東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表(農:平岩愛彩)

2017年1月18日 (水)

 こんにちは。農学部の平岩愛彩です。2017年となりまだ半月ですが、もう最終発表なのですね。2セメももうすぐ終わり。早いものです。

 では早速、最終発表に参りたいと思います。

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(1) 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりもたいへんだったこと、逆に、意外とうまくいったなということ、という栽培について、感じたことをこれまでの発表のHPを引用(link挿入)するなどして、説明して下さい。これまでのプレゼンに使っていないような写真があれば、それを掲載してもOKです。

 コマツナ、豆苗、吹立菜の栽培を行って、最初に想像していたよりもたいへんだったことは、まず、毎日彼らに気を配り、様子を見続けることでした(現在も継続中です)。当たり前のことながら、植物は言葉を発しません。物音すら立てません。動きません。今元気なのか、元気がないのか、元気がないならばその原因は何なのか。見た目以外で何かをアピールすることがないので、それを見分けるためには毎日その姿を見ている必要がありました。ですが、毎日見ていても、気がつくと、あれ、おかしいな?ということが何度かありました。見ていたはずなのに。例えばコマツナの徒長。それから、吹立菜の徒長。特に正月明けからなかなかに頭を悩ませているのが吹立菜の徒長です。ラボスタッフ・オガタさんのアドバイスも参考にしつつ色々と策を講じてみましたが、なかなかよくならず、ずっとひょろひょろです。どうすればよいのか...。こういう時、野菜たちがもっと何かを表してくれたらいいのに!と強く思いました(思っています)。ずっと見ていても、何か良くない変化があると、どうすればよいのかわからなくなる。そういうところがたいへんだな、と思いました。

 もう一つ、たいへんだったことは、水やりです。このゼミを受ける前、私は勝手な思い込みをしていました。それは、植物を育てるとき、水やりは毎日するものだというものです。ですが、最初の講義で、全くそんなことはなく、むしろ水やりのし過ぎで根腐れを起こすと聞いて驚きました。それにもかかわらず、我が子の可愛さ故につい水やりをし過ぎて、コマツナの根が十分に伸びず、徒長してしまうということがありました。一方で、ある程度大きくなって、その生長の様子を見守っていたら、ある日突然、全ての葉がまるでイナバウアーをしているようにくたっとしてしまったことがありました。驚いて、とりあえず何かしなければと思い、水を与えたところ、次の日には完全に元通りになっていました。原因は水不足だったようです。若い苗の頃の感覚のまま、生長してからもそのままの頻度で水やりをしていたせいでしょう。ある程度大きくなって、根がしっかりと張ってからはもっと頻繁に水やりが必要だったのです。私が育てたコマツナの場合、収穫直前の水やりの頻度は、苗の時の倍近いものであったと思います。先述したことと重なる部分もありますが、植物の様子を見ながら、その時々の状況、生長の程度に合わせて水やりをする、ということが思いのほか難しかったです。

 次に、意外とうまくいったな、ということは野菜たちをほったらかしにしていたことです。ほったらかしといってもただ単に本当に放っておいたわけではなく、様子は毎日見つつ、だけどあまり気にし過ぎずにベランダに放置しておいた、ということです。植物というものは本当に力強いもので、多少雨風が強くても、気温が氷点下になっても、変わらずそこにしっかりと生きていました(ただし、ある程度生長してからです)。多少水分不足になっても水を与えればみるみるうちに回復するという素晴らしい生命力を私に見せてくれました。ありのままの植物自身の生命力に任せて、むやみやたらに手を出さない方が、植物も生き生きしているように見えましたし、何より私自身が見ていておもしろかったです。ずぼらな私のうっかりから始まった、はっきり言って楽ちんだけどおいしい野菜が育つ、意外とよかった方法でした。

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(2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思います。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。

 このゼミを受けるにあたって、私にとって植物を育てるということは小学生以来のことで、野菜に限って言えばほとんど初めてでした。そのため、わからないこと、不思議に思うことがとても多く、その度にインターネットで検索したり、過去の先輩方の記事を読んだりしていました。そのおかげで、以前に比べて調べ物が苦でなくなったように感じます。また、4月からずっと、私は渡辺先生の研究室で学生アルバイトをさせていただいているのですが、そのアルバイトをしている中で以前にも増して、研究用に栽培している植物に目が行くようになりました。子葉の様子や苗の様子を見ていて、「あ、これはコマツナに似ているな。」「これはコマツナとは違う、吹立菜とも違う。」など、気が付くと家にある野菜たちと比較している自分がいました。特に研究室には色んな種類のアブラナ科の植物がそろっていたので、より比較のしがいがあり、観察がとても楽しかったです。

 その他にも、このようにブログ形式でパソコンを使って文章を書いていたので、以前よりタイピングが速くなりました。さらに、パソコンで文章を書くことに対する苦手意識も少し小さくなりました。今後、パソコンでレポートなどを書く機会が多くなってくると思うので、パソコン嫌いでできれば手書きで済ませたいと思っていた私にとって、とても身になる効果でした。今後に役立つスキルを得られたように思います。

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(3) 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いまずが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどをまとめて下さい。これまでの発表のHPを参照してもOKです。

 確かに、今思えば「毎日が展開ゼミ」でしたが、野菜を育てている間はもはや展開ゼミであることを忘れていました。好きで野菜を育てて、その様子をブログで紹介、というように、もはや趣味のようにやっていました。好きで観察していたので特に苦はありませんでした。                    

 毎日の観察を通して身についたことといえば、まず、小さなことでも疑問を持てるようになったと思います。例えば、「昨日は背丈が〇㎝だったのに、今日は〇㎝だった。どこが生長したのだろう。」とか、「1番の葉の形は丸だけど、2番の葉の形は楕円だ。何の違いだろう。」などなど、今までだったら大して気にしていなかったようなことが気になり、考えるようになりました。また、毎日の観察でも、例えばコマツナなら、「昨日のコマツナと今日のコマツナの違い」というようにコマツナ自身の観察もありますが、それだけでなく、「栽培開始から〇日のコマツナと吹立菜の違いの観察」や、「吹立菜と豆苗、アブラナ科とマメ科の違いの観察」など観察要素がたくさんありました。この観察要素、すなわち何と何を比べるのか、何を見るのかということを考え、実行することも日々の観察の中で身についたことだと思います。これとこれを比べたらどんな違いが見えてくるのか、なぜその違いが生じたのか、昨日から今日、どう変化したのか。考えるだけでも楽しく、さらに実際に自分の目で見て確かめて実感するとよけいに感動しました。そのおかげで、ゼミ開始時の「観察眼を養う、違いが分かる女になる」という目標が少しは達成できたのではないかな、と思っています。

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(4) 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察してください。

 この講義の開始前とあとでは、明らかにあとの方が文章力が向上したように感じます。今、この最終発表を書いていても思うのですが、以前に比べて長い文章を書くことが苦でなくなりました。むしろ、この講義では書きたいことがたくさんあったので、書くことに困らなかったです。おかげで、第一回目の投稿であんなに短かった文章が、今ではここまで長く書くことができるようになりました。また、このようにブログ形式で文章を書く場合(論文やレポートも同じだと思いますが)、ほぼ文面だけで、野菜の様子や自分の思っていることを伝えなければなりません。そのため、私はブログで野菜の様子を伝えるとき、どの様にして書けば読みやすいか、実物を見ていない読者に様子が伝わるか、理解してもらえるか、を考えて文章を書いていました。これが、実際にレポートを書くときやメールや手紙を送る時に役立っているように思います。例えば、農学部は2セメに自然科学総合実験という授業があります。この授業では、毎週実験を行い、その実験内容について毎週レポートを書いて提出します。このレポートを書く際にも、最初はひたすら教科書通り、語尾だけを少し変えて書いていました。しかし次第にどの様に書けばこのレポートを読む人により理解してもらえるかを考えて書けるようになり、またそれが自然にできるようになりました。もう一つの例として、誰かにメールや手紙を送る際、わかりやすく的確な文章を書くためにはどうすればよいか、以前の私ならとても悩んで苦労していたと思います。ですが、今ではそこまで悩まずとも、野菜の状況を書くように自分の状況・要件をわかりやすく伝えればよいので、少しは楽に書けるようになったと思います。以上のような面で、文章を書くという点で変化があったのではないかと感じています。

 また、これは文章力というよりもプレゼンに近いかもしれませんが、以前に比べて相手に伝わりやすい写真の撮り方が分かったように思います。被写体は中央、影を入れない、背景の色は白や黒で統一する、大きさの比較対象となるもの(定規など)を一緒に映す、など、写真に関しても見ている人に伝わりやすい、わかりやすいものを提示することの大切さが分かりました。

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(5) 以上の(1)~(4)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。

 この展開ゼミで、私はどんな小さなことでも興味を持ち、疑問に思い、そして自分で考え、調べる、ということをたくさん繰り返してきました。特に記憶に残っているのは、子葉と本葉について調べたことです。実際に自分で見て不思議だと思い、自ら考え調べたことはとても印象深く残るものだなと感じています。また、観察眼を養うことを目標として野菜を育ててきて、どうしてだろう、どういうことだろう、と素朴な疑問が浮かびやすくなったように感じます。これらのことは、今後、大学生活において勉強や研究をしたりするときに役だっていくのではないかと思います。やはり、興味・疑問を抱かなければ何も始まらないし、疑問を持っても、そこから先を自分で考えずにただ立ち止まっていては何も進まないからです。その他にも、先述した通り、ブログを書いていくうちに少しずつ長文を書くことが苦にならなくなってきました。このことは、今後果てしない量を書くことになるであろうレポートや論文において十分活かされると思います。

 さらに、今後の野菜の管理についてですが、私はまだ、吹立菜を収穫していません。現在吹立菜はまだまだ本葉が3~4枚程度で徒長に徒長を繰り返す困った状態になっています。前回の投稿でラボスタッフ・オガタさんにアドバイスをいただいた通り、ベランダや窓際に置いたりして暖かくなり過ぎないように気を付けてみたりしているのですが...。上手くいかないです。また、豆苗に関してはまだ経過観察途中です。お楽しみです。一株残したコマツナは順調に育っています。今回、私は最終目標をコマツナと吹立菜の交雑、およびF1世代の栽培としました。上手くいくかはわかりませんが、挑戦してみたいです。なので、今までよりも頻度は落ちると思いますが、報告としてできる限りブログ投稿は続けていきたいと思います。

このゼミのおかげで、野菜を育てる喜び・楽しさを感じることができました。手元にはまだ種がたくさん残っています。なので、この残っている種で今年もまた野菜を育てたいです。

コメント

農学部・平岩さん

 遺伝の渡辺でございます。この時期に苗の状態に近い植物で、太陽光を十分に当てることができず、変に気温が高いと、徒長気味になるのかも知れないですね。ラボスタッフのオガタくんが言うとおり。そんなものも言わない、植物が何を欲しているか、それは、ある種、物事の本質を見抜く力の要請になっているのかも知れないと、ふと、皆さんへのコメントを書きながら、思った次第です。その意味では、大変だと思いますが、ある意味、修行に近いのかも知れないですが、ぜひ、身につけて下さい。違いがわかる目を。。。毎日、水をやる。最初の講義で話をしたつもりだったのですが、忘れていたのか。。。雨が降るのは、毎日ではないと。たまにしか降らない。降ったら、ざーーーと降る。そう考えると、今回の水やりでの教訓は、活きてくるのではないかと思います。あと、小さな時にうまく育つと、あとは、比較的すんなりと。最初に手こずると、しばらく手こずるのではないでしょうか。生き物全体が、そんなような気がしますが、どうでしょうか。ほったらかしてよいというのが、うまくいきはじめた証拠のような。。。

 パソコン嫌いでしたか。。。渡辺は自分のパソコンを持ったのが、大学院の1年生の時。感動でした。今より、全然、使いにくいものでしたが。。ただ、1つ前の内野さんの記事にも書いたように、さらに磨きをかけて、ブラインドタッチをぜひ、身につけて下さい。さらに、文章を書くと言うことが上達すると思いますので。毎日がゼミが苦労でなくて、趣味というのもすごいですね。感動です。今まで気にしなかったことに疑問を持つ。それが科学をすることのスタートだと思います。自然科学でも社会科学でも。あと、今から考えれば、こんなことができたのにと言うこともあるのではないでしょうか。最初から、こんなことを測定していたら、おもしろかったのにと言うような。いずれ、少しでも「違いのわかる女になる」と言う目標が達成されていれば、よいかと。ただ、手を抜くと、その違いが見えなくなったりします。その気持ちを忘れず、精進して下さい。

 渡辺の時代は、学生実験は基礎実験が2年生、学部の3年で、各学科毎の実験に。なので、この展開ゼミが自然科学総合実験に活かされていると言う他の受講生のコメントもあり、よかったのだなと。開講した側も、よかったと。。。どの様に見せるかによって、その魅力がさらにすごくなったり、そうでもなかったりします。その点、文章、写真、図表など、これからも色々な講義でトレーニングをしてもらえればと思います。ぜひ、吹立菜とコマツナの交雑種を作り、その交雑種をこの秋に播種して、もちろん、両親と比較しながら、。。そんなことをすると、今の喜びをさらに増強させることができるのではと思います。どの様に生長しているか、ぜひ、記事としてuploadして下さい。コメントをこちらからもしますので。ということで、また、どこかでお目にかかれることを楽しみにしておりますので。。。


 わたなべしるす