東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第2回 春くん(キャベツ)・大ちゃん(かいわれ大根)共に発芽を確認(文:坂谷日向)

2018年10月 8日 (月)

 みなさん、こんにちは。

 文学部1年、坂谷です。ある調査をするために、30分ごとに寝ては起きてを繰り返していたので、とても眠いです。加えてデータが2回飛びました。本来なら6日の深夜にはあげられたのに...! 発狂しそうでしたが、これは神様から寝ろと言われているのだと思い諦めました。そして、頭もすっきりしている8日16時15分現在、一昨日の内容を思い出しながら、記事を書いていこうと思います。これからはこまめに保存します。皆様もお気をつけて...。

 2日も経てば、野菜たちもずいぶん生長するので、筆が追いつきません。いくらメモをしているとはいえ、早め早めに書いておくにこしたことはないと思うので、この記事をアップロードしたら、すぐに次の記事を書き始めたいと思います。連続での投稿となってしまうかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。

 さて、先日アップしたとき、オガタさんに「直ちに種まきをした方が良い」というアドバイスいただいたので、10月5日の夜9時半、春くんと大ちゃん、両方とも種まきをしました。今日はその様子に加え、上記したある調査について、さらには早くも発芽したのでその様子についても触れていこうと思います。


★本日の内容★

1.種まきの様子〔1-1春くん(キャベツ)、1-2大ちゃん(かいわれ大根)〕

2.種子の観察〔2-1春くん(キャベツ)、2-2大ちゃん(かいわれ大根)〕

3.室外気温・湿度と室内気温・湿度の調査

4.発芽の様子


1­-1.春くん(キャベツ)の種まきの様子

 最初の講義で頂いた2枚のろ紙を水道水で濡らし、たぷたぷに水を含ませました。それを同じく頂いたシャーレに入れ、100均で購入したピンセットを使って種子をその上に移動していきます。pinsetto.jpgのサムネイル画像 全体に満遍なく、合計11粒捲きました。種まきが完了したのは、10月5日の午後9時半頃。室温は24度、湿度は60%でした。kyabetu.jpg 2016年度の福島さんの記事このサイトを参考に、シャーレの蓋は閉めたまま、日光があたる机の上に置きました。また、キャベツは好光性のため夜間でも光を当てた方が良いかと思い机のスタンドライトを当てました。自然の光ではないので少々不安でしたが調べてみると、キャベツの種子はどの色(波長)の光を当てても大して変わりはないそう。(高校生の実験結果のPDFから)syoumeidayo.jpgのサムネイル画像 

1­-1.大ちゃん(かいわれ大根)の種まきの様子

 最初の講義で頂いた資料(パッケージのコピー)によると、容器の底にスポンジやキッチンペーパー等を敷くらしいのですが、ここである疑問が。その後の説明も読んでいくと、どうやら十分な水分を確保し、根を張らせるためにスポンジ等が必要なみたいでした。つまり、水分を含みやすく、かつその水分が抜けにくく、さらに根もある程度しっかり張れるものであれば、なんでも良いのではないかと思ったのです。加えて、以前SNSで「好きなキャラクターのぬいぐるみにかいわれ大根を植えている友人がいる」という投稿を見て以来ずっと気になっていたので、この機会にいろいろと試してみることにしました。

 まずは条件を揃えるために、ピンセットを購入したのと同じ100均で透明コップを購入し、観察しやすいように1cm間隔で線を引きました。しかしながら、よく考えてみるとスポンジ等の高さを考慮していなかったので、あまり意味がないことに気がつきました...。凡ミスです。根がある程度しっかりしてきたら、反対側にでも再度引き直そうと思います。

koppu.jpgのサムネイル画像 私が選んだのは①スポンジ(ナイロン不織布・ポリウレタンフォーム)、②キッチンペーパー(牛乳パック類再生パルプ)、③コットン(綿)、④手芸わた(ポリエステル)、⑤ぬいぐるみ(ポリエステル)の5種です。なお、⑤は④のわたとカラーフェルト(ポリエステル)で大ちゃんぬいぐるみを自作しました。...少々不格好ですが。5syurui.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像ninngyou.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像のサムネイル画像 それぞれ水で濡らしてひたひたにしてから、容器の底に敷き、その上に種子をまきました。また、種子がまだ余っていたので、2016年度の開田さんの記事を参考に⑥ザルに、最初の講義で頂いた透明コップを用いて⑦パフ(合成ゴム・天然ゴム)に、それぞれ種子をまきました。

67dayo.jpgのサムネイル画像 なお、開田さんはザルの上に洗った三角コーナー用のネットを用いていましたが、私の場合編み目が大きすぎて種子がこぼれ落ちてしまったのでザルのみにしました。パフの方は①~⑤までの教訓を生かし、パフの高さを考慮してメモリを書き入れました。種まきが完了したのは10月5日の午後11時半頃。室温は23度、湿度は68%でした。

 同じく頂いた資料によると、20℃~25℃の暗所に置くのが良いそう。そこで、①~⑥を段ボールで覆い、さらにタオルを被せて、隙間を塞ぎました。

dannbo-ru.jpgのサムネイル画像 

2-1.春くん(キャベツ)の種子の観察

 まず本来の種子の色を調べるために、湿らせたコットンで種子を擦ってみました。最初は割とすぐに色が落ちてきたのですが、ある程度のところまでくると全く落ちなくなりました。格闘すること数分。

irooti.jpgのサムネイル画像 若干青いところも残っていますが、消毒を拭き取った種子の皮の色は黒寄りの焦げ茶色でした。大きさは約2mmと消毒されているものと大して変わらないので、消毒のコーティングはそんなに厚くないよう。

 続いて、種子を半分にカットしてみました。


katto.jpgのサムネイル画像
 向かって右側の方には中心から定規側に向かって白い線があり、向かって左側の方は皮と中身の間に白い線(膜)のようなものがありました。

 さらにカッターナイフとピンセットを使って、皮をむいてみました。


kawatonakami.jpgのサムネイル画像
  中身の色は黄色、皮の内側は黒に近い焦げ茶色でした。一口に黄色といっても漠然としているので、こちらのサイトで1番近い黄色を探したところ、玉蜀黍(トウモロコシ)色が最も近い色でした。ついでに皮の方も調べてみたら、檳榔子染(びんろうじぞめ)が1番近い色のようでした。なお、中身の直径は約1.5mmと、皮をむく前(約2mm
)より少し小さくなりました。皮の厚さがどこも均等だと仮定すると、皮の厚さは約0.25mmということになります。思っていた(0.1mm程度だと思っていました)よりも厚く驚きました。ちなみに皮、中身共に無臭でした。

 また、中身をよくよく見てみるといくつか線が入っていたので、何層かに分かれているのかもしれないと思い、ピンセットを用いて1枚1枚剥いでみました。

4sou.jpgのサムネイル画像 4層に分かれており、上から1、4枚目の厚さが0.1mm、2、3枚目はもっと薄く、私の持っている定規では計測できませんでした。3枚目には棒のようなものがあり、4枚目にも繋がるように感じました。もしかしたら、剥いでいく作業の途中でちぎってしまったのかもしれません。今後、こういうことをするときはもっと慎重にならねば...。

 

2-2.大ちゃん(かいわれ大根)の種子の観察

 大ちゃんの種子は水に浸しただけで、皮がつるりとむけました。

daichan.jpgのサムネイル画像 中身の直径は4mmと皮をむく前(3mm~4mm)と大して変わらず、春くんとは違い皮はずいぶん薄いようです。(※少し(5分程度)水に浸したので、種子が水を吸って若干膨張した可能性もありますが、今回はそれを考えずに計測してしまいました。)春くんの時と同じサイトで、中身と皮に近い色を探したところ、中身の方は花葉(はなば)色に、皮の方は代赭(たいしゃ)色にそれぞれ1番近いことが分かりました。

 また、中身の方をよく見てみると、春くんの時よりもくっきりと4層に分かれているのことが分かりました。

atsusa.jpgのサムネイル画像 これも、ピンセットを用いて1枚1枚剥がしてみました。

4soukouzou.jpgのサムネイル画像 1、4枚目の厚さは0.5mm、2、3枚目の厚さは0.1mmでした。春くんと同じように、3枚目には棒状のものがあり、4枚目にも同じものが。3、4枚目はこの棒状のもので繋がっていたのかもしれません。また。3枚目の向かって左の隅の方には綿のようなものがありました。少し汚いですが、乾いた耳くそという表現が1番しっくりきます。こちらも無臭です。

 

3.室外気温・湿度と室内気温・湿度の調査

 リンクを探しきれず申し訳ないのですが、過去の先輩の記事に対するコメントで、温度管理と水やりが大切だということを知りました。そこで1時間おきに室外気温・湿度と室内気温・湿度を丸一日計測しました。冒頭に書いたある調査とはこのことです。

mezamasi.jpgのサムネイル画像 使用したのは、温度・湿度が測ることができる目覚まし時計。高校の皆勤賞の記念品です。目覚ましでは1回も使ったことはなかったけれど、こんなところで役に立つなんて。ありがとう、母校。とはいえ、説明書によると厳密な温度管理・証明には使えないよう。あくまでも目安として、栽培に役立てるつもりです。

 計測時間を30分ずつずらして、室外と室内を交互に計測しました。上のグラフが室内、下のグラフが室外の計測結果で、青線(左側の目盛り)が温度、オレンジ線(右側の目盛り)が湿度を表しています。sitsunai.jpgsitugai.jpg

 5日21時に室内温度・湿度を計測し始め、5日21時半に室外温度・湿度を計測し始めました。11時に計測し忘れたため、そこから30分ずつ繰り下げています。また、より実際の温度に近づけようと室外気温を測るときに日光の当たるところに置いてしまい、13時に計測不可能(温度50℃以上、湿度20%未満)になりました。急いで日陰に移動し、13時半から計測を再開したため、そこでもまた30分ずつ繰り下げました。

 室内の最高気温は6日15時の28.6℃最低温度は6日0時の23.3℃最高湿度は6日20時の76%最低湿度は6日14時の60%でした。

 室外の最高気温は6日13時半の33.4℃最低気温は5日23時半の19.5℃最高湿度は6日21時半の82%最低湿度は6日13時半の45%でした。

 タキイ種苗さんの家庭菜園野菜栽培マニュアルのキャベツの欄をみてみると、キャベツの発芽適温は15℃~25℃、生育適温は15℃~25℃、結球適温は13℃~20℃。結球はまだ先なのでなんともいえませんが、発芽、生育は共に最低気温はクリアしているので、最高気温に気をつけつつ栽培していかなければなりません。とはいっても、これからはどんどん気温も下がってくるので、簡易温室などの自作も考えつつ、野菜に向き合っていこうと思います。

 

4.発芽の様子

 5日に種子をまきましたが、翌日の11時半過ぎには大ちゃん(かいわれ大根)が、17時半過ぎには春くん(キャベツ)が発芽しました。いやはや、こんなに早いとは...! 同じくキャベツ育てていた福島さんの記事をよく参考にさせて頂いているのですが、彼の場合はシャーレに入れてから5日後に発芽していたので本当に驚きました。種子をまいた時期も関係しているのでしょうか。ちなみに私は10月5日、福島さんは10月7日でした。年によって多少の気温等の差はあるかもしれませんが、2日でこんなに違うのか! なにはともあれ、無事に発芽して良かったです。

 一足先に発芽した大ちゃんの様子はこちら。(それぞれ1番生長しているものを選びました。)

daitann1.jpg ざる、キッチンペーパー、綿、スポンジ、コットンには3mm~4.5mm程度の発芽を確認できますが、パフとぬいぐるみは皮がむけ始めた程度です。一抹の不安を抱えつつ、とりあえずは経過観察してみようと思います。zaru.jpg ざるの種子をよく見てみると、2枚目と3枚目の間が開き、棒状のもの(おそらく根)が飛び出していました。これがあるために、2、3枚目は1、4枚目より薄かったのでしょうか。

kirihuki.jpg

 頂いた資料に従い、100均で購入したきりふきで種子がしっとりと濡れるまで水を与えた後、再び段ボールで覆いをしました。

 そして17時半過ぎにもう一度覗いてみると、さらに生長していました。daityan.jpg 不安だったぬいぐるみも無事に根が伸び始め、全体で3.4mm~8mm程度まで伸びていました。パフだけがまだ発芽していませんが、もう少し様子を見てみます。原材料がゴムなので発芽出来ないのでしょうか...。

 同じく17時半過ぎには春くん(キャベツ)の発芽も確認しました。

harukunn.jpg 2mm程度でしたが、確かに発芽しています。このあと21時過ぎに鉢植えへの移動も行ったのですが、それは次回の記事に回すこととします。


●今日の画像●

 今回の記事の最初に使った画像は、おにぎりにのりで顔をつけたアンパンマンです。眉が下がってしまい、なんだかしょんぼりしているような表情に。父がアンパンマンおにぎりを作ってくれたときはもっと本物っぽかったのにな...。帰省したときにでも、コツを聞いてみようと思います。次回は青い猫型ロボットに挑戦します。お楽しみに!

 

★次回予告★

・春くん(キャベツ)の移動

・大ちゃんの生長記録

 

 最後までご覧くださり、ありがとうございました。

コメント

坂谷さんこんにちは

 そうです。まめに保存して下さい。とんでもないときにとんでもないこと(卒業間近の卒業論文とか)が起こるものです。

 さて、よくこのためにピンセットを買われました。

 キャベツ、好光性種子ですね。ただし最初に発芽が決定されればいいだけです。高校生物の範囲で言うと種子に感光性のフィトクロームというものがあり、それが光で変化して発芽スイッチを入れます。逆に遠赤外光でスイッチをオフにします。

 何の意味があるかというと他の植物が茂っているところで発芽しても成長できずに終わります。そこで他の植物が無いのを感知して発芽させるためです。しかも太陽光は植物の葉を通ると遠赤外光が残りますのでそれで発芽させなければ完璧です。そういう生存戦略の一環なんですね。よく畑で一生懸命雑草を取ってもすぐ生えてくるのは、発芽していなかった種が光で発芽を始めるためです。

 植物には逆に暗光性種子というものがあり、それはそれで生存戦略上の理由があってのことです。

 話は戻りますがそのスイッチには強い光は必要ありません。しかしよくその文献を引っ張ってこられましたね。

 スプラウトの実験も面白いですね。いきなり五種というのも凄いです。そのぬいぐるみについては、何ともいえません。その五種にしたのは、吸水性の違い(ポリエステルやコットンは吸水性)なのか、あるいは純粋に実用上の最適を見つけるためなのかもしれません。まあ、これが科学実験なら何の条件を変えるか意図を持ち、意図しない条件を変えないように、そこから材料を選ぶものです。

 キャベツとダイコンの種子の観察も細かいですね。ここまでされるのは驚きです。皮の色、厚み、徐々に内部の様子、そして色形どころか匂いまで言及されています。色の表現もさすがに文系的な表現です。種子の各部分がどんな意味なのか、発芽してくれば分かりやすいと思います。なるほどこれが子葉になるのか、といったことが分かるでしょう。

 温度と湿度の測定、一時間ごとというのは、すさまじく大変で体力が必要だったことでしょう。ここまで要求しません。

 そして高校皆勤賞とは、これまたたいしたものです。

 グラフを見ますと湿度と温度が反比例に近く、納得できますね。特に室内は水の出入りが無いとするときれいなグラフになるはずです。

 実験結果の最初も載せられていますが、違いはまだ明確ではありません。様子を見ましょう。パフの吸水力の違いなのか、発芽阻害物質があるのかはわかりません。

 最後に、元気いっぱいでないアンパンマンもいいものですよ。おそらく、この仕事を続けていってよいものかどうか考えているのではないでしょうか。法学部の模擬裁判で是非アンパンマンの法的逸脱やジャムおじさんのブラック職場についてやってほしいものです。

ではまた

ラボスタッフ オガタ