東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第13回 帰省対策とその結果・折れた株の観察と土の再利用(3379字)(文:坂谷日向)

2019年1月 9日 (水)

 あけましておめでとうございます、文学部の坂谷です。

 先週は記事をアップできず、申し訳ありませんでした。代わりというわけではありませんが、今週は本日「帰省対策・結果と折れてしまった株の観察・土の再利用」をアップし、土曜日に「春くん(キャベツ)の観察結果(測定・第3回追肥)・温室の改良」をアップしようと思います。そして、最終報告の前の月曜日には今までの伸びをグラフ化したものをアップしようと思います。鈴木さんが質問していましたが、私も基本的に写真を全て使ってしまっているので、今後の投稿では使う写真を選びつつ、最終報告に備えたいです。最後まで気を抜かず、丁寧で細かい観察を心がけていこうと思います。今回は早めの投稿を目標に今のうちから少しずつ書き溜めていきます。

 さて、私にとって昨年は「初めて」づくしの年でした。大学進学に伴い、「初めて」一人暮らしをし、自炊をし、時間割を組み立て...。やろうと思えばある程度なんでもできるという自由とそれに伴う責任・大変さを知りました。いや、家族の存在というのはやはり有り難いものですね。帰省してしみじみと感じます。こっちに帰らなければならないのが、もう嫌で嫌で...。帰省最終日はぶーたれてました。2月・3月の帰省を楽しみに1月のテスト・レポートラッシュを乗り切りたいです。


★今回の内容★

1.帰省時の対策とその結果

2.折れた株の観察とその土の再利用


1.帰省時の対策とその結果

 私は12月30日~1月3日までの5日間、秋田に帰省していました。いつも水やりのスパンは3日くらいだったので、5日も植物を放置するのは不安でした。そこで12月25日~12月29日の5日間、実験的に帰省対策を施してみました。

 まずは最大の問題である水やりについてですが、これは昨年の岡田さんの記事を参考に鉢受けに多めに水を溜めることで解決しました。もちろん、鉢そのものにもたっぷり水をやりました。

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 参考にしたコメントでは「1.5cm程度」とあったのですが、帰省する期間が長めであること、年末の天気予報を見た限りそんなに気温が上がることはなさそうだが何かあったら怖いという思いから少し多めの2cm程度、鉢受けに水を溜めました。25日~29日はなるべく帰省中と同じ状態に保つため、エアコンはつけず、カーテンもこの後述べる日光確保対策以外は締め切ったままにしました。その結果は鉢受けの水はほとんど減らず、表面の土もあまり乾いていませんでした。

 続いて寒い日・冷え込む夜に室内で温度管理をしている鉢をどうするかですが、天気予報によると雪が降りそうだったので、5日間全て室内で管理することにしました。問題は日光をどうするかでしたが、カーテンを全開で帰るのは気が引けたので下のような工夫を施しました。

20190108215410-8231450bda8e29e9c2a984e7300339f17404eae3.JPG このように椅子にカーテンを引っかけ、鉢の部分だけ光が当たるようにしました。日光の効果は鉢受けの水のようにはっきりとは分かりませんでしたが、特に不便もないので帰省はこのようにしました。

 仙台を発ったときは雪がかなり積もっていて心配だったのですが、4日に帰ってきたとき(ちょっとした手違いで1日帰省が伸びました)はすっかり溶けていて安心しました。帰省が1日伸びてしまったので、鉢受けの水が乾いていないかが気がかりだったのですが、意外と減っていませんで(底から1cm弱ほど残っていま)した。ここまでくると、ではどのくらいで水が乾ききるのかが気になってきたので、このまま観察を続行しました。鉢受けの水が乾ききったのが2日後の6日で室内に置いていた鉢でした。室外に置いていたもの、温室内に置いておいたものはまだ水が残っていました。キャベツが水を吸ったというより、室内に置いていた方が温かいために気化したのだと思います。

 

2.折れた株の観察とその土の再利用

 第9回でお知らせしたように室内で育てていたものが折れてしまいました。せっかくなので有効活用ということで茎や根の観察をしようと思います。また、土も再利用して夏にトマトやなすを育てたいので、そのための準備も行いました。

 まずは慎重に土を掘り起こし、株を取り出しました。

20190108225510-c77b9c1bf86b04d670f3f11e331d613a79605d37.JPG 根っこから本葉の先までおよそ、10cm強ありました。途中茎が細くなったり、子葉が枯れたりしているのは、時間がなく3週間ほど放置していたためです。むしろ根っこに近い方はまだ水気があり驚きました。それにしても側根が見当たりません。かなり注意して掘ったのですが、切ってしまったのかもしれません。

20190108230347-05f8a31e96e8ebe0b223c00d34736bbfb13a569c.jpgのサムネイル画像 よくよく写真を見てみるとこの辺に生えていたのでは、という跡を見つけました(土の塊と間違えているかもしれませんが...)。とはいえ、圧倒的に根が少ないように感じます。下がしっかりと支えられていなかったのも、倒れてしまった一因かもしれません。また、第11回のコメントで「鉢表面に根が出てくることも普通です。この場合盆栽的に育てていますから、そもそも根を伸ばせる領域が絶対的に足らず、土表面に見えてくることもあります」ということを教えて頂いたので、他の鉢ではもっとわしゃわしゃ生えているはずです。これも日光不足の影響なのでしょうか。根が伸びない原因をこちらのサイトで調べてみたところ、「根の伸びが悪い条件下では、共通して根の分岐は少なく」なるそう。「発酵過程を経ていない有機物には、ピートモスやココピートなどがあり、いずれも安定した有機資材ですが、これらは発根に対する効果はあまり期待でき」ず、「土中に常に充分な水があると、根は細かい根を伸ばさなくなり、根を伸ばす範囲もそれほど拡げなくなる」ようでした。日光不足のみならず、水のあげすぎもあるかもしれません。ピートモスやココピート(100均で買ってきた土に含まれています)は発根があまり期待できないのは驚きでした。

 さて、残った土の処理ですが、それはこちらのサイトを参考にしました。3ヶ月程度しか使っていない土なので、そのままでも良いかと思ったのですが、「微塵になった土は、根詰まりの原因や排水性や通気性の悪さにつながる」そうなので、念には念をでしっかり下準備をすることにしました。

 まずは「不要なものを取り除き、ふるいを使ってさらに取り除」いていきます。ふるいは家になく、100均でも見つけられなかったので、網目の細かいザルを使用しました。

20190108234509-b9c769c19b7dca767312409fe81fb279854cca46.JPGのサムネイル画像 画像左がふるいにかけたもの、右が残りカスです。思ったよりも残りカスが多く驚きましたが、よく考えてみるとピートモス入りなのである意味当然かもしれません。

 続いて、不織布を敷いたケースの上にふるいにかけた土をのせ、熱湯をかけます。20190109001258-934e0fb7ca5ad5ad24a996bfdd271d02a32676dc.JPG

 熱湯をかけることで消毒効果があがり、冬の霜と寒さに当たることで病害虫が駆除され、空気に当たることで風化してさらに土質が柔らかくなるのだとか。鉢底石も一緒に寒さに当てています。あとは2~3週間に1度上下の土を入れ替えるように混ぜるといいそうです。夏が楽しみです。


●今週の記事●

 温室作成に関することですが、阿部さんの記事はとても参考になりました。あのアルミホイルの角度やら、張り巡らせ方やら頭があがりません。私は日光の反射による火災等を恐れ、うまく管理できる気がしなかったので手を出さなかったのですが、ここまで計算して作っていらっしゃるのはすごいなと思います。また、それに対するオガタさんのコメントで温室は「スキマなく覆うこと(通気口は後で考える)、日射を妨げないこと、強度があって風に飛ばされないこと、水やりなどができる大きさがあること、が必要に」なるということが書かれてあったので、それは次回お知らせする温室の改良で詳しく述べたいと思います。八巻さんのコメントにあった「トラス構造」についても兄に聞き、実践したのでそれも次回お知らせします。

●今日の画像●

 今回の記事の最初に使った画像は、スポンジボブです。少しマイナーかなと思ったのですが、無事オガタさんに伝わったようで良かったです。サンドイッチに炒り卵をのせ、魚肉ソーセージとキャベツ、ケチャップ、マヨネーズ、海苔で顔を描きました、我ながらなかなかうまく出来たと思っています。次回は仲良しな猫と鼠を作りたいと思います。お楽しみに!

★次回予告★

・春くん(キャベツ)の観察結果(測定・第3回追肥)

・春くん(キャベツ)の温室改良③

 最後までご覧くださり、ありがとうございました。

(文字数:3379字)

コメント

坂谷さんこんにちは

 スポンジボブはとてもツボを押さえた絵柄です。そのバタ臭さ、口角の上がり具合がいいですね。

 さて私も、クリスマス過ぎには娘のために二段ケーキを作りました。といってもシフォンケーキの型の大小を使って二個焼いて重ねただけです。クリームはよく菓子作りコーナーなどにある缶スプレータイプの生クリームです。つい生クリームは残しておいて捨てる羽目になりがちですが、多少割高でも缶なら無駄がありません。

 味はバナナと紅茶の二種類です。紅茶はティーバッグを包丁の柄で叩いて砕き、混ぜます。しかしそれだけでも弱いので別に紅茶を煮だして水の代わりに使います。バナナは半分潰して完全に水と置き換えます。意外にバナナは焼くと甘くなりくどくなるので、砂糖の分量が難しいですね。↓

20190109141754-75ae67e992c7f3127201862fccd4a33be77be4f1.JPG20190109141818-4589573f93bce7b129a8c163414c781e3018e138.JPG さて皆さんは一月はレポートとテストですね。単位がお陀仏(死語)にならないよう気を付けましょう。

 植物は無事帰省を乗り切ったようです。非常にたくさんのことを考えて、そして実践しておられます。特に事前に実験しているのがいいですね。実験ではそんなに水は減らなかったとのことでした。まあ、5日程度ではさほどの心配は要らないのですが、そういった姿勢は非常にいいと思います。

 本当は室内管理でなくとも乗り切れたかな、と思いますね。鉢受けの水に余裕があったとは驚きです。ざっと計算すると、2、3日に1度水をやる、そのとき一回につき150ml与えるとすると、5日でどのくらい使うでしょう。一方、鉢受けの水は計算上鉢受けが直径14cmとすれば深さ2cmの水で300mlになりません。しかも鉢受けから水を吸い上げられるのは、土に接しているところからだけですので、底面から7、8mmのところは有効にならないのです。

 考察で植物の蒸散よりも土や鉢からの蒸発が多いのではないか、というのはその通りですね。葉の面積から考えても。ただ、具体的にどのくらいの割合なのか、それが温度や風によってどのくらい変化するのか、実は私も知りません。まあ、例年受講生の植物が帰省時に枯死することはあんまりないので良し、としていますが。

 さて折れた株を使って詳細な観察をしています。プレゼンも見やすいものです。側根がないのは調べられた通りでしょう。

 そして土の処理について考えられる限りあれこれ実践しています。ふるいにかけるのは大変だったでしょう。しかも熱湯消毒とは驚きました。ただし、私としてはあまりにキャベツで育ちの悪かった土ですので、ちょっと心配な面があります。本当ならキャベツはそんなに土を選ばない植物ですから。もしも夏に何かの植物を育てるなら、イオンやホームセンターで売っている土(100均よりは高くついてしまいます)の方がいいでしょうね。あるいは100均でも腐葉土と明記されているものがあれば、それを混ぜてみるのも手かもしれません。お門違いな心配かもしれませんが、私個人ではピートモスやココヤシピートを使うことはほぼなかったもので。

 まあ、夏まで待たなくとも春に花でも植えればいいですね。実のところ手前事ですが私は野菜よりも花の方が好きで、一番好きなのはチューリップです。

 さて次回は温室の報告と、ちょっと想像つかないトムでしょうか。

それでは

ラボスタッフ オガタ