみに朝霧という品種はどちらかというと、日本ホウレンソウではなく西洋ホウレンソウの血が濃くなっています。西洋ホウレンソウに近付くほど、「葉が丸く」て「播き時を広くとれる」ようになります。

 話が浅漬けミックスに帰りますが、収穫という「間引き」をしたせいでしょうか、文中にあるようにめざましく成長しています。本当に素晴らしい結果になりました。20cmになる前に、混んでいるところを適宜収穫して取ってしまえば、残った株がますます生育するでしょう。収穫の大きさにこだわることはありません。大き過ぎても、柔らかさは減りますが、食べられます。

DSC_0014.JPG ではまた、記事お待ちします。

ラボスタッフ・オガタ