東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

13.カイワレ大根総まとめ(農:菅野 泰樹)

2025年1月25日 (土)

はじめに

 先日、卵焼き用のフライパンを購入しました。卵焼きが用途として想定されてはいるものの、ちょっと何かを焼くのにちょうどいいサイズだったので、ずっと欲しいなあと思っていました。ところで、私の家ではIHヒーターを調理に使っています。購入したフライパンを使ってみようとして、軽く洗い、油を引いてヒーターの電源を入れたものの一向に温まりません。嫌な予感がしてフライパンのパッケージを確認すると、「ガス火専用」と書かれていました。

 最近のショックだった出来事でした。これを教訓に、買い物はよく考えて行いたいと思います。フライパンは近所のリサイクルショップにでも売ろうかと思います。

 

カイワレ大根の成長の変遷

 以前の記事で、カイワレ大根の収穫、実食の報告を行いました。今回の栽培は成功してよかったです。今回の記事ではその栽培の詳細をまとめたいと思います。

 1216日に栽培開始、1229日に収穫を行いました。栽培期間は14日間でした。栽培環境についてはこちらの記事をご参照ください。

 

播種~発芽

 湿らせたキッチンペーパーの上に種をまきました。翌日には発芽しつつある種が23割ほどありました。5日目にはほとんどの種で、発芽が確認されました。

栽培5日目DSC_1339 (1).JPG

 

発芽~緑化直前

 6日目より、長さの測定を開始しました。成長度合い(高さ)が全体の半分ほどの株の高さをとりました。おおよその値となっています。計測方法ですが、特定の株だけに注目したほうがよかったのではないかと考えています。5~10株ほど適当に選び、その長さを計測して平均化するという方法の方が、計測として厳密だったのではと考えています。

表 栽培日数ごとの高さ(画像を開いてご確認ください)DSC_1471.JPG

栽培6日目DSC_1344.JPG

栽培9日目DSC_1366.JPG

 「差」は、(その日の高さ)-(前日の高さ)から求めています。12~14日は緑化を行っています。写真のように、株ごとの差が大きいですが、傾向としては7~11日目ほどまで一日1~1.2cmほどの一定の割合で大きくなり、11日目からは生長が鈍化し、0.20.3cmほどしか成長が見られなかったです。

 個人的に注目していたのは、「緑化中も伸長成長はみられるのか」という点でした。ほとんど伸長成長が見られなかったのですが、これは緑化そのものも要因でしょうが、養分不足にも起因するのではと考えています。

 

緑化

 緑化を開始したのは12日目の日中で、下の写真はその日の夜に撮ったものです。前日(栽培10日目)の写真と比較すると、数10時間光に当てただけで緑化が目に見えて進んだことが分かります。23日と緑化させるにつれて葉の緑が濃くなっていることが分かります。おそらく葉緑体、または光合成色素が増えているからだと考えています。

栽培12日目(緑化1日目)DSC_1390 (1).JPG

栽培14日目(緑化3日目)
DSC_1395 (1).JPG

 緑化前後で葉緑体そのものの数が増加したのか、あくまで、葉緑体内で光合成色素などの関連物質が増加しただけなのかは気になっています。外的要因によって葉緑体の分裂を促進することはあるようですが、緑化中の変化はその分裂によるものなのかは分かりません。

 

おわりに

 前回の栽培の反省を踏まえて今回の栽培ではこまめに記録をとることができました。それ自体は良かったのですが、測定の方法はまだまだ改善できると思っています。

 ここまで読んでくださり、ありがとうございました。ハクサイ、ホウレンソウについても栽培を通しての振り返りを行いたいと思っています。

コメント

菅野さんこんにちは

 卵焼き用フライパンを買ったのは意気や良し!

 IH用でなかったのは......仕方なし! ここでIH(インダクション・ヒーター)の原理を覚えよう! 変化する磁束によって磁気性材料に電磁誘導をかけ、発生する渦電流をいわばショートさせる状態にすることで電気熱を発生させます。それは御存じだと思います。

 これが使える食器は鉄やニッケルなどの磁性材料ででできている必要がありますし、更に言えば電気抵抗の高い金属の方が適しています。しかし、最近では「オールメタル対応」の進化系IHも出ています。これは周波数を高めることでアルミなどの非磁性材料にも渦電流を発生させ、なおかつ電気抵抗が低くてもいいように大磁束で対応します。   

 そのため、IHといっても区別があるんですね。わざわざIHを買ってくる際にはどんなものか確認しましょう。なおかつ今は過渡期にありますので、IH対応と書いてある鍋でも使えない場合があります。手に持って、重さや厚みで渦電流を想像し、判定しましょう。

 ちなみに私個人は「ガス派」です。やっぱり火が見える方がいいし、何よりIHは鍋の一部分しか加熱しませんので、原理的に焦げ付きやすいのです。

 さて今回投稿の内容はカイワレダイコンの総まとめです。

 結果的にやや短めでしたが、揃いも上々、腐敗することもなく、しかもしゃっきりとして、緑化もよく、収穫までこぎつけました。しかも良い期限内です。

 面白いと思ったのは成長表に「前回との差分」を加えていることです。いわゆる数学で言う「微分」ですね。こういった工夫は大事です。見えてくるものが違うでしょう。実際の科学論文でも見せ方の工夫、つまりデータの純粋化は、自分の意見に説得力を持たせるために重要です。

 さあこの場合は温度なのか栄養分のせいなのか、はたまた緑化のためなのか、成長度にどれが影響したかは不明なんですが、その端緒の実験ですのでそこはいいでしょう。

 また緑化の進行の原因についても触れていますね。

 緑化が葉緑体の数なのか葉緑素の総量のせいなのか、実は私も具体的なところは知りません。どちらもあるのは確かなんですが......

 葉緑体の分裂が先行し、葉緑体の肥大と葉緑素の合成が起きてくるのは確かなんですが......またそれらの反応にはサイトカイニンなどの植物ホルモンが作用するのは確か...... しかしそれ以上のことは調べてみる必要がありますね。

 関係ないですが、最近のスーパーで売っているカイワレダイコンは短いものが多いですね。以前は12㎝程度のものが多かったんですが、今は8㎝程度のものまで現れています。なぜか......世の中が世知辛いからか......

 ともあれ、こうして最終報告後のまとめを投稿して下さるのは貴重なことです!

DSC_0088.JPG

 ネバーギブアップ...... 最初から負けそうなんだが......

ラボスタッフ・オガタ