平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

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研究経過

RNA-seqによるコムギUゲノム野生種Aegilops umbellulataのゲノム網羅的多型データの取得(宅見班)

November 10, 2018 6:19 PM

Category:研究成果

main:宅見班

宅見班では、コムギ近縁2倍体Aegilops umbellulata (UU genome) 12系統の幼苗のRNA-seqデータから得たゲノム網羅的多型情報についての研究成果をBMC Plant Biologyに報告しました。

Aegilops umbellulataはマカロニコムギ(AABB genome)と交雑することで合成異質6倍体を作出できますが、両者の組み合わせの半分ほどで雑種生育異常が起こることがわかっています。この生殖隔離の原因遺伝子をAe. umbellulataから単離することで、その遺伝的多様性をコムギ育種に利用できる道が開けると考えられます。今回、幼苗葉のRNA-seq解析を行い、12系統間で一塩基多型等のゲノム網羅的な多型情報を得ました。Ae. umbellulataの参照ゲノムはありませんので、これらの多型情報をタルホコムギやオオムギの参照ゲノム配列に位置付けました。これにより、in silicoでAe. umbellulataのゲノム解析が可能となります。これまでの我々のタルホコムギでのRNA-seqデータに基づく多型情報と比較すると、Ae. umbellulataでは種内の明瞭な分化が認められず、系統特異的な一塩基多型が多く認められ、タルホコムギとは異なる種内変異のパターンを示すことがわかりました。

発表論文:M. Okada, K. Yoshida R. Nishijima, A. Michikawa, Y. Motoi, K. Sato and S. Takumi (2018) RNA-seq analysis reveals considerable genetic diversity and provides genetic markers saturating all chromosomes in the diploid wild wheat relative Aegilops umbellulata. BMC Plant Biology 18: 271.

(リンク先:https://bmcplantbiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12870-018-1498-8