研究経過
ベトナムの野外圃場で栽培したキャッサバの時系列トランスクリプトーム解析の論文がPlant Molecular Biologyに発表されました。
September 12, 2020 6:38 PM
Category:研究成果
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理化学研究所、ベトナム農業遺伝学研究所等との国際共同研究により、東南アジアの野外圃場で栽培したキャッサバにおける時系列トランスクリプトーム解析の論文をPlant Molecular Biologyに発表しました。
キャッサバはデンプン原料として世界的に注目されている作物ですが、品種改良はそれほど進んでいません。キャッサバはタピオカや工業用デンプンの原料となる作物です。貧栄養環境でも旺盛な生産力を示すことから、気候変動に対応した持続的な作物生産や農家の経済的自立を助ける作物として世界的に注目されています。キャッサバの品種改良は非常に重要ですがこれまでうまく進めることが困難でした。交配によって品種改良するためには掛け合わせる植物同士が同時に花を咲かせる必要がありますが、キャッサバは花がいつ咲くのかを制御することが困難だからです。キャッサバが環境に応答してどのように花をつけるのかが理解されればこの問題の解決につながります。
本研究ではキャッサバをベトナムの野外圃場で栽培して栽培期間を通したサンプリングを行い、全遺伝子発現の時系列変動を解明しました。特にフロリゲン遺伝子が異なる野外環境でどのように発現変動しながら花芽形成に至るのかを初めて明らかにしました。本研究の知見は将来的にキャッサバの花の咲く時期を制御可能にすることにつながり、交配育種による優良品種育成に貢献できると期待しています。
技術補佐員の山口さんのBrAD-seq、特任助教の肥後さんがデータの情報解析で活躍しました!
Tokunaga, H., Quynh, D.T.N., Anh, N.H., Nhan, P.T., Matsui, A.,Takahashi, S., Tanaka, M., Anh, N.M., Van D.G., Ham, L.H., Higo, A., Hoa, T.M., Ishitani, M., Minh, N.B.N., Hy, N.H., Srean, P., Thu, V.A., Tung, N.B., Vu, N.A., Yamaguchi, K., Tsuji, H., Utsumi, Y., Seki, M. (2020) Field transcriptome analysis reveals a molecular mechanism for cassava-flowering in a mountainous environment in Southeast Asia. Plant Mol. Biol.Published Online https://doi.org/10.1007/s11103-020-01057-0