東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

初めての野菜栽培! part15(会:宮野 はるな)

2025年1月25日 (土)

お久しぶりです。宮野はるなです。

前にも取り上げましたが、SSHでミドリムシを扱っているのですが、テーマが光合成に関することでなにか野菜栽培に適応できるようなことはないかと考えてみたのですが、「クロロフィルが赤色と青色の光をよく吸収すること」と「高濃度CO₂のほうが光合成速度が大きくなること」は栽培にも通ずることだと思いました。

しかし、自家栽培で赤色青色の光を当てての栽培となると特殊な装置(赤と青色の光を照射できるような装置)を作るのもコストがかかってしまい、現実的ではないのでどのようにしたらいいのかと考えているところです。

カラーセロハンで鉢を囲むと考えたのですが、セロハンも少なからず遮光してしまっていると思うので自然光よりも結局効率が悪くなってしまうような気がしました。しかし、いつかやってみようかなと思います。

前置きが長くなってしまいましたが、今回はミックス編です!

ミックス葉の面積

今回も前回同様、葉を楕円と見立てて、面積を求めました。

式:長径(縦/2)×短径(横/2)×π

播種4日目: 0.188 cm²

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播種8日目: 0.942 cm²

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播種12日目: 1.696 cm²

20241012_075713.jpg


播種16日目: 2.945 cm²​​

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播種19日目:7.226 cm²

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播種22日目:11.781 cm²

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播種23日目:13.320 cm²

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播種24日目:16.415 cm²

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播種25日目:20.420 cm²

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播種31日目:22.101 cm²

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グラフ化

前回のコメントを参考にできるだけ同じ葉を観察するように心がけましたが、写真の角度が微妙に異なったりして正確に測定することはできませんでした。

Screenshot 2025-01-24 23.38.59.png

しかし、前回よりは二次関数的に増加していると言えると思います。

展望

今回、葉の面積を成長率の比較としてとりあげたのはいいものの、同じ葉を観察することができず、正確な成長率を測ることができなかったため、今後は観察する葉を決め、できるだけ同じ葉を観察したいです。

コメント

宮野さんこんにちは

 始めの話は、クロロフィルの吸収特性の、栽培応用ですね! 結論からすれば仰る通りで、緑色光をさえぎっても別に赤色青色が増えるわけではないので、栽培促進にはなりません。というかクロロフィルが緑色光をあまり有効に活用しないのは事実なんですが、寄与がゼロではないんです。実は緑色光は地表面近くに到達したり、群落内で反射を繰り返したり、広範囲の葉にエネルギーを供給しているもので、決して無駄ではないことが最近の研究で分かっています。

 ではどうするか。単に緑色光をさえぎるのではなく、より有効である赤色光へと波長をコンバートできればいいわけです。この変換は「蛍光」で達成できます。蛍光とは、物質が波長の短い光を吸収し、電子殻を移動させ、それが元の位置に戻る際に波長の長い光を新たに発生することです。逆に波長の短い光への変換は事実上できません。こういった蛍光利用の波長変換を広範囲に安く実用化すれば、農業的に新たな展開ができますね......そういう研究者は聞いたことがないんですが、いないはずはないでしょうか...... ちなみに「蛍光ペン」はそういったわけで別の波長に変換・発光するので、元の光よりも人の目には「光って」見えます。

 また、ミドリムシの光合成、でしょうか? 光を「エネルギー的に」利用しようとするなら、立ち位置は微妙ですね。木質バイオマス、草地バイオマスは効率1%未満でも、高度に自立性があります。おまけに得られたエネルギーの貯蔵性に優れています。逆に太陽熱発電(光の熱作用でタービンを回す)や太陽光発電(光の励起作用で電子を移動させる)は初期投資もリソースも管理費もかかり、おまけに電気を蓄える方策が必要になりますが、効率自体はおしなべて15%に達しています。ミドリムシを含めた単細胞藻類の培養はそれら二つの中間のような立ち位置になりますね。藻類よりもっと反応を純粋化したいわゆる人工光合成も盛んに研究されていますが効率は良くありません。

 しかしミドリムシを単なるエネルギーではなく、「食糧生産」として捉えればまた別の展開がありますね。ミドリムシそのものでも、あるいは家畜の飼料にするものでも、けっこう利用価値はありそうです。あるいは食糧ではなく、希少な化学物質や医薬品を作らせる、もちろんそのためには遺伝子組み換え技術の更なる発展が必要ですが...... そうなればミドリムシを「物質反応器」のように使える......夢が広がりますね。

 余談ばかりになりましたが、とにかく「最終報告後の投稿」、立派です。これは繰り返し言うべきですね。

 内容は「成長写真」と「測定グラフ」です。そこから「二次関数的成長」を導き出しました。

 その通り、葉による光合成の増大のことのみを考えたら(成長の遺伝子的プログラミグとか最大大きさなどを考えないとしたら)、成長が一次関数的になってしまうのは、むしろ不自然です。このように二次関数的になるものではないでしょうか。

 結果が具体的に得られたこと、何より収穫でしたね!IMG_0116 - コピー.JPG

 これは何か? 実は膵臓とその内部にあるランゲルハンス島(インシュリンを作っている場所)を示している! ランゲルハンス島弁当!

ラボスタッフ・オガタ