東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

光りを集めよう~日照環境改善~(理:伊東功平)

2025年12月 1日 (月)

CONTENTS

1.はじめに
2.方法1
3.方法2
4.効果はどう測定するのか
5.おわりに

1.はじめに
 

 先日、中間発表を行いました。これを機にブログ投稿のモチベが上がったのでこれからも継続できそうです。今回はなかなかブログできなかった「日照環境の改善」について記事にしました。うまくいくかわかりませんがきっと野菜たちにとってプラスに働くと信じてやってみます。
 さて、上の写真は横浜マリンタワーに上ったときに見えた隠れミッ〇ーです。(全然隠れていない)真顔で見つめてくるので少し怖かったです。

2.方法1

反射板の外観図IMG_2966.jpg

 まず太陽光を集める手段として反射板を作ってみました。この方法はおそらく定番の太陽光を集める方法だと思います。過去の記事でも柳澤暢孝さんの記事で反射板を作り日照不足に対応しているものがありました。そのほかにも定番の方法として鉢の高さを上げる方法もありましたが、私の場合はベランダのすぐ横が数十メートルの吹き抜けになっていて、落下することが不安なためやめました。見た目ではあまり明るくなっているようには感じなかったのですが、少しは改善できたのではと思っています。

3.方法2

植木鉢の内側側面の反射板IMG_2924.jpg

 次の方法でも反射板を使ったのですが、反射板を植木鉢の内側側面に並べて光を集めることにしました。この方法のメリットは反射板の置き場所に困らないことと葉の裏側にも光を当てることができることです。実際、方法1で反射板を作った後はほかにはどこに反射板を置けるか悩みました。悩んだ結果、植木鉢の内側の側面が活用できることに気が付きました。また、葉の裏側に光りを当てるために最初は地面に反射板を置こうと考えていました。しかし、まだそれほど植物が高くないので、地面から光を反射しても植物に反射光が当たらないのではと思いやめました。葉の裏側は表側よりも葉緑体が少ないですが、どれくらい効果があるのか楽しみに観察していきたいと思います。

4.効果はどう測定するのか

 はじめは「光量が少ない=徒長」と考えていたので茎の太さを記録、観察すればいいのではと思っていました。しかし実際に測定してみるととても測定しづらく、もし数ミリ変化してもしっかり側定することができなそうなので別の方法を考えました。そこでダイコンにおいて1株当たりの1枚目と2枚目の本葉面積の大きさを記録することとしました。
 測定項目を1枚目と2枚目の本葉のみにしたこと、ダイコンのみにしたことの理由は以下の通りです。まず、定期的に続けるためです。1,2枚目の本葉を計測するだけでも意外と時間がかかりました。またダイコンを2つの鉢に分けて栽培していたことも都合がよかったためダイコンのみ記録することとしました。どういうことかというと、反射板を設置する前の葉面積の拡大変化を測定していないので、このままでは反射板の効果を測定できません。しかしダイコンの一方を反射光にあたるように、もう一方は当たらないようにすれば反射板の効果を測定できると思いました。
 ちなみに葉面積は葉の形を楕円形として計算することとしました。

5.おわりに

 今回は反射板を使った日照環境の改善を行いました。反射板を使うこと以外の方法はまだ検討の余地があるので調べてみたいです。

コメント

伊東さんこんにちは

 のっけから、凄い画像だ...... 隠れ〇ッフィーって、ディック・ブルーノも驚きですね! 世界最大のミッフ〇ーかなあこれ。

 はてさて、中間発表後の投稿ですね!(ちなみに中間発表自体は渡辺教授が見て、コメントして、評価しています) そして例年中間発表後は受講生の皆さん燃え尽きてしばらく投稿に間が空いてしまうものです。そこを伊東さんは乗り切って投稿しているのだから大したものです。

 今回のお題は反射板による日照不足対策、です。

 仰る通り、反射板はもはや本講義の「定番」ともいえる工夫です。過去の受講生には、照明設置という工夫を実践した例もありました。しかしそれには必要光量や波長の知識がないと難しく、下手に室内栽培で人工照明にすればかえって徒長が激しくなることもあり、とりあえず勧めるという方法ではありません。その点、反射板であればなんとなく感覚で分かりますし、事実、過去の受講生の例を見ると一定の効果が得られています。

 といっても、反射板にもいくつか注意事項があります。当たり前ですが、先ずは「強度保持」「雨雪対策」です。反射板が風で飛んで行ったら大変です。

 そしてもちろん、効果を得るためには「反射光が当たる」言い換えれば「反射角及び設置場所の確認」が必要です。どの角度から太陽光が当たるのか、反射光がどうなるのか、考えなくてはなりません。日中の太陽高度などの知識が要りますね。

 ただし、伊東さんの場合に限って言えば、それほど難しいことは考えなくてよさそうです。なぜなら、直射日光を反射して植物に当てるのではなく、そもそも設置場所に太陽光が無さそうですので。では今回は、「なんとなく植物に明るくなるぞ」というポイントにすればいいというわけです。画像で見ると割と大きな反射板ですので、固定に苦労しそうですが、その分ポイントはブロードになるでしょう。まあ欲を言えば、アルミ面が滑沢ですので、そこは非光沢の方がまんべんなく光を当てられたでしょうし、もっと言えば曲面にして集光すれば......いやこれは難しいことですね。

 そして今回一番面白かったのは、「土に刺すミニ反射板」です!

 これは本講義初ではないでしょうか。いや本当に面白いことを考えたものです。大きさや角度の問題はともかく、こういったアイデアは次年度の受講生に大いに参考になりそうです。ちなみに鉢土表面上に並べるのは、地温の低下を招きますし水やりにも不都合なので推奨しません。今回のような鉢縁斜め置きがいいですね。

 それと、「光が葉の裏に当たる」ことも、悪くはありません。どのみち葉に吸収されます。

 ついでに今回から「葉の計測」、もっと言えば「長さから面積に換算」をされるとのこと、注視していきたいですね。まあ、無理のない範囲でお願いします。それの労力で投稿頻度が減ってはいけませんから。

 反射板の効果をいわゆる「対照実験」で見ようとするのはとても科学的です。文句ないですね。本葉の一枚目と二枚目を計測するのは......それでいいと思います。がしかし、本来なら「葉の大きさには上限がある」ことと、「成長はどちらかというと葉の枚数に現れる」という性質があるので、正確に徒長の程度を現わせるかというと、そこは違います。それを分かった上で、計測を実地に行うため敢えて本葉一枚目と二枚目を選んだ、立派ですね。

 ここから余談ですが「科学実験」には論理が必要です。細部にわたるまで「論理が整う」ことが必要です。例えば実験の手順でも一つ一つ何がしかの理由・論理がなくてはなりません。もちろん、当たり前の手順なら「通法通り」で構わないのですが、その実験独自のものなら、本当に一つ一つに理由が必要になります。

 論文作成でもそうです。穴がないように丁寧に論理をつなげていかなくてはなりません。ただ、逆にいうと論理が通っていれば、細い論理でも構いません。

 例えで言えば、ミミズの研究をしている人が、自分の研究に意義を見せたいぞ、社会につながることを見せたいぞ、と思ったとします。そして地球温暖化が現代のトピックであることも思いついたとします。そこで......

「現在緊迫の問題である地球温暖化について、主要な原因は大気中二酸化炭素濃度の上昇と見なされている。一方、その二酸化炭素は植物によって固定され、生じた有機物炭素は、動物利用分などを除き落葉等によって土壌に供給される。そして分解者によって再び大気中に炭素が遊離されるという炭素循環を成している。したがってメインプレイヤーである分解者の実態を知ることは炭素循環を理解する上で必須である。そこで、ミミズが分解者そのものとしても、あるいは土壌中の微生物層の調節を通しても、多大な影響を与える因子であることは自明である。今回、ミミズの分布・生態を炭素循環という視点で新たに捉え直し、その把握を......」

どうでしょう。細くとも論理がつながっていればそれなりです。まあもちろん細ければ「説得力」には微妙なんですが。(あくまでこの文章は特有の個人・団体を指すものではありません)

 さあ話は戻り、反射板の効果や、全体の成長についての報告お待ちしています。

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 なぬ!? 中古の自販機が37円...... 何その微妙な値段設定......

ラボスタッフ・オガタ