東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【アウトリーチ活動】宮城県仙台第一高等学校・特別講義、ふくしまサイエンスフェア(12/5, 8, 10追記)

2018年12月 6日 (木)

 今週前半は暖かい気温というよりも、12月とは思えないような気温で推移。この記事を書いている木曜日には冷たい雨で、10oC近い気温の低下。週末に雪も降るとか。いずれ、東北にも冬がようやく。。。東北といえば、サッカー天皇杯の準決勝は「みちのくダービー」。仙台が初の決勝へ。いつもなら、正月の決勝戦のはずが。。。決戦といえば、第31期竜王戦第5局。羽生竜王が勝って、タイトル獲得通算100期に王手。。。1桁、2桁、3桁という桁違いの数字が。。若い者に負けないように、日々の精進なのでしょうか。


 12/5(水):宮城県仙台第一高等学校・特別講義「植物の生殖・自家不和合性」

 さて、そんな中日の水曜日。昼過ぎまでは日差しもあり、暖かい日中。生物部の生徒さんが研究室に実験に来たりして、交流がある、仙台一高へ出前講義に。担当は宮城一高時代からお世話になっている小松原先生。2年生向けに「植物の生殖」の話を。学校での生物の授業では、この時期に、動植物の生殖・発生のところを学習とか。そんなタイミングで、出前講義の機会を頂きました。ありがとうございました。

20181206134606-386feb07afa4d1d13ce04f777e90dd618546c5f9.JPG20181206134616-9b5810acd0ec2905bc0b83c07d4b76bc2145995a.JPG 55minという時間の中で、植物が子孫を残すために努力をしているのに、人間がしているのは。。。ということから始まり、両性花の花が多いので、植物は自殖性と思っている方がほとんど。自殖性、他殖性ということを、小学校からの理科で習った覚えもなく。。。ただ、植物もDNAを介して、子孫を残す生命体。遺伝的多様性が重要なわけで。。。では、どうやって、遺伝的多様性を確保しているのか。一方で、自殖性の植物が存在している理由は。。。

20181206134635-af5fab696e200e19a13842dbe5b9f7c1b64fb31e.JPG20181206134647-f7ff6f0e572a4f833aededa7501a3ba6d4a8e40d.JPG そんな話に始まり、自家不和合性が遺伝的多様性を確保する上で、重要であるということ。それを使って、F1雑種種子を採種して、農業に貢献しているということ。だから、そのメカニズムを理解することは大事なことと。もちろん、その高校生でそんなからくりを知る必要性はないのですが、鍵と鍵穴を使って、上手に多様性を引き出しているというのは、分かってもらえたのではないでしょうか。植物が自殖性、他殖性に適応できるという実験をしたダーウィンの例を紹介。そのきっかけは意外なものだったのではないでしょうか。そんな風に、身近なところに、不思議、疑問はあって、それに気がつく心を醸成して下さい。最後は、リンゴが自家不和合性だけど、その品種の果実をちゃんと食べることができるからくり。理科で学んでいても、食べるもので理解するわけではないので、意外だったのではないでしょうか。あらためて、自分で、果実を切ってみて、考えて見て下さい。で、あっという間に、55min間でした。

20181206134709-95c97efca15dc49c6f3fbdf3d52f3b95ee1df8f3.JPG20181206134719-fcbe7230f91092b6e57209ae217898a9c2f3b033.JPG 最後になりましたが、仙台一・小林校長先生、猪狩教頭先生、小松原先生には、貴重な機会を頂き、ありがとうございました。とても反応がよい生徒さんたちで、あっという間の55min間でした。講義の最初に、大学で学ぶなら、動物と思っていた気持ちに、少しかも知れないですが、植物も意外と賢いのだと思って頂けたのではと思います。また、どこかで接点があることを楽しみにしております。ありがとうございました。

20181206134733-b2643926b5914f87eecc1c022fce18df0732123a.JPG20181206134743-bc0e1c7f371fab521df2a6c72eb102c3e76bd120.JPG PS. 講義が終わったあと、生物担当の小松原先生と昨今の高校生物を取り巻く諸事情について、議論する時間を頂きました。渡辺が生物Iを学習したのが、1981年だったかと。それから、40年近くですので、明らかになったことはたくさんあれど、。。。生き物を生き物として、見る心を育成することが、生物学習の要諦なのではと。。。そんなことを思った時間でした。ありがとうございました。

 PS.のPS. 受講生の中に、市内の小学校へ出前講義をしたときのことを覚えてくれている生徒さんも。多分、きっと、この世代ではないのかなと。。。


 12/8(金):ふくしまサイエンスフェア

 今年も残すところ、20日余り。ここに来て、寒気団が降りてきたので、寒さがきたぶん、植物の管理等が大変に。。この週末にかけて、雪が降ると言うことだし、日照不足出し。。。植物関係も年内のことは、年内に。どうしても年越しをしたものについては、できるだけ早い開花を。というのが、残された時間でやるべきことなのだろうと。。。そうでないことも、書き物を含めて、年内に片をつけるようにしないと。。。いずれ難問です。そんな週末の土曜日。今年で、7年目の参加となる、ふくしまサイエンスフェア。渡辺の方で準備するものもありますが、実験に使う溶液類は、福島高校の先生方に事前に準備頂き、また、実験当日は、福島高校の2名の生徒さんもお手伝い頂き、今年もお世話になっての実験のスタート。そうそう、このイベント、福島市内だけでなく、福島県内の中高生が小学生以下の子供たちに、科学の楽しみを広く、公開するというもの。子ども時代に科学にふれるというか、自然を楽しむことは、大事なことだと思いますので。

20181208172252-95231548df1cd238194049ddf3d9b50c3f4ab535.JPG20181208172313-7bf2d4280c5195ad8b97a6ece8d134e9878124fb.JPG20181208172333-4a9daf335ed118da43ee2967d184989d0bea0913.JPG 渡辺は例年通り、「バナナからDNAをとってみよう」というお題で。3 setで、50名を超える子どもさん、親御さんたちに参加頂きました。一番小さい子どもさんは、4歳だったのではないでしょうか。小さな手で、一生懸命にやってくれていたのが、印象的でした。最後に、析出したのを見ると、場内が「おーー!!」となるのは、ありがたい反応でした。実験手法は簡単ですから、実験で配布した「資料」をもとに、他の植物、動物などで、生命の設計図であるDNAを単離してみるというのはいかがでしょうか。

20181208201227-3b84b286c4642fdd63a370cc1b45534d08c010f5.JPG20181208201241-542252758f74d6f4d6ebf92db2360a2b7ce893fd.JPG 講義が終わったあとには、各ブースの見学。あれこれと、興味深いものもありました。時間の関係で、酸化できたのはいくつかでしたが。。。その中で、中学生の研究発表へのコメントを求められて。。。水耕栽培での実験でしたが、なかなか実際に綿密にやろうとすると難しいと思いますが、少し観点を変えてチャレンジされてみるのもよいのではと。。。そのあとには、SSHを担当されている細谷先生をはじめ、多くの先生方と情報交換を。SSHの方向性であったり、これからの戦略など、色々なことを情報収集できました。ありがとうございました。次回は、3/2(土)の課題研究発表会で、今年度の成果発表を楽しみにしておりますので。

20181208201807-33314e29ed96f184cf10d96487d5d8f5bf1cf738.JPG20181208201823-a6888ff2161003a324beec4e8c5bcadb5432b47b.JPG
 わたなべしるす

 PS. 毎年数学のブースを出されている数学の先生をされていたところは、今年度もversion upを。高校の頃までは、数学が得意だったのですが、今となっては。。。という感じで。なんとか、理解して、チャレンジしてみようかなと。。。ありがとうございました。

20181208201546-81d0e4ea5a1b5de86559b55b6baf999ef84f1b34.JPG PS.のPS. 昨年度まで、SSHを担当されていた橋爪先生とも、新しい学校での情報交換も。時間を見つけて、伺うことができればと思いますので。

 PS.のPS.のPS. 12/10(月), 8:45、土曜日の入場者数が1,000名を超えたというお知らせを頂きました。多くの方々に、科学の楽しさを感じて頂けたのではと。。。ほっとした瞬間でした。ありがとうございました。

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