東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

ミックスの収穫、暖冬からの急成長!(工:木村陽来)

2020年11月20日 (金)

こんばんは、木村陽来です。スーパーで目に付いたので、ベビーリーフを買ってきてしまいました。値段は覚えていませんが、あまり高くなかったと思います。カイワレに至っては、50円で売っていました。白菜は4分の1カットで80円くらいでした。つまり、1球で320円ですね。自分が手間暇かけて育てているものが、それくらいの価値にしかならないと感じて、少し悲しくなりました。おそらく、私のミニハクサイは320円の価値さえないでしょうが、個人的には大好きです。

本編に参りましょう。今回は、ワタナベミックスの収穫と愛姫(ミニハクサイ)の成長に焦点を当てて、報告していきます。

(目次)
1.ミックスの収穫と食レポ
2.愛姫(ミニハクサイ)の急成長
3.まとめ

1.ミックスの収穫と食レポ

ワタナベミックスが先週と比べて急成長しました。
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(上:先週(11月13日 15:30 36日目) 下:今週(11月20日 15:25 43日目))葉の色も、全体的に緑になり成長が進んでいる様子です。大きさには十分に見えるので、収穫してしまいました。収穫したのは、この7枚です。
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収穫時 11月20日 15:27 気温18℃ 43日目
右上の葉はシュッとしていて、左下の葉はもっさりしています。また、左上の葉は紫がかった特徴的な色をしています。ワタナベミックスは、仙台芭蕉菜、ちりめん葉からし菜、清国青菜、赤リアスからし菜、からいね赤の混合なのですが、どう見てもこの時点では5種類コンプリートしているわけではありません。

実際に食べてみました。今日の晩御飯は、キムチ鍋です。
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印象に残ったのは、紫がかった葉っぱです。噛むと味が強く、少し苦いですが、野菜のうまみと歯ごたえを感じました。おいしかったです。他の葉は味がキムチに負けていました。そのまま食べた方がよかったかもしれません。

2.愛姫(ミニハクサイ)の急成長

2-1.葉は大きく、根は太く

11月20日 16:00 気温18℃ 43日目
ワタナベミックスと同じくミニハクサイも急成長しました!おそらく、最近の暖かい気候のおかげでしょう。まずは、成長具合を葉の大きさから観察していきます。
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(上:先週(11月13日 16:41 36日目) 下:今週(11月20日 15:58 43日目))先週は、葉の大きさが5cm~6cmほどでしたが、今週は、9cmと1週間でずいぶん成長しました。今週の写真では、定規が葉に隠れていますが、目盛り0cmの部分は葉の根元に当てています。
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俯瞰した写真でも、先週より葉の量が多いことがわかります。

また、根も太くなりました。
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今回、根がちゃんと土で支えられているか確認したところ、茎が曲がり前回の寄せ土をする前の状態に戻ってしまっていました。おそらく、水やりの時に流されたのでしょう。再度、土を追加しました。また、その際根が明らかに太くなっていることに気づきました。

2.2ハクサイの前兆

11月20日  同上
ハクサイらしい葉の形を発見しました。
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葉が回転するように重ねっていて、内側の葉ほど小さくなっています。よって、内側から葉がどんどん追加されていく、という成長方法なのかと考えられます。今までは、葉の形にハクサイらしさが全く見られなかったので、本当にハクサイを育てているかどうか不安でしたが、この葉を見て安心しました。

また、葉の表面に突起のようなものが見られます。これはトライコームというらしいです。過去にトライコームについて言及している記事があったので、参照させてもらうと、トライコームには、光に対する防御効果、害虫が葉の本体に近づきにくくする効果、などさまざまな効果があるようです。

2.3愛姫の間引き

11月20日 同上
3つ生えていた愛姫のうち、最も小さいものを処理しました。下は、間引き後の鉢の様子で、大きな2つの愛姫だけが残されています。
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明らかに他の愛姫と葉が重なっており、大きいものの成長を妨げそうだったのでやむをえません。引っこ抜いた愛姫はこんな感じです。
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やっぱりこの葉だけではハクサイとはわかりませんね。これもいずれ食べてみたいです。

3.まとめ

今回は、ワタナベミックスの収穫と実食をし、また愛姫の急成長具合を観察しました。愛姫の成長に当たっては、ハクサイらしい重なった葉が見られました。重なった愛姫を間引きすることも行いました。急成長している原因はやはり、ここ最近の暖かい気候でしょう。過去に、植物の成長は温度に依存するのだ、と渡辺先生が記事を書かれていますが、改めて実感しました。

参考記事
●農学部の斎藤さん(2017) トライコームについて
http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/as-vegetable2017/2017/11/11144000.php
●木村の記事(2020) 寄せ土をする前の曲がった茎について
http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/as-vegetable2020/2020/11/13230636.php
●渡辺先生の記事(2019) 植物の成長は温度依存という件について
http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/as-vegetable2019/2019/10/20221912.php

コメント

木村さんこんにちは

 自分が関わると関心が湧くもので、スーパーで野菜を見る時にも見方が変わったでしょうか。それもまたこの展開ゼミの目的です。肉でも魚でも加工食品でも、もちろん野菜でも消費者が手に取るまでには様々な背景と技術があります。カイワレ一つでも競争に打ち勝つための努力は大きいものだと想像できます。

 値段に換算すると展開ゼミはショボいものです。逆に言うと安く大量に供給するにはやはり技術があります。しかしまあ、趣味として見ると大概の場合金額に見合いません。私の趣味である園芸もアンプ・スピーカー作りも、コンピュータ改造もその通りです。園芸に限っても非常に高額の肥料とか種子も存在しますし。他人からすると意味不明でしょう。尤も、私が釣り好き人間の高額ルアーなどを見ると意味不明、そういうものはお互い様ですね。

 さてベビーリーフの収穫の話でしょうか。

 写真で見ると7日で成長ぶりが分かります。いい感じです。本来なら最初の頃の成長スピードと、ここ7日の成長とを比較できればいいんですが...... 等比級数的になったのか、どうかなどを。

 収穫のタイミングは良いものでしょうね。食味的にはこの頃がいいでしょうか。葉を並べた写真を見せられるとその形や色が分かります。5種類コンプリートする必要はなく、まあこれじゃないかな、と思って頂ければ充分です。ある程度の判別はできますが、完全な特定は難しいと思います。

 それで食レポがキムチ鍋...... 一人でこれを作られたのは凄いですね。なかなかできないことです。しかし葉の味を分かるのは難しいことで、たいがいは癖のない種類ですからキムチには負けますね。一種類ははっきりした味だったので分かったのでしょうか。

 一方、ミニハクサイも成長しています。これについては葉の大きさに着目して数値化しています。何に着目して計測するかは理系実験において大変重要なことで、実験というか研究のキモになる部分です。それほど深い何かを考えたわけではなく目に付いたところを測ったのだろうと思いますが、結果的に良い数値化ができました。その他にも根の太さにも着目しています。写真でクローズアップされているのでこちらにも一定伝わります。それもまた順調に育っている証しですね。土を足すのは便宜行うとして、根の曲がりは気にしないで下さい。

 そして上面からの写真では確かにハクサイらしい感じです。生長点が下にある(というか茎がほとんど伸びない)のと葉数が増してくるのとが合わさり、独特の密な葉になっています。この葉数が多いのが非常に重要ですね。

 トライコームについては、あまり詳しく言いませんが書かれた通りです。興味を持ち、よく調べました。

 今回行った間引きもいい感じです。間引いた株も充分食用にできます。そして切るのでなく引っこ抜いたのでしたら根が様子も観察できたでしょうか。あ、それと小さなことですが表記を統一して下さい。私は作物の種類で見ていますので、ミニハクサイという言い方で統一しています。品種名だとより具体的ではありますが、読み手にわかりにくいと思いまして。もちろんある程度詳しい人が記事を見る分には品種名の方がより重要な情報かもしれません。そのため、どちらでもいいのです。けれど括弧でしっかり併記したらその後は統一して下さい。

 さあ、このところの陽気で植物には良かったですが、一転して平年並み気温にまで下がるようです。油断せず、栽培を続けましょう。特に肥料はやった日をしっかり書いておいて、忘れないように7~10日ごとに与えなくてはいけません。ついつい感覚に頼ると忘れてしまうものです。

 次回の記事も期待してお待ちします。できれば、もう変化が大きくないので種類ごとの報告にした方が読み手にとっては親切です。

 ラボスタッフ・オガタ

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こんなものが存在するんですね!