東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

3.おれ達の戦いはこれからだ!!(キャベツと玉ねぎの追肥と土寄せ)(文:佐藤 壱英)

2024年11月22日 (金)

こんにちは!

 「中間発表について」を読んでさすがにまずいと思った佐藤壱英です....。何としてでも5記事は書かなければ。自分にここまで継続力がないものかと愕然とし続ける日々を送っています。先送りの日々です。脱します。他参加者の皆さんは順調に投稿できているようで、すごいなーと感じています。この記事を読む人がいれば、くれぐれも私みたいにならないよう頑張ってほしいです。目指せ模範的生徒。

 ヘッダーは友人に誘われて行った、銀山温泉郷の写真です。「千と千尋の神隠し」の湯屋のモチーフとなったと噂される旅館がある、山形の観光名所です。大正ロマンをうりにした街並みと美しい紅葉のマリアージュに非日常を感じます。来月から入場者数に制限がかかるらしいので、行く予定のある人は気を付けてくださいね。

 では、本題に入っていきましょう。

 

目次

1.ヒーローZ(玉ねぎ)の土増しと追肥

2.ユニコーン(キャベツ)の間引きと追肥

3.今後の展望

 

1.ヒーローZ(玉ねぎ)の土増しと追肥                             

前回の記事で、ヒーローZが倒れてしまうことの対抗策として土寄せを行ったと記しました。土の中に存在する割合を増やすことで、根本から倒れないようにすることを目標としましたが...

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普通に倒れてしまいました。先端についている種子が重いことと、成長して大きくなることで、支えきれなくなってきたことが理由かと考えられます。

倒れきってしまうとこのように...

S__40255493.jpg完全に枯れてしまいます。種がまだ仕事をしているかもと思いこのまま放置していますが、根元にはつながっているものの全体的に薄黄色く変色しています。寒さや水分不足、肥料不足等が考えられるようですが、この子以外はここまでにはなっていないので他に要因があるのでしょう。根元から黄色くなっているわけではないので、立ち枯れ病ではなさそうです。

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葉鞘部の直径は現在約1.5mm。苗としての完成目安は、直径が6~8㎜とのことで、まだまだですね。小さい植木鉢で育てているので、この例よりは細くなると予想できるのですが、それでも細いです。

改めて調べてみると、どうやら発芽してから20日後には追肥をしなければならなかったようです。私の株が発芽したのは大体10月12日。すでに39日が経過しています。焦って追肥したのが今週の月曜日。発芽から37日目のことです。

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化成肥料の場合、1㎡あたり30gが目安らしいので、約0.19g分の肥料を深さ2㎝ほどに埋めました。追肥のやり方について先生の意見が聞きたいです。

 

  

 

2.ユニコーン(キャベツ)の間引きと追肥                           

前回の記事へのコメントで、すぐにでも間引きをしたほうがいいという内容を読んだので、だいぶ遅くなってしまいましたが間引きを行いました。

:Before写真あああああああああああああああああああああ:After写真

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ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 間引き基準は、

  1.小さいものから

  2.葉と葉が触れ合わないくらいまで 

 

  以上の二つで行ったつもりだったのですが...。まだ葉が触れていますね。もう一つ間引かなくてはいけなさそうです。間引きについて私は、成長することで葉が大きくなり重なり合うことで、十分な量の日光に当たれなくなることを防ぐためだと思っていたのですが、根っこが絡まらないようにするためという理由もあるのだと実感しました。というのも、今回間引きを行う際に、根っこが絡まってしまい、途中でちぎれるということがあったからです。

 

 間引いた株の観察に移ります。

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土からの高さは約6cm、歯の枚数は子葉を除くと、平均5.5枚、色は子葉よりも濃い緑色となりました。根っこの形状をは中学校で習った、主根と側根の特徴通りになると思っていたのですが、主根の太さが約1㎜と思ったより細いです。

 

 簡単にではありますが、こっちでも追肥について触れたいと思います。間引きした後の株間に、ヒーローZと同じような計算で0.35g分の肥料をまきました(写真左)。土寄せをするとよいと見たので、追肥後に土寄せを行い、できたのがこちら(写真右)です。

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ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

鉢のキャパシティーが心配ですが、最終的には一株だけにするつもりなので何とかなると信じます。

 

今回の疑問のコーナー                

 

ヒーローZ

同じ鉢の中にいるのに、種付きの葉鞘が枯れているものとそうでないものがありました。種付き葉鞘以外の生育状況はどちらもほとんど同じです。ということは、発芽していくらか成長したら種は外してもよかったのではないでしょうか?

  もしそうなら、種の重さで倒れてしまう苗が少なくなるので良いのに...

ユニコーン

間引いた株を生のまま食べました。とっても青臭く、普段食べているキャベツとは全く異なります。辛くないカイワレ大根のようでした。

以下、実食レポート

  葉:ほのかにキャベツのような風味を感じます。シャキシャキした歯ごたえでした。

  子葉:無味。あえて言うなら渋みがない草の味がします。

  :紫色になりかけている部分は中に筋がありました。筋は噛み切れないぐらいに硬かったです。

  根:ここが一番キャベツを感じます。少し苦いですが、ふつうに食べることができました。

    もしかしたら、他の葉物でも根を食べればその野菜の味がするのではないでしょうか。

    とはいえ、どうして根に最もキャベツらしさが詰まっていたのか、疑問です。

 

 

 

3.今後の展望                                         

 先日、仙台で初雪が観測されるなど、冬の足音が大きく聞こえ始めました。が、そんなことは関係ありません。私にとって、今最も重要なことは一週間に一回きちんと記事を提出することです。そして中間報告を書くための資格を得ることです。何としてでもやり遂げます。

追肥は一週間に一回のペースがよいと見たのでそれくらいでやろうと考えていますが、様子を見つつ変更していきたいです。

次回は臨時号として、ブロッコリースプライトの記事を書こうと思います。

おれ達の戦いはこれからだ!!

 

 

 

コメント

佐藤さんこんにちは

 中間発表までの回数不足...... これはまあ「週一回講義に出るのと同義」、と仮定すると少なくともそれくらいになるだろう、という回数です。それにはまた別の意味があり、「双方向性授業」を成り立たせるためには、コンスタントな報告が必要だということです。例えば今回のように追肥を既にやってしまった後で量などを考察しても...... ともあれ、中間報告自体を期日までに出さなければアウトですので、頑張って下さい。

 投稿回数とも関連しますが、その回ごとに単一のテーマが必要です。というか単一のテーマでなければ読み手の側としては面倒になりますし、コメントもつけ難くなります。最も困るのは「ふとした思い付き」を幾つもパラパラ書かれる場合ですね。例えばですが、今回投稿のテーマを「追肥のことオンリー」か、あるいは「間引き株実食オンリー」に設定して、そのテーマを深める方がよほど高く評価できます。

 とはいえ逆に同情すべき面があります。他の植物種であれば「ただの観察日記」であっても、投稿記事の体裁だけは整います。生育が写真で顕著に見えますから。しかしこの場合はタマネギとキャベツであり、それほど初期生育が早くないんですね。しかもここから冬場に突入してしまうという。

 さて、ここから生育と管理についてコメントしますが...... 先ず、生育自体は決して悪くありません。タマネギはきちんと本葉の枚数を分かり難いですが増やしています。本来、この時期の定植苗は太さ5㎜程度が適切なんですが、時期遅れに播種したのでそれに及ばないのは当然ですし、また枯死もあまりしていませんから(タマネギは普通に栽培しても一定数は枯死するもので、それを考えれば通常範囲です)。投稿では種皮について書かれていますが、全然気にすることではありません。種皮のついている葉が弱ったので倒れただけです。そして株自体は枯れていません。

 このまま冬を越して4月になれば......タマネギは温度の変化と日長の変化を敏感に感じ、急速に成長します。現時点でのこの細さから考えると非常に小ぶりになると予想しますが、全然タマネギにならない、ということはありません。キャベツやハクサイは最小結球葉数(25枚くらい)というものがあり、それ以下では形になりませんが、タマネギはいくら小さくともそれなりの形になります。まあ、もちろんこの講義はその前の2月で終了になりますが......

 次にキャベツについて、これもそこそこ生育しています。間引きは適切でしたね。普通、受講生は勿体ないという思いからか間引きを思い切ってできない、という例が多いものです。あるいは逆に何もわからず思いっきりやってしまうこともあります。今回の間引きは非常にニュートラル、今後も適宜行って下さい。

 間引き株の状態提示写真、また観察はきれいですね。主根は細かったようですが、少なくとも主根と側根のある双子葉植物の様態は見られました。

 そして主根が細いのはおそらく「過湿」のせいかと思われます。気温が下がると乾きも遅くなりますので、水やり頻度は落ちてくるはずであり、その点確認して下さい。

 実食の味レポートは面白いですね。今までの受講生でこれほど「部位ごとに」味を確認した例はありません。しかも、根までとは、そして根までキャベツの味とは、予想外でした。

 青臭いのは予想の範囲内です。というかそもそも青臭さを無くして味を高めるために結球させるのですから。ちなみにキャベツには原種に近い「無結球性」のものがあります。それはキャベツと呼ばれるより、一般的にはケールと呼ばれ、よく「青汁」にして飲まれたりします。

 さあ次に管理について、先ず土寄せは適切でしょう。そして問題は追肥...... 播種後20日というのは何がソースか分かりませんが、お渡しした土には30~40日分の元肥が入っています。まあこの時期の追肥はそれほど遅くありません。追肥のやり方自体は、他受講生の投稿を参考にして下さい。今年の受講生はなかなか適切なやり方をしています。

 さてここで褒められるべきポイントは、追肥を「なんとなく感覚で」行うのではなく、きちんと「根拠」を元にしていることです。今回畑作地の「面積あたりの施肥量」を換算して根拠にしたのは立派です。まさに科学的であり、大学生らしいですね。

 残念ながら結果的に大幅に不足しています。これは畑作地と鉢植えの違いによるものなので、仕方ない面がありますが。

 ちなみに、文系の学生であれば、

・今回のような畑作地の面積から換算した量

・いっそう確からしい「植物株数」を用いて換算した量(施肥は土壌を肥やすのが目的ではなく、植物が使うものを与えるのが目的なので...... しかしこれを計算するには畑作地の面積当たりの株数を知らなくてはならない)

 くらいを考えてほしいところですね。更に理系なら、

・植物体の重量とその中のタンパク質比を考え、元素としての必要窒素量を求める

・土壌は三次元的であり、必要深さ、すなわち根域深さを予想し、鉢と比較する

 くらいがポイントでしょうか。もちろん農学系一年次学生なら、

・与えた肥料の成分比

・植物の種類(最低葉菜か根菜か、それくらい)を考慮、また必要生育期間も

 ここまでが標準でしょうか。農学系四年次学生であれば、

・肥料の製造形態(吸着あるいはコーティング処理などの緩効性処理があるか、また無機か有機か)

・肥料中の各栄養素の形態(窒素なら硝酸態かアンモニア態か、リンならクエン溶性すなわち根域溶性かまたは水溶性か)

・植物の種固有の最適は何か(例えばイチゴならアンモニア態の窒素を好む、タマネギなら初期生育中にさっさと肥料分を取り込んで貯える)

・土壌固有の性質である交換塩基容量、すなわち肥料の流亡を防ぐための保肥力はどれくらいか

 くらいは考えないといけません。プロの農家なら、

・植物の色、生育早さ、あるいは形態から何が必要な肥料なのか割り出す、つまり植物側からフィードバック

 など考えながら管理するのが普通です。その一段上、いわゆる篤農家と言われる一流は、

・狙ったようにピンポイントで肥料をデザインする、すなわち収穫の早期化・長期間化、また品質(甘いメロンやトウモロコシにするなどの例、もちろん収穫物の安定と揃いも重要)向上を成し遂げる

 というものです。なかなか施肥一つとっても奥が深いでしょう。この講義ではそんな篤農家レベルのコメントを返せないとは思うのですが、それでも幾つも事柄を考えて決定しているのです。

 では繰り返しですが中間報告のこと、またスプラウトの投稿をお待ちします。ただし行動は他受講生を充分に参考にして下さい。

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 これは昨年、賢治記念館に行った際、思わず撮れた写真です。なんと岩手県ではカモシカが近くまで出てくるんですね!!

ラボスタッフ・オガタ