【アウトリーチ活動】福島県立福島東高等学校・特別講義、清真学園高等学校・大学研修、山形県立米沢興譲館高等学校・SSH特別講義、山形県立東桜学館高等学校・SSH運営指導委員会(7/9, 10, 11, 12追記)
2019年7月 9日 (火)
今年の仙台は梅雨らしい梅雨。気温が20oCくらいで、曇っていて、湿度が高くて。週末の連休当たりから少し気温が上がる予報とか。いきなり夏の暑さになるのは、ちょっと。。。なので、少しずつ、あがるのがよいのかも知れないですが。もちろん、夏作の農作物のことを考えると、現在の気温の推移で問題ないのか、気になるところですが。ここ最近のニュースとしては、近くでちょっとだけ、見たことがあるという場所が世界遺産への登録、今週末はプロ野球のオールスター。その次の週末もあれこれとありそうです。
7/9(火):福島県立福島東高等学校・学問入門講座「農学・生命科学入門と課題研究」
そんな7月第2週目。先週が韓国出張で、その合間にもあれこれと。そんな火曜日。福島市内でいつも伺うのは、福島県立福島高等学校。福島県立福島高等学校から、国道4号線を超えた当たりに位置する福島県立福島東高等学校へ。いろいろな分野の大学人・社会人が講義(人文社会系、理工系、生物系などなど)をするという多くの高校で行われている講義形式。玄関先には、welcome boardがお出迎え。ありがとうございました。
今回の話は、渡辺が研究している「自家不和合性」にまつわる受粉、受精と言うことをメインに。初めての高校と言うこともあって、どの様なパターンでお話をするのがよいかとあれこれと考えて、渡辺の講義枠を選んだというのは、農学というか、生物系に興味があるのだろうと言うことで、農学部、理学部生物、工学部バイオ系の違いについてのイントロ。そのあと、渡辺が遺伝学をやろうと思ったきっかけ。ハイブリッドライスの話を。では、なぜ、受粉・受精のところを研究するのか。それは、農作物の生産において、大事なポントだから。
受粉した花粉はどこへ。これにはniceな回答が。なかなかよかったです。植物の受精は、動物とは異なり、少し複雑な「重複受精」。卵細胞との融合が種子に。中央細胞との融合が胚乳に。詳しいことは、また、高校の授業などで学習して下さい。で、植物のほとんどが両性花。つまり、雄しべと雌しべが同居。これでは遺伝的多様性が維持できない。それを可能にするのが、雌雄異熟、雌雄異株、自家不和合性などなど。で、自家不和合性のからくりは、鍵と鍵穴のようなもの。植物はこの方式を情報伝達に使っていると。あまりイメージが湧かないかも知れないですが。。。動物のような集中管理型でなくて、植物は分散型の情報処理システム。
自家不和合性があるとよいこともあるけど、農耕をするには常に種子、果実生産ができないので、有利とはいえない。で、自家和合性のものが出現。また、自家和合性の獲得と同時に大事なことが、脱粒性を失うことだと。意外なことだったでしょうか。
最後のところは、課題研究が必修化される昨今。厳密にどの時期から学習指導要領が変更されるか理解できてないのですが、いずれ、自分で経験して、失敗もして、自分で考えて行動するというのは、大事なことなので。講義の最後はそんなことで締めくくり。講義が終わったところで、代表の方から挨拶が。農学というか、植物にも興味を持ってもらえたと。とてもうれしいコメントでした。自分の将来、キャリアを考えて頑張って下さい。
最後になりましたが、今回の講義を設定頂きました、遠藤先生、日高先生をはじめとする関係の先生方にお礼申し上げます。今回のことが課題研究の一助となれば、幸いです。ありがとうございました。
7/10(水):清真学園高等学校・SSH東北大学研修
今年で3年目となる清真学園高等学校・SSH東北大学研修。例年、これくらいの時期に。時間帯が少し変則的だったのが、申し訳ないのですが。。。最初に、簡単に渡辺の研究室、研究科の紹介を。続いて、担当頂いている大録先生から好評な実験にチャレンジ。何より、自分で考え、行間を読んで実験にチャレンジすると言うこと。やってみると簡単なことですが、その言葉の1つ1つをどの様に解釈するかによって、深みのある実験の「バナナからDNAを」。実習をする間、隣でやっている友達の様子をうかがい知ると言うことの大切さなど、やってみると簡単な実験。でも、たくさん考えるところがあったのではないでしょうか。今回あったチャレンジを忘れないようにして下さい。もちろん、最後に、無事析出してくれて、実験を設定した方としては、ほっとなのですが。
後半は、研究室、ガラス室の見学。研究室の説明はTAとしてサポートしてくれた古井さんと矢野君。磐城高校以来かも知れないですが、少しずつ慣れてきたのでは。。。例年であれば、この時期、ずいぶん高温になっていて、菜の花を見てもらうのが難しいのですが、今年はいくらか残っていて。これも気温の影響だと。ちょっと季節外れのものを見るのも、不思議なことと理解して、それが生き物だと。そんな感性を持ってくれるきっかけになれば幸いです。
最後になりましたが、十文字先生、大録先生、中野先生をはじめとする関係の皆様にお世話なりました。今後ともよりよい形で何かのコラボができれば、幸いです。ありがとうございました。また、TAとして、サポート頂いた、M1の古井さん、矢野君にも感謝です。こうした活動を通じて、コミュニケーション力などの大事なことを学んで頂ければと。。。
PS. 明日は、山形大・工学部で研修とか。山形県米沢市にあります。渡辺も明日は、山形県立米沢興譲館高等学校で出前講義。これも不思議なご縁です。
7/11(木):山形県立米沢興譲館高等学校・SSH異分野融合サイエンス「バイオ産業科学と社会課題」
昨年度から出前講義をお願いされた山形県立米沢興譲館高等学校。講義の大枠が「異分野融合サイエンス」。異分野融合というのを大学人も研究面で問われる時代ですが、なかなか難しい問題で。。。渡辺が担当するのは「バイオ産業科学」、広く捉えれば「バイオサイエンス」と異分野を融合するというものでしょうか。昨年度は講義枠が1回が3コマ分。それを2回だったので、6hrくらいの講義ができたのですが、今年度は半分の時間に。。。かなり圧縮したり、削ったりしたところが出たので、どれくらい理解してもらえたのか。
講義は野菜の観察から、スタート。去年は、果実で○○科という分類をするのは難しい側面もあるのですが、それでも、スイカ、モモ、オウトウ、ズッキーニ、ピーマン、リンゴ、オクラ、トウモロコシ等を準備してもらい、分類については、なかなかよいセンスでした。横断面、縦断面の観察についても、意外と縦横に切っていたり。家で畑を作っていても野菜、果物を見たことがないという割には、よくできたのでは。是非、これからも意外なものを見つけてみて下さい。
その続きが植物の生殖の話へ。植物が自殖するのが当たり前のように思っているかも知れないですが、それは不思議なこと。自殖するのがよくないのは、DNAを遺伝情報に使っているものの「しょうがない」ことなのでしょうか。もちろん、自殖に適応している植物も。そんなスタートから、自家不和合性について。不思議な仕組みだったと思います。鍵と鍵穴を使ってと言うことで、なんとか理解してもらえたのでは。。。そんな仕組みを使って品種改良もされているわけで、農業上も重要な形質。
後半と言うよりも、残り限られて時間で、歴史の重要性とキャリアについて。研究の歴史はいわゆる「先行研究」。でも、そこには研究している人の色々な思いが。そんな思いを汲み取って、課題研究に取り組むことの大切さを。人間の歴史と言うことでは、身近なところで、学校の歴史の「史料室」。すでに見学していると言うことから、そこで何を学んだのか振り返りを。先達の活躍を見ることができると思いますので。
最後はキャリア形成。十分な時間がなかったので、渡辺のこれまでの歴史を駆け足で。なぜ、博士、科学者に興味を持ったのか。さらには、高校時代に興味を持ったことの変遷を。しっかり自分で考えてできるスタイルを身につけてほしいと。講義が終わったところで、質問タイム。ずいぶんたくさんの質問を頂きました。いずれも的を射る質問で。感動でした。最後は、代表の方から今日の感想を。この言葉もとてもしっかりしていてniceでした。自然を見て、不思議に思う心を大切にしてほしいと言うことをこちらからの最後の言葉として。。
最後になりましたが、柿崎校長先生、山口先生、今崎先生をはじめとする関係の皆様にお世話なりました。今後ともよりよい形で何かのコラボができれば、幸いです。ありがとうございました。
PS. 途中の5minの休憩の時に、柿崎校長先生と少しだけお話を。生物がご専門と言うことで。次回、11月の時にお話しする時間があればよいなと。いつもトンボで往復なので。。。
7/12(金):山形県立東桜学館高等学校・SSH運営指導委員会
今週の最後は、山形県立東桜学館高等学校。今年度からSSH運営指導委員を仰せつかり。4月に課題研究の講義で伺って以来なのですが。ちょうどこの時期、オウトウの晩生の品種が収穫期。駅前のオウトウの見本園では、果実はすでにシーズンオフ。もう少し早ければ、果実があるのを拝見できたのかも知れないですが。4月の時には品種によって開花時期がずれていたのが、こんな風に収穫期でずれるのかと。
県内外の先生方がSSH運営指導委員に。委員に多様性があるというのは、よいことだなと。ほとんどの方が、はじめてお目にかかる方で。7つのSSH実施校で運営指導委員を仰せつかっていることから、そんな話を交えて、SSH活動がよい方向になるようにと。探求活動の指導の方向性等について、かなりdeepな議論でこちらもよい情報を頂けました。なお、活動の中身についてはいつものようにここでは記さないと言うことで、お許しください。山形県立東桜学館高等学校がいろいろな場面で活躍すると思いますので。その当たりで評価頂ければと。
最後になりましたが、官校長先生、兼子先生をはじめとする関係の皆様にお世話なりました。今後ともよりよい形で何かのコラボができれば、幸いです。ありがとうございました。
わたなべしるす