平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

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研究経過

【プレスリリース】キウイフルーツが紐解く「植物が性別を手に入れた進化の仕組み」(赤木班)

August 8, 2019 5:25 PM

Category:研究成果

main:赤木班

岡山大学 大学院環境生命科学研究科(農) 赤木 剛士 准教授は、これまでキウイフルーツを用いた植物の性別決定の仕組みの解明に取り組んでおり、このたび、オス機能の制御を担う性別決定遺伝子を発見し、「Friendly Boy」と命名しました。さらに、赤木准教授らの研究から既に見つかっていたメス機能の制御を担う「Shy Girl」遺伝子とともに、2つの遺伝子の成立過程を明らかにし、40年以上前から提唱されていた「植物が性別を手に入れる進化の仕組み」に関する理論の証明に至ることができました。また、本来は性別を持っているキウイフルーツにおいて、本研究で明らかになった性別決定遺伝子の組み換え・遺伝子編集を行うことで「人為的に両性花を作り出すこと」に成功しました。本研究の成果は今後、作物の性表現を自由自在に制御する技術へと発展していくと期待できます。

 

本研究は、香川大学 農学部、京都大学 大学院農学研究科、立命館大学 グローバルイノベーション研究機構、ニュージーランドplant&Food Research、カリフォルニア大学 デービス校との共同研究として行われました。

 

本研究成果は、日本時間8月6日(英国時間:8月5日)、英国の科学雑誌「Nature Plants」に掲載されました。

 

<論文タイトル>
"Two Y-encoded genes determine sex in kiwifruit"
著者名:Takashi Akagi, Sarah M. Pilkington, Erika Varkonyi-Gasic, Isabelle M. Henry, Shigeo S. Sugano, Minori Sonoda, Alana Firl, Mark A. McNeilage, Mikaela J. Douglas, Tianchi Wang, Ria Rebstock, Charlotte Voogd, Paul Datson, Andrew C. Allan, Kenji Beppu, Ikuo Kataoka, Ryutaro Tao
DOI:10.1038/s41477-019-0489-6

 

JSTプレスリリース

岡山大学プレスリリース

 

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図1 キウイフルーツにおける性別獲得の進化

Friendly Boy遺伝子を失ったものがX染色体になり、Shy Girl遺伝子を新しく獲得したものがY染色体になって、X-Y染色体の組み合わせで性別が決まります。