研究経過
二粒系コムギとAegilops umbellulataの種間交雑と雑種形成
November 28, 2017 11:04 AM
Category:研究成果
main:宅見班
宅見班では、二粒系コムギと近縁2倍体種であるAegilops umbellulataの雑種形成に関する研究成果をPlant Molecular Biologyの12月号に報告しました。
異質6倍体であるパンコムギは、二粒系コムギ(AABBゲノム)とタルホコムギ(Aegilops tauschii, DDゲノム)の雑種に由来しますが、タルホコムギではなくAegilops umbellulata(UUゲノム)との種間交雑だとそのような不都合が生じるのかについて解析を行いました。多くのAegilops umbellulata系統を二粒系コムギに人為的に交雑して雑種を作出したところ、Aegilops umbellulataはタルホコムギよりも交雑親和性も低く、種間雑種の生育異常が生じる交雑組合せの頻度も高いことがわかりました。また、種間雑種で見られる生育異常は、二粒系コムギとタルホコムギの雑種で見られる生育異常とは異ったタイプのものが多く生じました。やはり、Aegilops umbellulataよりもタルホコムギの方が、パンコムギの親となるチャンスには恵まれていたようです。
Aegilops umbellulataについては、Plant Molecular Biologyの12月号の表紙にその写真が出ておりますので、合わせてご覧ください。
発表論文:M. Okada, K. Yoshida and S. Takumi (2017) Hybrid incompatibilities in interspecific crosses between tetraploid wheat and its wild relative Aegilops umbellulata. Plant Molecular Biology 95: 625-645.
(リンク先:https://link.springer.com/article/10.1007/s11103-017-0677-6)