研究経過
陸上植物の生殖細胞分化に必要な転写因子BONOBOを同定ー山岡班
February 2, 2018 10:36 AM
Category:研究成果
main:山岡班
山岡班では、陸上植物の生殖細胞分化に必要な鍵因子としてbHLH転写因子BONOBOを同定し、Current Biologyに報告しました。
花を咲かせる植物は、受粉することで種子をつくり、子孫を残します。これは、花粉の中で作られる「精細胞」が、雌しべの中の卵と受精することで起こります。しかし、精細胞をつくる分子メカニズムは、多くの部分が未解明のままになっています。
ゼニゴケは、卵と精子を特有の生殖器(造卵器と造精器)の中につくって受精を行います。今回山岡班は、BONOBOと名付けた転写因子が、ゼニゴケにおいて生殖器をつくる過程をコントロールしていることを明らかにしました。BONOBOはほぼすべての陸上植物にあって遺伝子ファミリーを構成していました。さらにシロイヌナズナのBONOBO相同遺伝子の解析を進めたところ、花粉の精細胞をつくるのに必要であることを突き止めました。これらのことから、BONOBOファミリーは陸上植物の生殖細胞をつくるために必要不可欠であることがわかりました。
一見まったく違うようにみえる花粉の精細胞とコケ植物の生殖器は、類似の分子メカニズムを使ってつくられており、BONOBOは、約4億5千万年前に陸上植物が誕生したときから受け継がれてきた、陸上植物の生殖細胞形成の鍵となる遺伝子である、と考えられます。
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<発表論文>
Shohei Yamaoka, Ryuichi Nishihama, Yoshihiro Yoshitake, Sakiko Ishida, Keisuke Inoue, Misaki Saito, Keitaro Okahashi, Haonan Bao, Hiroyuki Nishida, Katsushi Yamaguchi, Shuji Shigenobu, Kimitsune Ishizaki, Katsuyuki T. Yamato, Takayuki Kohchi
Current Biology. doi: 10.1016/j.cub.2017.12.053