東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【アウトリーチ活動】愛媛県立丹原高等学校・特別講義、今治市立九和小学校・ふるさと出前授業、ふくしまサイエンスフェスティバル、兵庫県立豊岡高等学校・STEAM概論、福島県立安積高等学校・SSH特別講義、福島県立安積高等学校・SSクラス先進地域研修(12/4, 7, 9, 13, 14, 22追記)

2023年12月 4日 (月)

 12月2週目。今週の天気予報も最高気温は高め。最低気温との寒暖差が20oC近い日もあるらしく、少し冬らしくなったとはいえ、日中の気温は15oCくらいで、冬というよりは晩秋くらいの気温。植物の生長にはちょうどよい気温。様々な事案の合間を縫って、リモート、現地でのアウトリーチ活動。


 12/4(月):愛媛県立丹原高等学校・特別講義「植物の多様性を理解する-ダイズ品種をモデルとして-」

 福島大、農学部との共同研究を行っている「愛媛県立丹原高等学校」。ダイズの収穫がほぼ終わろうとしているこの時期に、今年度の活動を振り返るという意味で、「遺伝的多様性」、「品種」、「種子の重要性」について、圃場と室内での実習を交えての特別講義。担当の別府先生がnetを繋いで頂き、双方向性の確保。これも共同研究での生育調査、サンプリングなどで培ったシステム。ありがたいことです。ダイズ以外に栽培されているダイズ、トマトなども観察対象に。トマトがこの時期でも枯れずに緑体であるのは愛媛県の暖かさの賜物。

20231204110821-ede4bc0308d5021d179bf0290842ef367bd9b2c3.JPG ちょうど、種子の収穫時期であったことから、多様な品種を扱っているときに、品種間で種子が混ざらないようにすることなど、種子の扱い方についても。最後の質問の時間も講義、実習のことなどを踏まえたよい質問でした。

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 12/7(木):今治市立九和小学校・ふるさと出前授業「花の不思議な世界」

 今年の「ふるさと出前授業」もこの日の九和小学校で最後。研究室のスタッフに手伝って頂き、プレゼンとホワイトボードを切り替えで使えるように設定。できるだけ、現地で講義をしている感じを出せるように、工夫を。単にプレゼンと話をするだけよりは理解が進むだろうと。ところが、最初の接続のところでトラブル発生。スタート時間が10minほど遅くなっての授業開始に。申し訳ありませんでした。

20231208085105-979c9abea23ac0b87a3902720256a62f8418d717.JPG で、講義の内容は、花が形成されてから受粉、受精に至る過程でどんなことが起きているのか。その内容をリンゴをモデルに考えるという講義。現地で行っていた当時は、玉川中、鴨部小との合同でしたが、リモートの利点を活かして、今回は九和小に。理科の教科書では「受精」を学習するのは「動物であるメダカ」をモデルに。では、植物は受粉はするけど、受精はどうなのか。そんなところを入口に。最後は自家不和合性についてもその意義をしっかり考えてくれました。また、最後の質問、感想のコーナーでもしっかりとした内容でした。これからも頑張ってください。ということで、今年のふるさと出前授業のシメにふさわしい講義でした。ありがとうございました。次年度は半数くらいを現地でできればと思います。

 PS. そういえば、月曜日の12月4日の出前講義でお世話になった先生の母校が九和小学校だったような。こうして記事が並ぶのも不思議なご縁かなと。


 12/9(土):ふくしまサイエンスフェスティバル

 コロナ禍のリモートでの実施を含んで、今年で12年連続の参加となる「ふくしまサイエンスフェスティバル」。「バナナ」からDNAを取ってみようという毎年恒例の企画。科学に興味がある子供たちに「科学の楽しさ」を伝えるこの講座。渡辺の講座を含めて、福島高、橘高、福島東高、福島大から10余りのイベントがあり、1日いて、それぞれのイベントを楽しむ時間があればよいのにと思ったくらいでした。

20231209164736-a13138f80073242533d6d3b6bf1eae96e094909c.JPG 今年はtotal 5回の実施でしたが、100人を超える皆さんに実験の意図は伝わったのではないでしょうか。また、今年も福島高校の1年生にお手伝い頂きました。ありがとうございました。去年のお手伝い頂いた生徒さんとは、またひと味違った生徒さんたちで、とても頼もしい限りでした。お世話になりました。

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 12/13(水):兵庫県立豊岡高等学校・STEAM概論「身の回りの不思議を実感し、なぜと思う心を醸成する」

 兵庫県立豊岡高等学校へのアウトリーチ活動は今年で12年目。途中、コロナ禍での中断がありましたが、出前講義、研究室での実習、リモートでの講義など。今年度も昨年度と同じように、前半を農作物の可食部の観察と分類。後半は植物の生殖とキャリア形成についての講義。トマト、オクラ、ズッキーニなどに加えて、沖縄からトウモロコシ、スイカも取り寄せて頂きました。トウモロコシは各班ごとに解剖できるくらいの数。いつもなら可食部を覆っている葉(ハスク)と絹糸(シルク)を無造作にむしり、ゆでると思いますが、その部分が雌蕊の先端部分であり、受精に重要であることを理解してもらえたのではないかと。これも「本物」の力だと思います。ありがとうございました。分類は生き物を学ぶ上での基礎になるものです。豊岡の自然をしっかり観察して、そうした点を身につけてほしいと。そんな植物の生殖については、本学のPodcast「東北大学の研究第一」で聞くことができますので。是非、振り返りなどに活用ください。

20231213172318-a9b9723733604d435dae76ee24adf625e637c6fd.JPG 後半のはじめに、果実ができるまでの受粉などに関する講義をしたあと、渡辺をモデルにしたキャリア形成についての講義。将来を考えることにつながっていることを実感できたでしょうか。いろんなきっかけが身の回りにありますので。それをしっかりつかんで、これというものにして下さいと。最後の質問の時間。とても積極的で。その力を次年度からの課題研究に活かして下さい。もちろん、発表会も楽しみにしていますので。

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 12/14(木):福島県立安積高等学校・SSH特別講義「将来に向けたキャリア形成と『考える基礎』となる課題研究のあり方」

 仙台も冬らしい気温になりそうで、明日の金曜日は最高気温が6oCとか。一方で、今日14日、明後日の土曜は12oCが最高気温。体調管理がかなり大変な今年の冬。この程度の寒さで終わると思えないし、雪らしい雪も振っていないので。緊張感を持った年末になりそうな2023年12月。前日はリモートで兵庫県立豊岡高等学校への出前講義。今日は福島県立安積高等学校へ。伺うことを計画していたのですが、事案の重なりなどがあり、リモートでの講義をお願いすることに。前日の豊岡高校もそうでしたが、安積高校も1クラス向けの講義。クラス全体の雰囲気がわかり、1学年という単位だと雰囲気がつかみにくいですが、その点はコロナ禍を受けてよい形で準備頂きました。ありがとうございました。

20231214163130-ced3ce9f57a99be1496f77354168cb961a1c200a.JPG 講義の内容は前半に「課題研究の意義とその実施」。後半は「渡辺のこれまでのキャリアを踏まえての進路選択というか、キャリア形成」をどのように考えるかという講義。リモートであっても可能な限り、双方向性を維持するために、質問をして答えてもらう、挙手してもらうなど。また、渡辺のしゃべりの時間はできるだけ削減して、質疑応答の時間を長めになど。ある程度、臨場感があったのではないでしょうか。また、このクラスは昨年末に研究室見学で渡辺の話を聞いてくれていたのも、効果的だったのも知れないと思いつつ。質疑応答の時間、結構シビアな問題、議論に発展したのは普段から将来の自分のあり方を考えているからだろうと。そんな思いを大切にして、課題研究、受験に向けた1年間を頑張ってください。今日の講義の振り返りには先週から公開されているPodcastの「東北大学の研究第一」を明日の金曜日、来週の金曜日とあわせて聞いて見て下さい。

 PS. 来週には、1年生が研究室見学にという予定。楽しみにしております。

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 12/22(金):福島県立安積高等学校・SSクラス先進地域研修

 コロナ禍も何とか実施し続けた福島県立安積高等学校「SSクラス先進地域研修」も今年で4年目。課題研究を行う上で、1つステップが上の大学の研究室などを見て、研究に対するイメージを持ち、大学の教員などとの議論を目的とした「SSクラス先進地域研修」。3つのグループに分かれて、工学部、農学部と生命科学研究科を見学。理工系と生物系に分けると、生物系が被るので、片平キャンパスという研究の歴史遺産があるところを重点的に、最後は渡辺の研究も見てもらうように。

20231222175438-fa681ddecc03d4231508b7a6857c91068b312196.JPG20231222175451-21497c28c92d174ebc408ce94deb1557e6d5e1eb.JPG 大学の正門、樹齢200年のイチョウ、アブラナ科植物の多様性、実学を研究することの意義、多様性ある人材の受入等、これからの研究を考えるヒントはいくつかあったのではないでしょうか。来年、講義をするときにも、今回のことを是非、イメージしてください。

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 わたなべしるす




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