平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

植物新種誕生原理植物新種誕生原理

Nagoya University Live Imaging Center

研究経過

新開発ソフトウェアEAGLE-RCとHomeoRoqが、異質倍数体のRNA-seqにおいて既存の2倍体用のソフトウェアよりも高精度であることを示しました(瀬々グループ、清水グループ)

February 25, 2019 10:53 AM

Category:研究成果

main:瀬々班

我々のグループでは、異質倍数体種でRNA-seqやリシークエンシングを高精度で行うために、バイオインフォーマティックな手法の開発を行ってきています。

 

これまでの多くの論文では、2倍体用に開発されたSTAR, KallistoなどのRNA-seq手法をそのまま異質倍数体種に当てはめてられていました。そこで、これらの手法の精度をシロイヌナズナ属異質4倍体ミヤマハタザオと、6倍体パンコムギのRNA-seqデータを用いて定量しました。その結果、Kallistoなど2倍体用の手法は計算速度が短いものの、10%もの頻度で誤ったサブゲノム(親ゲノム)にマッピングしてしまうことが分かりました。

 

一方、我々が開発してきたHomeoRoq、EAGLE-RCなどのサブゲノムに分類する手法では、マッピングの誤りは1%程度と高精度であることが示せました。マッピングの精度の違いは、ホメオログ(相同遺伝子)の発現比率や、発現変化など、下流の生物学的な解析の精度に直接影響を及ぼします。これらの結果は、異質倍数体ではたとえ高精度ゲノムアセンブリが存在していても、RNA-seqなどの解析では2倍体と同様には扱えず、サブゲノムに分類する手法が必須であることを示しています。

 

<発表論文>

Tony C Y Kuo, Masaomi Hatakeyama, Toshiaki Tameshige, Kentaro K Shimizu, Jun Sese; Homeolog expression quantification methods for allopolyploids, Briefings in Bioinformatics, , bby121, https://doi.org/10.1093/bib/bby121