東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

生業、風潮、期待(10/10)

2017年10月10日 (火)

 高校時代、品種改良のテレビ(NHK特集「謎のコメが日本を狙う」)を見て、植物育種学を学んでみようと思った。大学で学んだ後、実際の現場で新しい品種を作って、それを「生業」にと思っていた。なにを違った方向に行ったのか、そんな学問を教育研究することが「生業」となっている。ただ、実際に品種改良をするのは、単純ではない。大学の後輩、高校の同期が実際の現場で品種改良をしているのを見ると、どこに目をつけるのか、何年先までに実現すればよいのか、いわゆる、経験と勘がものを言う。そう考えれば、特定の作目に限定したら、中小企業なのかも知れない。こんな品種改良の業界に限らず、市中の中小企業は、次世代への後継ということが大変な時代のようである。実際の品種改良の現場でも、経験と勘をどうやって後継に手渡すのか。。。AIができたとはいえ、難しい時代である。

20171010185038-fe77ecf2bac3cda6dc9b1b5d1ab628c459a35676.JPG 実際に品種改良をやっていたら、。。。「メロン」、「スイカ」をhandlingしたかった。カンキツという選択もあったであろうが、10~20年後の市場の要求を理解するのは、難しいと思った。実際、30年近く教育研究していて、20年ほど前にDNAシークエンサーの技術がここまで来ると思わなかったし、大規模dataを扱うためのコンピューターでの解析が必要になると思わなかった。もちろん、師匠である日向先生に大学1年のオリエンテーションで、統計学の重要性のことをいわれた。巨大な統計学と考えればよいのかも知れない。こんな大規模dataを扱うことが世の中の風潮になるとは読み切れなかった。。。

 そんな品種改良の現状に対しての期待なのか、象徴なのか、できた野菜に求めるものは大きい。栄養価についてのうわさもあるらしいというか、そういえば、聞いたことがあるような。旬という問題はあると思うし、旬が分からなくなってよいのかというのは、考えさせられる。直接、育種とは関係ないといわれれば、そうなのかも知れない。周年での栽培体系の問題でもあるので。いずれ、色々な技術にせよ、それを支える科学であれ、経験と勘であれ、何らかの形で継承されること、それが大事なことなのであろう。だからこそ、田畑まで出かけるときにもよく使われる「バイク」が国内生産にもどったとか。渡辺も学生の頃にはお世話になった。何を求めて、どうすればよいのか、そんなことを考えること。そんなことを考えながら、後期の展開ゼミにコメントしてみようかなと。品種改良、育種についての話題提供があったので、ふと。。。

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 わたなべしるす

 PS. 10月10日。昔であれば、体育の日。1964年の東京オリンピックを記念してのもの。何とかマンデー。だったろうか。その関係での祝日の移動。それはそれでよいのかも知れないが、何を意図しての祝日だったのか、それが分かるようにはならないものだろうか。。。




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