東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第9回 最近の寒さによる生長の変化(理:山本実永)

2022年12月 8日 (木)

第9回報告 12月2日~12月8日

 こんにちは。山本である。最近は寒い日が続いており、植物もなかなか生長できない様子である。植物の生長への気温の影響はとても大きいものであると実感している。そういうわけで本題に入るが、今回はそのような話がメインとなる。

1 朝霧について

 朝霧は、前回の記事に書いた通り、株の中心で新たな本葉が順調に生長している。しかし、本葉が出てくる所は株の中心だけでなく、中心となっている太い茎と既に出てきた本葉の付け根の間から出てくることが観察された。この事実と前回の記事へのコメントから、私は以下のような結論に達した。それは、朝霧の成長点は地際にあり、その成長点が株の中心にあるように見えたということである。この出来事を通して、成長点が地面すれすれにあるということがよく分かった。下の写真は太い茎と既存の本葉の付け根から出てきた小さな本葉を撮ったものである。

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また、市販のホウレンソウに比べるとなかなか株が立ってこないということを心配していたが、これは栽培環境が違うからという結論に達した。前回の記事に対するコメントにおいて、市販のホウレンソウはトンネル栽培で暖かい環境で育てられるため株がまとまっており背丈が高いという指摘があった。私が栽培している環境では、外気と同じ寒さにさらされているため、市販のものに比べて背丈が伸びないのも当然である。背丈が伸びていない一方で、本葉の生長は順調である。株の中心を写した写真を見ると、次々に新しい本葉が出てきている様子が見て取れる。播種から59日目となる12月8日には、見えるだけで6枚の小さな本葉が出てきている様子が確認された。下の写真は12月8日の株の中心を撮ったものである。白線で囲んだものが新しく出てきている本葉である。

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これらの本葉が20㎝くらいまで生長したら収穫する心づもりでいる。

2 浅漬けミックスについて

 浅漬けは播種から54日目となる12月3日に液体肥料を規定量追肥した。下の写真は12月3日の浅漬けミックスの様子である。

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しかし、それから5日間が経過した12月8日の時点で目立った変化はなく、背丈にも変化が見られない。前回の記事へのコメントにもあった通り、肥料以外の要因があるようだ。それは、寒さと根が展開できる体積である。浅漬けミックスの生育適温は15℃~25℃であり、最近の気温はこれを大きく下回っている。また、根が展開できる体積も限界に近付いているかもしれない。前回収穫時から時間が経過し、根が少ししか張っていなかった株が生長したため、土の中はかなり混み合っていると推測される。この記事を書いた後に収穫しようと思う。下の写真は12月8日の収穫前の浅漬けミックスの様子である。12月3日と比べると、葉が濃い緑色になり、葉の先端が垂れていたところから回復している様子が見て取れる。

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第9回報告は以上である。

コメント

理学部 山本さん

育種の渡辺です。ホウレンソウはホウレンソウらしく、ミックスの中身であるアブラナ科の野菜はそれらしく生長しているかと思います。この1週間の管理も適切です。写真の撮影、どこを見てほしいかについても分かりやすい表示ができているのは進化(深化)の証拠です。ミックスについての葉っぱの収穫、小さな個体の間引きなど、他の受講生へのコメントの通りです。参考にして、是非、実食してみて下さい。その時、市販の類似野菜と比較すると、この条件下での栽培による食味への影響も分かるかと思います。対象区をおくことが大事です。それ以外については、ラボスタッフ・オガタさんが月曜日にコメント予定です。それまでお待ち下さい。


わたなべしるす





山本さんこんにちは

 全般的によく観察されていますし、教授の言われる通りプレゼンの仕方がいいですね。「見せたい」ところをうまく工夫して際立たせています。

 植物の成長についても順調です。ホウレンソウの葉数がどんどん増してきているのは健全な証拠です。むしろこの寒さの中では驚異的な成長ですね。

 指摘の通り、ホウレンソウの成長点は地際にあります。これから冬越しをする植物らしい形態です。植物にとって重要な成長点を寒さから守り、また雪などで折られないためですね。

 浅漬けミックスもまた順調で、もはやベビーリーフを越えています。ここからは好みで間引きするなり葉だけ掻きとるなりして順次収穫です。あまり葉が大きくなると食感的に硬くなってしまい、生で食べるか火を通すか微妙なところになると思います。ベビーリーフのうちにサラダ使用するのが前提のミックスになっていますから。

 ここまで順調だと、展開ゼミ最終報告の前にいずれも収穫が終わってしまいそうですね(いや、それが本来といえばそうなんですが)。スプラウトにまたトライする種子がまだあるでしょうか。

 ともあれ、余力があれば過去記事を見て、諸先輩方が何に着目して数値化したり実験したりしたか、調べるのもいいかと思います。

 ではまた、非常にコンスタントで素晴らしい投稿、お待ちします。

DSC_1334.JPG 誰もが考えるものを、本当に作ってしまったんだ......

ラボスタッフ・オガタ