【出前講義】愛媛県立西条農業高等学校・特別講義実習「高等植物における生殖・受粉反応--自家不和合性・受精・品種改良--」(6/7)
2016年6月 8日 (水)
午前の課題研究、昼休みのサイエンス。午後からの2コマは、野菜担当班への講義と実習。自家不和合性、品種改良などを中心に。最初のイントロは、作物の花とその作物のlink。半分くらいは理解していたと思います。ずいぶん、庭先での栽培を見かけるようになったトケイソウ。クダモノトケイソウがパッションフルーツというのは、さすがに感動のようでした。瀬戸内海のような温暖なところなら、栽培できるのではと思います。チャレンジしてはどうでしょうか。そんな野菜の果実形成には、受粉・受精が重要。ハチなどの訪花昆虫が飛ぶことで、異種の花粉が雌しべの先端に付着する可能性も。。。では、雑種は簡単にできるのか。そんなことはなくて、「種の障壁」というのが、存在するわけです。この話が、後半の圃場での実習につながることになるわけですが。。
昼休みの講義と同じように、植物も多様性を維持する必要があるわけです。そのために、いろいろな工夫をしていて、自家不和合性のように自他識別をしたり、その自家不和合性を利用して、F1品種ができています。あと、種子の袋を見た時に大事なこと。意外と気にかけず、袋の上を開けがちですが、上の側には、種子の重要なことが多数書かれているので、下の方から開封すると。もちろん、これらの品種がどの様な過程を経てできているのかを、トマトなどを例にして。1つの品種ができるまでの大変さもわかってもらえたのではないでしょうか。ということで、講義はここまで。この後は、圃場に出て実習に。
午前中に圃場の状況を見せて頂いたこともあり、今回のテーマは、ウリ科。ちょうど、摘芯をしてないメロンの枝に雄花、雌花を発見。また、キュウリ、スイカも開花、結実のよいステージ。唯一の問題は、午後からの講義になり、受粉の時期としては、午前の早い時間がよいのですが、また、ガラス室、ビニールハウスなので、雨は問題ないですが、それでも湿度が高い分。。。少し問題ではありましたが。。。何とか、雨は降らずに持ちこたえてくれて。。。
キュウリの結実したものを見ていると、曲がったキュウリを発見。このキュウリが曲がる原因、確か、今でも正確には、解明されてなかったような。。。子供の頃、近所で作付けしていたキュウリのハウスで、キュウリが曲がらないようにするために、キュウリに石のおもりをつけていたのを思い出し。。。担当の別府先生もご存じでしたので、かなり昔はそんなことをしていたのだと。。。
では、その曲がったところを観察するためには、実際に実物を切ってみるのがよいわけです。どうなっているか。生徒さんもかなり、わくわくのようでしたが、曲がっている方の種子形成がよくない。。。原因と結果はよくわからないですが、種子形成と果実肥大には、関係があるのだけは、判明。柱頭の先端は、3つに分かれています。なので、1つを切除して、2つに受粉したら、どうなるのか。もちろん、切除でなくて、受粉量を制御することもできると思いますので。やってみて下さい。
では、実際に受粉をしてみたら。。。モデル的にキュウリの雄花と雌花をサンプリングしてきて、練習。練習だけでは楽しくないので、雑種を作ってみよう。ウリ科のメロン、キュウリ、スイカをそれぞれ、花粉親、雌しべ親にして、交雑にチャレンジ。どれだけうまくいくのか、これから、日々の観察ですが、がんばってやってみて下さい。最後は、世界に向けて、情報発信。
最後になりましたが、1日で3コマの出前講義と実習という慌ただしい日程でしたが、細かく対応頂きました、西条農高校長・倉橋校長先生、成高教頭先生、担当の別府先生をはじめとする関係の多くの先生方に、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。今後ともよりよい連携ができればと思います。よろしくお願いいたします。
わたなべしるす
PS. 時間の関係で、これを書いているのは、翌日の水曜日。今年度の「ふるさと出前講義」については、また、後ほど。。。
PS.のPS. 明日、木曜日にお世話になるのは、四国中央市川滝小学校の村上校長先生のところ。先日、同じ市内の四国中央市土居中学校へ出前講義にいかれたと。。。教員向けにも。。。8月に仙台市教育センターとコラボで、同様の企画をと思っていますので。その詳細も今回は、議論の重要な案件。また、このHPから、お知らせをしたいと思いますので。
PS.のPS.のPS. 活動・観察記録票というのを生徒さんたちは書いていました。このformatを別府先生と共同開発したのが、愛媛大でお世話になっている先生だと。。。不思議なご縁だなと。こちらも参考にさせて頂きます。