東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【アウトリーチ活動】9/3(日)~9/9(土)のアウトリーチ活動(出前講義)(9/10, 17追記)

2017年9月10日 (日)

 土曜までの9月の最初の週がどの様に始まったのか、。。年のせいにはしたくないのですが、週の後半に体調を崩して、仙台市教育センターからお願いされていた2件の出前講義に伺えず。。。申し訳ありません。改めて、日程調整を頂いているようですので、必ず、伺いますので。夏の天候が不安定だったからなのか、いずれ、体調管理と免疫力向上の重要性を改めて。。。世の中では、めまぐるしく色々なことが起きているのだと思いますが、男子100メートルで日本人初の9.98秒。10秒の壁を突破と。放送で何度か見て、このちょっとの大きさの差の大事さというか、大きさというか。そんなことを実感しながら。。。


 9/9(土):飛翔型「科学者の卵養成講座」特別講義・進化論を唱えたダーウィンも注目した高等植物の自家不和合性

 本来なら、お昼前後から、このプログラムのオーナーであるJSTによる「実地意見交換会」があったのですが、最後の少しだけ、議論に参加を。委員をされている鳩貝先生野村先生などにも、こちらのコンセプトなどを語る時間ができたのは、国内で行われているほかのGSC(グローバルサイエンスキャンパス)にもよい影響ができたのではと。。

 会議のあと、引き続き、講義。例年行っている「自家不和合性」ですが、少しばかりスライドをversion up。自家不和合性というサイエンス面を語ることに力点をおいたスライド構成をその背景にあるもの、さらには、応用としての品種改良の側面などについても。少し盛りだくさんであったでしょうか。これまで色々なところで作成してもらっていたポンチ絵を引っ張り出してきて、より話が分かるように並べて、しゃべる初めてのトライ。ほぼ、時間内に収まったのは、ほっとだったですが、あれもこれもだったのは、次への反省と言うことで。

20170910143156-4cbe19e89a8ed5fd2bdf9680a16fc30dc202e823.JPG いつもは、ヒマワリの上のハチの写真を使うところを今回は、別プロジェクトの関係で花の写真を提供頂いた四国中央市立川滝小学校・村上校長先生から提供頂いたスイカの雄花、雌花の写真。雄花の上に、ハチが飛んでいて。基本、このハチは、子房を持っている雌花の雌しべ先端に受粉をしてくれることを期待するわけです。これは、ふつうのこと。では、このハチは、どこから来たのか。さらには、この後、どんな花に行くのか。ここで大事なことは「季節感」。渡辺は農学部なのでの、農作物の花の時期はある程度、カバーできていますが、それ以外のものとなると。なかなか。。それでも、ある程度の季節感は、子供の頃からの学校の帰り道で、道草をしたおかげで。。。答えてくれた受講生の方は「リンゴ」だったか、「サクラ」だったか、いずれ、バラ科の花。これは、春先に開花するわけで。夏の花である「スイカ」とは。。。この「科学者の卵養成講座」でよく話をする注意力、観察力になるのだと思います。これをきっかけに、花に注目するだけでなく、身の回りの自然に注意を払ってほしいなと。。。

20170910143431-569b821a7dc45f529aad4e497de78eb8678e236c.JPG20170910143736-3077a2756aba4d4e753f2dbbc62cecfbf2373e20.JPG 動物、植物を問わず、子孫を残すことの重要性。このあたりをイントロにうまく入れればよかったのですが、ちょっと失敗。終わったあとの受講生のコメントを見たり、質問を聞いたりしながら。。子孫は多様であるからよいわけです。それを保証するのが、お互いに遺伝子が少しずつ違っていると言うこと。そのために、自分とは異なる遺伝子を有している個体と子孫を残すことが重要になるわけです。小学校からの植物についての教育体系を改めて考えて見る必要があると思ったのですが、動物のほとんどは雌雄異個体。なので、他殖、つまり、他の個体との間で子孫を残すことが一般的。ところが、植物は雌雄同体という方が一般的。つまり、植物も何かの仕組みで他殖をしないといけないわけですが、渡辺の記憶をたどる限り、小中高でそんなことを学んだ記憶がないですし、今の高校生物の教科書も渡辺の頃の倍以上くらいの厚さがありますが、遺伝子を伴うようなことは書かれていても、自殖性、他殖性その有利、不利というか、そんなことは余り語られることもないのでは。ふと、そんなことを。

20170910143822-49518dddacd7c24e1fafdf0f1fac03b983fd121d.JPG20170910143921-b3aba2ac778c0d9dbfcb9999e3a7654b63b1e893.JPG 1つの花の中に雄しべ、雌しべがある、つまり、自殖しやすいことは、動けない植物には有利です。でも、一方で、遺伝的多様性を確保することは困難に。。。遺伝的多様性を産み出す仕組みが、雌雄異熟、自家不和合性になるわけです。もちろん、これも完璧ではなくて、環境などによって、他殖できず、自殖になってしまうことも。遺伝子で物事が決まると言うことではなくて、同じ遺伝子でもその環境によって、生き物は影響を受けます。いい加減と言えば、それまでかもしれないですが。。。可塑性というように言われています。ある種の適応力になるわけです。

20170910144005-cfd90cd6344c3059c26011401117aad4ff662df8.JPG20170910144048-43a92e622176b7f1342e97b2be2dd22db69ed8c7.JPG こんなことを「いきなり」だったので、すこしパンクしたのだと思います。少しこちらが工夫しないといけない点です。あと、他殖性、自殖性というのは、決まっているものではないと言うこと。他殖性植物も自殖することもあれば、その逆も。このあたりのいい加減さがあると言うことも、高校までの理科で教えるのは、テストをするという点では、難しいことなのだろうと。。。答えに可塑性が出て、どれを書いても「○」になりかねないので。。

20170910144145-2e123cf6c9eff4aa0d2f3a9efc87e72807fdcdf7.JPG 自家不和合性と品種改良、栽培化ということも、1つの大事な点として話してみましたが、これももう少し工夫が必要だなと。。。スライドとしては、それなりに考えて並べてみましたが、こちらのしゃべりが不十分だったのだと、反省。もちろん、体調不良でということは、よろしくないので。。。

20170910144230-439622bbe51207d7029c7720ca3a2b46788b4014.JPG それでも講義のあとに、たくさんの質問を頂きました。鋭い質問も。ちょっと考えると、その質問はあり得ないと言うことを考えないといけないという質問も。質問をする難しさも、実感してもらえたのでは。生物が好きという方の多くがどちらかと言えば、動物であって、動物と植物でその生殖システムが異なるという点の理解でもあったので、改めて、花を見て、また、考えて頂ければと思います。

20170910144304-26328b6f7546bee455c7976c30fcbe10d7dbce27.JPG
 わたなべしるす

 PS. 最初の会議のところで、この「科学者の卵養成講座」の9年間の歴史、それを継承してくれているひよこさんたち。また、彼らの活躍など、高く評価頂いたように。。。こちらとしては、サイエンスをするというようなきっかけを与えるに過ぎず、そのあと、それぞれが何をすることが大事かを理解してくれているのだと。。。講義の中で、「サイエンスとは、論文そのものがゴールではない。むしろそこから、さらなる精進が始まると思うがよい。」ということを話しましたが、「物事を為すとは、技術の習得などその一連のこと、そのものがゴールではない。むしろそこから、さらなる精進が始まると思うがよい。」ということになるかと思います。受講生の方も、ひよこさんたちもがんばって下さい。というか、こちらも負けずに、がんばるようにしないと。。。

 PS.のPS. 今回も、niceな答え、質問をしてくれた方に、渡辺の別刷を。これからの励みになったり、サイエンスをやろうというきっかけになってもらえれば、幸いです。もちろんもらえなかった方。11月にも渡辺が今度はキャリア教育の講義を行います。その時に、改めて、チャレンジしてみて下さい。

20170910142925-0a9bcc1925f2dba64df3e9784d9fff0499e6d053.JPG PS.のPS.のPS. 最初の渡辺の自己紹介で、愛媛・今治といえば。。。もちろん、タオル、造船、等と答えるのが、一般ですが、時事問題としては。。。これでしょうね。。。niceでした。

20170910143303-269854b68bdcf9761c476e206eac83dc5ba59b87.JPG PS.のPS.のPS.のPS. 9/17(日), 14:20. 遅くなりましたが、科学者の卵養成講座のHPにも、関連記事を。。。お時間のある方。是非に。。

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