東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

コムギ3 徐々に成長しています(農:土肥裕花)

2016年12月15日 (木)

こんばんは。前回、近日中にコムギの報告も、と書きましたがあっという間に1週間が経とうとしています。まだぎりぎり「近日中」の範囲内でしょうか。

冒頭の写真は、コムギの根を撮ってみたつもりです。この根は鉢の中央に浅く植えた種のものです。普段植物を観察しているとあまり根は気にとめなくなってしまうので、よく考えたら、根がどのように張っていくのか知らないなと思い写真に残しました。この後根の部分は土をかけて埋めたので、もう掘り返さないとみることはできませんが、元気に伸びていってくれていると信じています。

コムギは順調に成長していて、先日発芽率が100%になりました。

発芽の順番に従ってコムギに番号を振りました。・は目印の爪楊枝です。

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最初、なぜか鉢の左側ばかりで発芽して、右側が発芽しませんでした。本当に原因かは分からないですが、鉢の左右の表面の土を見比べたところ、右側に土ではない、土に混ぜられているもの(籾殻らしきもの、繊維状のものなど)が集まっていました。これらが水を表面で吸ってしまっているために水が種まで十分に行き渡らないのではと考え、これらをよけて土寄せがてらホウレンソウの鉢に入れました。その後右側も無事発芽し始めたのですが、ホウレンソウの鉢へ移すときに混ざってしまったのか、気づいたらホウレンソウの鉢でも1つ発芽していました。

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根を傷つけないように取りだして、これがどこの種か分からなかったのでまだ発芽していなかった右側の、種を埋めた2カ所の中間に植え直しました。⑩が変な位置にあるのは、そのためです。

また、あまりにも間が空いてしまったので、本日1215日までのコムギの成長・水やりのタイミングをカレンダーにまとめました。

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前回も書いたように、水不足が発芽しなかった原因の1つのようで、水やりをする度に新しく発芽していました。なぜ一気に発芽せず、23個ずつだったのかが不思議です。発芽率が7割ほどになるまでは、発芽の数を増やすことを優先させようと考え、ちょっと多いかなと思いつつ1週間に1度のペースで水やりをしていました。発芽の数を増やすことはできましたが、予想していた通り、初めのほうに発芽したものがかなり徒長してしまいました。今後はもう少し頻度を減らした方がいいかなと感じています。

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カレンダー中に書いてある展開というのは、上の写真のように二枚目の葉っぱ(1枚目の本葉)がでてきたことです。ホウレンソウの本葉のように、二枚の子葉の間からだんだん大きくなってくるのではなく、子葉にくっついていた葉が離れていく感じで本葉が出てきました。

また、いくつかのサイトを見たところ、寒さも生育(耐寒力を付ける・出穂など)に必要な条件とのことだったので、122日に今まで室内に置いていた鉢をベランダに出しました。冬期の気温が高いことも徒長の原因となるようなので、外に出したことでも徒長が抑えられるといいなと考えています。見た感じコムギが弱っている様子は今のところなさそうですが、前回のオガタさんのコメントで「鉢の場所を頻繁に変えるのは北海道と沖縄を往復させるようなもの」とのご指摘を頂いていて、思い当たる節が多々あったので反省しています。今後コムギは基本的に鉢を屋外に置きっ放しにする予定です。

徒長してしまったことに関連して、初めの方に発芽した①~⑤について、少し早いですが麦踏みを行いました。麦踏みは、日常生活ではあまり聞き慣れない言葉だと思うので最後に少しまとまった説明をつけました。発芽したばかりの個体もあって鉢に足を突っ込むことはできなかったため、中身の入った500㎖ペットボトルで押してみました。①~④は本葉の2枚目がでていました。

まずこちらが、麦踏み前の鉢です。

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麦踏みをしました。

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しっかり倒れるまで押しましたが、1週間半ほど経った本日1215日にはもう、すべての個体が元通りまっすぐになっていました。

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特に①や②は徒長の度合いが大きく、長さの割に茎が細かったのでちゃんと起き上がってくるのか心配でしたが、大丈夫でした。私の栽培技術の未熟さを植物の生命力に何度もフォローしてもらっているなと感じます。

コムギは、ちゃんと栽培できていれば冬の間はあまり草丈が成長しないはずなので、何回か草丈を測って観察しまた投稿しようと思います。

麦踏みとは

徒長生育を抑え、耐寒力を強くし、分げつ(茎の枝分かれ)を促進するために麦の苗を踏みつけること。茎立ち(根元から幼穂の部分が2㎝ほどになる)の時期までに3~4回行う。最初の麦踏みについては、サイトによって「本葉の3枚目がでたとき」や「草丈が5㎝頃」などいくつかの基準があった。※今回は草丈があまりに伸びてしまったので特に大きい個体についてのみ麦踏みを行いました。

最後に、前回の投稿へのコメントについて少しだけ。

前回頂いたコメントを読み、すぐにホウレンソウに水やりをしました。ホウレンソウには申し訳ないことをしました・・・。帰省は10日間ほどなので、鉢を持って帰るか、2週間持ったことを信じて置いていくかで迷っています。ご意見を伺いたいです。

また、スプラウトは2日に一回の水替えで、今のところ順調に成長しています。

今回はかなり長い記事になってしまいました。1ヶ月コムギの投稿を滞らせてしまったのは良くなかったなと反省しています。今後は、変化があったらなるべく早く投稿するよう心がけようと思います。それでは、今日はこのへんで失礼します。

コメント

土肥さんこんにちは。

 今回の報告は非常に細かくて、写真も多く、わかりやすいものです。この後もご報告お待ちしております。

 さて、発芽の様式から、すぐさま自分で原因を類推したのはよかったですね。そして行動、結果判定まで。カレンダーにきちんとまとめてあるのも大変良いことです。それで植物のことですが、土に偏りがあることはしばしば見受けられますが、本当ならそんなに問題にはなりません。心配なのは水やりの量です。きちんと鉢のウォータースペース(土と鉢の上縁までの間)いっぱいまで水をやり、鉢底から水が出るのを確認していますでしょうか。一枚目の写真では植物の周りしか湿ってないように見えますので。

 発芽のタイミングにずれがあるのは、普通です。それが植物の生存戦略というものです。軽い雨が降ったり、あるいは岩についたごくわずかの土に落ちた種、いち早く目を出して生長するのが有利な場合もあります。しかし、充分な雨、あるいは生育に適した土に飛ばされるまでしっかり待ってから発芽した方が有利な場合もあります。早すぎると干からびる可能性がありますので。そこで植物は発芽の早い種、遅い種をばらばらに混ぜてどちらにでも対応できるように戦略をたてています。

 しかし、人間が栽培するのには生育がそろっていた方が都合がいいので、そういったばらつきは極力減るようにされています。なので、この場合について早い遅いは水の偏りだと思います。水やりは他の報告者でも多く教授がコメントしていますので見てみて下さい。たいていの人は水やりが多すぎですが、ここでは週に一回というのも少ないような気がします。ちなみに徒長の原因はほとんど日照不足ですので、水を減らして対処するものでもありません。

 麦踏みはよく調べられましたね。教授が言うには、ストレスによる遺伝子修飾とその発現調節らしいですね。詳しくは私も知りません。

 仙台の曲がりネギを知っていますか?冬の初め、ネギを抜いて、畑に斜めにして埋め戻すという、伝統の栽培法です。わざと重力屈性をかけ、そのストレスのためネギが甘くなるそうです。

 繰り返しですが土が白く乾いてきたらすぐ水を上げて下さい。帰省中の10日程度でしたら、しっかりと水をあげて鉢受けに腰水にすればこの場合全然大丈夫です。まだ植物が小さいので。

また、スプラウト報告下さい。 ラボスタッフ・オガタ