平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

植物新種誕生原理植物新種誕生原理

Nagoya University Live Imaging Center

研究経過

名古屋大学アドバンス生命科学特論・IGERセミナーにて講演(辻グループ)

August 5, 2016 2:20 PM

Category:招待講演

main:辻班

名古屋大学大学院 理学研究科の野田口先生に招待いただき、「花芽を作る植物ホルモン・フロリゲンの分子機能」というタイトルでセミナーをしました。今回はよりイメージングに注力したお話をして、活発な議論ができました。

タイトル 花芽を作る植物ホルモン・フロリゲンの分子機能
要旨 フロリゲンは植物の花芽分化を開始させる強力な運命決定因子です。フロリゲンは植物が葉で環境の変化を認識し、生殖過程を始めるのに適した季節の到来を予期した時に葉で合成され、その後実際に花芽の作られる茎の先端まで輸送されて機能します。花と実りをもたらすフロリゲンは世界中の研究者を引きつけ、長い間その正体を解明するための研究が行われてきましたが、フロリゲンの分子実体は謎のままでした。しかし近年の分子遺伝学研究の成果から、今ではフロリゲンはFTと呼ばれるタンパク質であることが明らかにされています。ただ正体が分かった後も、フロリゲンがどのようなメカニズムで花芽分化を開始させるのかは謎でした。
 私たちはフロリゲンの細胞内受容体を発見し、さらにフロリゲンの活性本体となる核内の転写複合体を同定することで、フロリゲンの分子機能の中心的な部分を解明してきました。さらに世界でも唯一のフロリゲンの生体イメージング系や、フロリゲンが作用する茎の先端の幹細胞領域(茎頂メリステム)の大規模解析系を独自に開発することで、フロリゲンの新しい分子機能を解明しようとしています。ここでは、私たちの最近の研究から明らかになったフロリゲンによる成長相転換の全体像とそのメカニズムについて紹介します。