東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

31日目~39日目 手狭なくらい育ってます! pH測定(法:岡崎和奏)

2025年11月17日 (月)

目次

はじめに

31日目 11/3 最後の間引き

32日目 11/4 カブリーニのpH測定

33日目 11/5 ジャスのpH測定

39日目 11/11

さいごに

はじめに

みなさんこんにちは。ちょっとだけサボった岡崎です。特に忙しかったわけではないのですが、ずっと特に書くことがなくて、明日でもいいかと引き延ばしてしまいました。今回間隔があいたことで、継続的に投稿することは自分の植物たちの様子を見つめなおすことにつながるため、意欲を保ち続けるために大事だということがわかりました。これからも記事投稿頑張っていこうと思います!

サムネの写真は11/11のTANAKAの夜によるマグロ丼300円おふるまいです。三陸塩釜ひがしもので、赤身がとても美味しかったです。

今回はpHに着目しました。

31日目 11/3 20:30 8℃ 84% 晴れ

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以前から見られた葉のしおれが止まらないので、その葉を持つ株を間引きました。まだ根は肥大していません。

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よくよく考えてみたら、異常のあった葉は子葉でことに加え、そういえば子葉は植物がある程度育つと枯れるものだったと思うので、間引く必要はなかったかもしれません。しかしいずれにしろ、5号鉢でカブリーニを3株は無理な話ですし、間引いたのも一番日の当たりにくいところにある株だったので、今1株間引いたことに後悔はありません。

32日目 11/4 23:25 5℃ 88% 晴れ

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ホウレンソウなどの地中海や中央アジア原産の野菜は酸性に弱い」とのことで、タネ袋によれば小かぶは中央アジア、ヨーロッパ西南部原産で、ホウレンソウは中央アジア原産だとのことなので、pHが心配になり、実際に測ってみました。11/4にカブリーニ、11/5にジャスのpHを測定しました。

小かぶはpH6.0~6.5が適正な値です。

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pH6.9あたりです。小かぶは酸性が強すぎると生育の不良や根こぶ病を引き起こしますが、pH7.0を超えたアルカリ性では"充実が劣る"らしいです。この充実が劣るという意味が調べてもわからないのですが、良い意味ではなさそうです。pH6.9と値が適正値より大きいですが、病気になられるのが一番困るので良い数値だと思います。

33日目 11/5 21:17 9℃ 81% 晴れ

ネットで調べてみたところ、ホウレンソウは微酸性~中性のpH6.5~7.0が適正な値です。

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pH6.8あたりです。カブリーニの土壌より値が0.1小さいですが、がんばれシュウ酸!と頼っても大丈夫ですよね?

39日目 11/11 20:35 7℃ 69% 晴れ

本日時点でのカブリーニとジャスの生育状況は下写真の通りです。ここのところ晴れ続きで、かなり成長したと思います。

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さいごに

このころ三角定規を紛失していたので、具体的な数字で大きさを示せていません。

中間報告までにもう1記事書けるとよいなと思います。

コメント

岡崎さんこんにちは

 今回の投稿は引き続き植物の成長についての報告なのですが、あまり問題なく成長している様子が伺えます。最もインパクトがあったのは冒頭のマグロ丼ですね。写真の撮り方なのか、非常に鮮やかで、美味しそうに見えます。

 関係ないですが、肉ならば人によって好みがそれほど変わることはないように思いますが、魚は非常に好みが分かれますね。マグロの好きな人、カツオの好きな人、サンマが好きな人、イカが好きな人...... 個人的に言えばシーチキンが一番好きです。栄養的にDHAがどれくらいかは分かりませんけれど......

 さて投稿にコメントを付けるとすると、先ず間引きは適切にやったと思います。また具体的な成長度合い(つまり数字的な計測)はおいおいやって、また報告下さい。

 そしてそして、何と「土壌酸度」!!

 このメーターは? 家にあったのでしょうか......いやまさか購入された?

 土壌酸度計は千円くらいの簡易なものから、本格的な8千円くらいのものまで幅があるのですが、画像のものを見ると立派なもののようです。

 計測は土が湿った状態で行う、これもきちんと守られているようです。得られた数字はpH6.8程度、順当なところでしょう。お渡しした土は一般用の培養土であり、多くの植物に適応できるものとして作られたものです。

 植物の原産地を考えながら、その植物の好むpHを調べたのは良いですね! 細かく言えば植物の種類ごと、あるいはもっと細かいことを言えば品種ごとに最適pHが存在するのですが、大まかには原産地で目安が付けられます。

 ちなみに地中海は「土壌が石灰岩質」かつ「雨量が比較的少ない、特に岩石が風化しやすい夏季に雨量が少ない、そのため岩石から生じるアルカリ成分が流されにくい」という二つの面から、土壌がアルカリに傾きやすい地域です。従ってそこの原産の植物はアルカリを好むわけです。というか、酸に弱いものです。

 文系の学生向けに少しだけ化学の話をしましょう。

 pH7が中性ということは誰でも知っています。ではなぜ7が中性なのか...... 答えは「水の解離乗数が10のマイナス14乗」だからです。水はどんな水でも、「水素イオン(H+)」と「水酸化物イオン(OH-)」にわずか一部は解離しています。水が中性の時、水素イオンは10のマイナス7乗の濃度で存在しています。同時に水酸化物イオンは10のマイナス7乗で存在しています。それらが同量なので中性というわけです。その存在濃度を掛け算すると10のマイナス14乗となり、それが解離乗数というものです。

 pHがいわゆる対数表示なのが分かりましたでしょうか。

 そして話を続けると、中性の水から水素イオンが10倍に激増したとすれば...... 何とpHは「6」です。水素イオンが100倍まで増えても、pHは「5」です。何を言いたいかというと、pH表示でわずかな違いに見えても、水素イオンの濃度自体は非常に大きく変わっているということです。

 蛇足ながらpH5の時、水酸化物イオンの方はというと、必然的に中性から100分の一である、10のマイナス9乗の濃度で存在します。掛け算して解離乗数は変わりません(しかしながら掛け算ではなく「足し算」、つまり水素イオン濃度と水酸化物イオンの「合計濃度」で見れば......中性で最小であるがそこから離れるほどむちゃくちゃ増えているわけで、面白いことです)。

 さて水素イオンの濃度がそれだけ変わってしまうと当然あちこちに影響が出ます。一番影響するのは土壌中の鉱物成分の溶解、です。具体的に言うと両性金属であるアルミニウムは中性で固形化していますが、酸性に傾いた環境下で溶出してきます。これが植物に悪影響を与えます。原産地が地中海であったがため、アルミニウムに対処する必要性がなかった植物などはとたんに影響を受けてしまいます。ホウレンソウはその典型例ですが、他にも例えばマメ科の多くの植物がそうであり、酸性土壌がほとんどである日本(稀に石灰岩質のカルスト台地などがあるが、そんなアルカリ質土壌は日本でレア)では、「灰がなければマメ播くな」(酸性を中和するための資材がなければマメ類は育たないから播くだけムダ)という格言があるくらいです。

 逆に原産地が酸性の土壌である植物、例えばツツジ科のブルーベリーなどは土壌の酸性に耐えられる、というか逆に酸性でなければ枯れてしまいます。なぜかというと、土壌の酸性化に従って溶出してくる金属類はアルミニウムの他にも多くの種類があり、また逆に溶出してこなくなるものもあり、複雑な様相を呈します。それらの金属類もまた少な過ぎても多過ぎても植物は困るものです。

 まあまとめて言えば、「植物は原産地の環境に合わせて生きてきた」と話が最初に戻ってしまうわけです。一般的な栽培用土は最大公約数的にpH6.5~pH7になっています。では測る必要はなかったか? いえ決してそんなことはなく、栽培が進むにつれて肥料の残存成分(植物が吸い上げた成分の残り)などのためにpHが変化してくるものだからです。なので今回の土壌酸度計の報告は素晴らしいものでした!

 では引き続きレギュラー記事も、中間報告もお待ちします!

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 敢えてこのネーミングにする意味は何?

ラボスタッフ・オガタ