東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終報告(農:土肥裕花)

2017年1月13日 (金)

とうとう最終報告となりました。毎回書いている気がしますが時間が経つのは早いものです・・・。冒頭に少しではありますが植物たちの近況をお伝えします。帰省で水やりを長いことできていませんでしたが、仙台に戻ってきて見たところ元気でした。これも言うのが何回目か分かりませんが、植物はすごいなぁと思います。

まず、冒頭の写真のホウレンソウです。だいぶ葉の数が増えましたが、気に掛かるのはその葉の位置です。お店で見かけるホウレンソウはもっと同じ場所から葉が出ているイメージです。光が足りないのでしょうか。個人的にはホウレンソウの茎は好きなので味には問題ないかなと思っています。

そして前回の投稿で写真を載せられなかったコムギです。

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帰省でしばらくみていない間に葉が成長したように感じます。どの苗も茎がしっかりと太くなっていたのが印象的でした。コムギは一昨日に、前回と同じ方法で麦踏みを行いました。

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今回はすべての苗について行っています。茎が太くなったからか、結構強く押しているつもりでもすぐに苗が立ち上がってきて、コムギの生長を感じました。写真のように苗がしっかり寝るまで押しましたが、既に元通り立ち上がりつつあります。次はもう鉢に足を突っ込んで踏んだ方がいいかもしれません。

それでは最終報告です。

(1) 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、以外とうまくいったなと言うこと、という栽培について、感じたことをこれまでの発表のHPを引用(link挿入)するなどして、説明して下さい。これまでのプレゼンに使ってないような写真があれば、それを掲載してもOKです。

最初に想像していたよりも大変だったのは、この講義の大前提ですが、植物をしっかり育てることです。私は今まで主に小学校でアサガオやヘチマ、ピーマンといった植物を栽培したことがあり、またコムギの栽培も高校の時に経験していたので、植物は普通に水をやっていれば順調に育っていくものだと思っていました。しかし、この講義で野菜の栽培を始めて見ると、その認識が甘かったことを感じました。ホウレンソウでは光が足りなくて徒長してしまったこと、温度差や強風などでぐったりしてしまったこと、コムギでは水のやり過ぎに注意というHPでの情報を信じてほとんど水やりをせずにいたら全く発芽しなかったことなど、反省点をあげたらきりがありません。1番焦ったのが、ホウレンソウの葉が鉢に当たって傷むなどして、元気な葉っぱがほんの数枚だけになってしまったときです。今写真を見返しても、ホウレンソウに申し訳ないことをしたなと思うと同時に、よく持ちこたえてくれたなという感謝も感じます。いままで栽培が上手くいっていたのは、学校の先生が適切な鉢や支柱を用意してくれたり、母が水やりをするよう促してくれたりと、周りの人の協力あってのことだったのだなと気づきました。逆に意外と上手くいったのはwebでの記事の投稿です。部活の定演前などをきっかけに投稿がおろそかになってしまうのではないかと自分で自分を心配していましたが、ときどき間隔が空きつつも、植物の生長において行かれない程度のペースで投稿できたことはよかったです。どの記事もある程度の文章量で投稿できたことも、自分の文章力向上につながったのではないかと思います。また、自分の文章力で、記事の中で自分が報告したい内容をきちんと伝えられるかも心配だったのですが、いくつか工夫をすることで思っていたよりも上手くできたと感じています。具体的な工夫としては、表や図を積極的に使ってみたこと、植物の苗に番号をふったりグループ分けしたりなどして比較するときや各苗を指すときにわかりやすいようにしたこと、写真を撮るときに伸びを見せたかったら横からなどアングルを考えたこと、植物体の色を考慮して見やすい色の背景にしたことなどです。自分が難しいと考えていたことが思ったより上手くいって、できそうだと考えていたことが難しくて、と予想をきれいに裏切る結果となりましたが、植物の栽培はこの数ヶ月間楽しんでできました。

 (2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。

私は、この講義を通して、事実をもとに自分なりに原因を予想したり考察したりする力が養われたと感じています。具体的には、植物の元気がなかったり、発芽・成長に偏りがあったりしたときに、正しいかはまた別問題としてその原因を考え、それに基づいて対処をすることでこのような力を養うことができたと思います。このことは、他のさまざまな教科でレポートを書く際に波及効果がありました。多くのレポートは自分で具体的なテーマや課題に対する問題点を考え、仮説を立てて、調べたことをもとに考察します。この講義を通して問題点を見つけたりそれについて原因や対策を考えたりする練習がたくさんできたので、このようなレポートの流れが1セメスターでレポートを書いたときよりもスムーズにできるようになったと感じています。特に自然科学総合実験では、実験結果から考察をしたり、自分たちの実験値と正確な値とのずれの原因を考えたりと、身についた力が生かされる機会が多くありました。

(3)他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いますが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどを、まとめて下さい。これまでの発表のHPを参照してもOKです。

毎日の観察によって、細かいところまで着目する習慣が身についたと思います。最初に栽培を開始したホウレンソウから学んだことなのですが、植物は発芽から本葉がでるくらいまでは短時間で変化がはっきりと分かる変化が連続して起こり、それ以降は徐々に葉が増えたり背丈が大きくなったりと数日かけてゆっくりと起こる変化が主になります。私は毎日、さらに同じ日の間に何回も植物を見ていると、あまり変化がないように感じてしまい、観察が少し雑になっていましたが、日にちを追って写真を見ていると、毎日少しずつではありますが確実に変化していることが分かりました。それ以来、小さくても新しい葉が出てきていないかなど、細部までしっかり観察するよう心がけるようになりました。また、定規で長さを測って数値にすると小さな変化も目で見て分かるようになるということを実感しました。ただ、毎日の観察は、思っていたよりも苦にはなりませんでした。栽培開始からしばらく欠かさずに観察を続けていると、観察することや植物を気にかけることが当たり前になってきて、これが習慣化なのかなと感じました。どんなことも継続は大変と言われるけれど、何かを欠かさずにする癖をつけるまでが一番大変で、一度習慣化してしまったら意外と続けられるのかもしれないと感じました。

(4)大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察して下さい。

大きな変化としては、文章をしっかり校正するようになったと思います。この講義で投稿してきた記事のように、文体や形式を決めずに長い文章を書く機会がこれまであまりなかったので、今回の講義で自分の文章のクセや直すべきところに気づくことができました。書いた文章の見直し自体はこれまでのレポートや作文でも行っていたのですが、誤字脱字や文体の統一のチェックくらいにとどまっていました。この講義の記事は、先生やスタッフの方が必ずコメントを付けてくださり、また受講者同士でも参考にし合う機会が多いため、「人に読んでもらう」という意識をこれまでより強く持って見直しをしていた気がします。そのような意識を持った結果、文の正しさだけでなく読みやすさやわかりやすさも考えるようになりました。具体的には、修飾語の連続を避けたり、長い文章は分割したりといったことを心がけました。自分では評価することは

できませんが、ゼミ開始前よりわかりやすい文章が書けるようになっていたらいいなと思います。さらに、「人に読んでもらう」という意識によって、各文だけでなく記事全体でもわかりやすさなどを念頭に置くようになりました。自分の中で特に変わったなと感じるのは、情報の取捨選択をするようになったことです。毎日観察して写真を撮っていると、せっかく撮ったのだからと全部載せたくなってしまうけれど、同じような成長の部分は省いたほうが端的に伝わるし写真でも変化が感じられることを学びました。情報量を減らした方が伝わりやすくなることがあるというのは自分としては新たな発見でした。

(5)以上の(1)(4)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。

上で書いた内容と少し重なってしまいますが、この展開ゼミで学んだ、考察する力・細かいところまで着目する習慣・わかりやすさを意識した文章の校正は、今後さまざまな授業でレポートを書いたり、プレゼンをしたりする上で本当に役に立つと思います。そしてこれらのことは大学の勉強以外でも生かすことができると感じています。私は中高生に勉強を教えるボランティアをしているのですが、教える際にどのような板書や伝え方だと分かってもらえるのか考える上では読み手を意識して文章を書くこと・情報を取捨選択することが、生徒がしっかり理解してくれているかを見るときには細かいところまで着目する習慣が活かせるもではないかと考えています。また、単純ではありますが、この講義を通して植物を育てる楽しさに気づくことができ、植物に対する興味も強まったので、今回の野菜の栽培の経験を活かしてまた野菜を育ててみたいと考えています。気の早い話ですが、ホウレンソウの種がまだ少し残っているので、今度は春蒔きでホウレンソウの栽培をやってみたいと思っています。そして、まだ収穫前の野菜については、記事の投稿による報告がなくなっても、これまでと変わらずしっかりお世話していくつもりです。中間発表のときに書いた、「ホウレンソウを寒さにあてて甘くさせる」というのはやってみたかったですが、ずっと暖かい室内にいたホウレンソウをいきなり雪降る屋外に出すのは急激な温度変化になってしまいよくないと思うので今回は断念し室内でホウレンソウを育てあげたいと思います。コムギは、春を迎えてからが本番なのでまだまだ時間はかかりますが最後の収穫まで頑張りたいです。中間発表のときに立てた「後輩の参考になるような観察をおこなう」という目標については、仙台は北陸地方よりやや寒いため、コムギが仙台くらいの低温でもちゃんと育つのか、霜はつくのかなどを観察することができ、それが北陸で寒い日が続いたときなどのために参考になるかなと考えています。

最後になりますが、半年間この展開ゼミを楽しく受けることができて本当に良かったです。投稿へのコメントや栽培のアドバイス、本当にありがとうございました。

コメント

農学部・土肥さんへ

 遺伝の渡辺でございます。最終報告ですか。あっという間でしたね。コムギで村井先生と接点があるというのは、感動でした。びっくりです。世の中、狭いなと実感したのでした。最初のホウレンソウの茎が伸びている、これを「抽苔」と言います。花が咲こうとするとき、茎が伸びます。それがどの様なときになりやすいかというのは、長日です。つまり、種をまいて、外で生長させる時間が短くて、寒くなって、部屋で育てる方がよいと思って、部屋に入れたのだと思いますが、そのことで、光に当たる時間が長くなる。と言うことです。今の時期、16:30頃には、暗くなります。ところが部屋の中であれば、夜中まで光があります。部屋の明るさくらいで、光を感じるわけです。文学部の渡辺さんのも同じようなことが起きていますね。ある意味での失敗例かも知れないですが、次年度の学生さんたちへのメッセージになりますので。それは、それで。

 さて、最終報告。ホウレンソウのことは、自分でも調べてみて下さいね。生物履修、物理履修で、少し理解の深さが違うかもしれないですが、HPで調べて、理解してみる。あとは、何かの折に、青葉山に引っ越した農学部の図書館に行って、専門書を見ると、そうしたたぐいのことが書かれてあると思いますので。あと、今までの栽培は、誰かがサポートしてくれていることを実感できたことはよいことだと思います。これから先、誰かと共同研究をしたり、色々な連携があります。そんな時、できることをサポートすることで、相互によいコミュニケーションができるのだと。レポートを書くことに対して、positiveな効果があったというのは、こちらとしては、うれしい限りですね。なぜ、こんなことになったのか、なぜ、うまくいかないのか、そうしたことを考えるきっかけになり、それを文章表現すること、これから先、どんどん大事になります。ぜひ、継続して、文章力の向上を目指して下さい。

 レポートであれ、論文であれ、その読者がいるわけです。その読者に対して、どう対応したら、楽しく理解してくれるのか、そんなことを考えながら、文章を書いたり、添削すること、大事だと思います。そんな意識を持ちながら、ぜひ、これからのレポートなど、書いてみて下さい。最後にあった、コムギの栽培、ぜひ、大きく育てて、収穫までがんばって下さい。前にも書いたかも知れないですが、イネは元肥で、ムギは追肥で。と言う言葉があります。イネは、作付けする前に、しっかりとした肥料を土に与えておくこと。ムギは生長に合わせて、追肥をすると言うことが大事なのだそうです。水田と畑作の違いなのか、渡辺は専門でないので。。。いずれ、その当たり、講義が終わったあともHPに書いてもらえると、うれしいですね。もちろん、コメントはこちらから、しますので。helpも。ということで、半年間、楽しんで、色々なことが身についた講義であれば、幸いです。また、どこかで。。。


 わたなべしるす