研究経過
名古屋大学グリーン自然科学国際教育研究プログラム / IGERセミナーにて講演(辻グループ)
July 15, 2016 2:14 PM
Category:招待講演
main:辻班
名古屋大学大学院・生命農学研究科にて、フロリゲンの分子機能に関するセミナーを行いました。名古屋大学・育種学研究室の中園先生にお呼びいただきました。フロリゲンによるメリステムの機能転換、エピゲノミクスを始めとする新しい話をしました。
講演内容:
フロリゲンは植物に花芽を作らせる植物ホルモンであり、葉で合成されたのちに茎頂メリステムまで輸送されて機能する。美しい花とその後の実りをもたらすフロリゲンは多くの研究者を惹きつけ、日本でも古くは故・木原均博士に由来するアサガオを用いたユニークな研究が展開されてきたが、その正体は長い間謎に包まれてきた。しかし最近の分子遺伝学の発展から、フロリゲンは当初想定された低分子化合物ではなく、FTと呼ばれる遺伝子にコードされたタンパク質であることが明らかとなった。私達はフロリゲンの受容体を発見、活性本体となる複合体を同定して、これに強い証明を与えることができた。
私たちはフロリゲンの新しいサイエンスを目指して、世界唯一と言えるフロリゲン生体イメージング系、独自のメリステム単離技術と次世代シーケンサーを組み合わせた大規模解析系などをこつこつ開発してきた。本セミナーでは、これらの研究から解明したフロリゲンの分子機能の新しい理解について紹介したい 。
同時に大学院の集中講義も行いました。二日間まるまるフロリゲンの話を伝え、改めて色々分かって来たおもしろい研究分野であると感じています。