東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表(農:開田有紗)

2017年1月16日 (月)

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あの日あんなに小さかった種が、今やこんなにも大きくなりました。
観察も日課になり見慣れているとはいい、こうして比較
すると感慨深いものがあります。
今回はいよいよ最終発表を行いたいと思います。



(1)
植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、意外とうまくいったなと言うこと、という栽培について、感じたことをこれまでの発表のHPを引用(link挿入)するなどして、説明して下さい。これまでのプレゼンに使ってないような写真があれば、それを掲載してもOKです。


大勢で受ける講義とは違う、ちょっと面白いことをしてみたいという気持ちと、植物を育てるのは面白そうだなという気持ちでこの講義を受講することを決めたのですが、当初、栽培はもっと簡単にできるものだと思っていました。水をやって、光に当てて、肥料をやっていれば枯れることはないだろうな、とその程度の気持ちでしたが実際に栽培を始めてみると、思っていたよりも大変なことの連続でした。

まず始めにぶつかったのが徒長という壁。今考えても私の栽培観察の中で徒長こそが最初かつ最大のトラブルだったように思います。徒長に気付いてから本葉が出てくるまではハラハラの毎日でした。適切に水をあげていればうまくいくだろうという見通しの甘さに気付いたのもこの時です。土を足すという対処も少し遅くなってしまい焦りましたが、他の受講者の方の記事や教授・スタッフさんのコメントからアドバイスを得てなんとか持ち直すことができました。土寄せだけでなくライトを活用したり...徒長に悩んでいた頃の写真今の写真を見くらべると感慨深いものがあります。特にブロッコリーは徒長していた頃の弱々しさが跡形もありません。記事の中でも何度も書きましたが、植物の力強さを改めて感じます。

ゴールとして野菜を収穫するということを挙げるならば、日々の目標は「枯らさないこと」ではなくて「元気に、丈夫に育てる」ということであり、これはとても難しいことだと感じました。適当に育てては、おいしい作物は実りません。農家の方々の手間ひまや知識、技術の偉大さを感じます。同時に、自分がこれまで育てたことのあるアサガオなどの力強さや栽培しやすさを認識することにもなりました。これには時期と育ちやすさの問題もあるとは思いますが。しかしそうした時期も踏まえ、時には利用しながら、適切な時期に適切な管理を行って野菜は作られていることがよく分かりました。今まで何気なく見てきたスーパーに並ぶ野菜も、改めて見てみるととても綺麗で立派だと感じます。これから野菜を買うとき、食べるときの感謝はひとしおになりそうです。

自分の中で上手くいったと考えているのは、中盤以降の栽培と誰もやっていない試みへの挑戦です。中盤以降の栽培、特に徒長が解決して本葉が出始めてからは比較的安定して成長を観察できたように思います。葉の黄変などもありましたが、アドバイスを頂いたり、WEBサイトで追肥のタイミングなどを調べたりすることでうまく乗り切れています。新しい挑戦というのはカイワレダイコンのザル栽培です。別のことをやってみようという思いつきもですが、しっかりと育てて最終的に収穫できたということが大きかったです。予想通り根まで収穫して食べられ、カビの発生もなかったことは嬉しかったです。


(2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。

植物の栽培では、成長の様子をよく観察しながら、その観察に基づいて現状を考察・把握したり、問題が発生した時にはその対処法を調べたりすることが大切でした。現状の把握にも対象法の調査にも、細かな変化を見逃さないことが重要です。
自然科学総合実験ではこの細かな変化に気付く観察眼を生かせたと思います。試薬の色の変化や泡の発生など、観察せよと教科書に明示されていない部分でも気付いたことがあればノートに記すようになりました。一年次の今行っている実験では結果が大まかに分かっていることが多いですが、これから難しい実験に取りかかったり、自分の研究をするという段階になったりすると、自分の目により詳細な点まで観察することがより重要になっていくと思います。これからも観察眼を養っていきたいです。


(3) 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いますが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどを、まとめて下さい。これまでの発表のHPを参照してもOKです。

毎日の観察の中で身についたのは、客観的に見て、客観的に記録するという意識です。特に写真の撮影では定規を植物と一緒に撮影したり、背景を植物の様子が分かりやすいようにしたりと、教授のアドバイスや他の受講生の記事を参考にしながら工夫を行うことができました。記録するという点では、日付だけでなく時間まで正確に記録することの大切さや、成長具合を知るための定点観察・計測値のグラフ化といったさらなる客観性を持たせる手段について気付かされました。

また、継続力も鍛えられたと思います。今回の植物の栽培のように長期間の調査では客観性は継続によって裏付けられます。当初目標としていた週に1回ペースでのブログ更新は達成できなかったという反省は残りますが、水やりや追肥といった毎日の世話は継続して行い、ここまで枯らすことなく育てることができました。記事の投稿の継続については、教授やラボスタッフの方々がくださったコメントがとても励みになっていました。ささいな文章でも全ての記事にくださったコメントを、手紙の返信を読むような嬉しい気持ちで読みながら次の投稿のモチベーションにつなげていました。毎回丁寧にありがとうございました。


(4) 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察して下さい。

この講義で文章を書くことによって、以前よりも書く前に文章の構成についてよく考えるようになったと感じています。例えばこのブログでの文章で言えば、今日はどの野菜についてどんなことを報告するのか、時系列順に並べるのか、植物の種類ごとにまとめて報告するのか、などです。話の流れが分かりやすいように書き始める前によく考え、その記事では何について報告したいのかを今までより意識するようになりました。
話の流れが分かりやすいように構成を考えてから書くことはブログに限らず全ての文章を書く場面で重要だと感じます。英語の講義で行う英作文やレポートなど、意識する場面は多くありました。特に自然科学総合実験のレポートでの、実験の原理について教科書を要約したり調べたことをまとめたりする場面です。教科書を最初からなんとなく要約するのではなく、どの情報がこのレポートにとって本当に重要な情報なのか、どの順番で書いたら分かりやすいかなどを考えてから書くようになりました。意識する前よりも比較的分かりやすく伝わりやすい文章を書けるようになったのではないかと思っています。

また、このブログを書くことで長文を書くことに対する抵抗が少なくなったようにも感じています。堅苦しくない文体で、自分の思ったことや考えたことを好きなように入れつつ、自分のペースで文を書けるこの機会を経て、「長文を書くのは辛い」という意識が薄らぎました。これまで字数指定のレポートをあまり課されたことがなく、中間発表での2000字以上という字数指定も書く前は多くて大変と感じていたのですが、書いてみれば案外クリアできるものであると少し自信がつきました。今回の最終発表も4000字以上の字数指定ですが、なんとかクリアできそうです。長文を書くことへの抵抗があり、心理的にレポートに取りかかることを後回しにしてしまいがちでしたが、これからは長文でも必要以上に苦手意識を持たずに取りかかることができそうです。


(5) 以上の(1)(4)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。

この展開ゼミで身についたのは大きく分けて観察力、継続力、伝達力です。観察力や継続力は(1)で述べたようにこれからの実験などに生かすことができると思います。どんな実験の時も定量的な観察、客観的な記録を意識して行うことで、正確で有用なデータを蓄積でき、それが発展的な考察に結びつくのだと思います。継続力は学問に限らず様々な面で生かして行きたいです。日々の生活や部活において、途中で投げ出すことなく継続することは大変ですが得るものも大きいと今回の展開ゼミを通して学びました。また、伝達力はレポートなどの文章は勿論、プレゼンテーションなどの発表にも生かしていけると思います。資料の読みやすさや写真の使い方、レイアウトなど伝える人の視点に立つことを意識することで、相手への更なる伝わりやすさを目指していきたいと思っています。

収穫していない野菜ですが、現状としてはブロッコリーが2個体あります。これはこのセメスターが終わっても引き続き育てていく予定です。どちらもまだ花蕾が形成されていないため収穫の日は遠そうですが、長い目で育てていきたいと思います。春休みは
SAPへ参加するので誰かに預かってもらうことになりそうですが...。できれば収穫はその時期を避けてほしいとわがままを思ってみたりしています(笑)。ここまで時間と思いをかけて育てた分、やはり自分で収穫して食べたい気持ちは強いです。
現在は花蕾がなかなか形成されないことについて調べてみているのですが、同じことで悩んでいる方が結構おられるようでした。ただアドバイスは記事によってバラバラで、肥料のあげすぎと書いてあるページもあれば肥料不足と書いてある記事もあったり...。その中で最も多く上げられている原因で、なおかつ当てはまりそうなものは種まき時期の遅れでした。花蕾は言わずもがな花であるので、日長時間とも関連がありそうだなと思っています。最近は日光だけで十分成長していたブロッコリーですが、今度は光量を加える目的ではなく、日長時間を錯覚させるためにデスクライトを用いてみるのも良いかなと考えています。


今回の記事が最終発表ということにはなってしまいますが、また何か変化があれば是非ブログは更新したいと思っています。またアドバイスなどをお願いする場合があるかもしれませんので、その時はよろしくお願いいたします。

以上を私の最終発表とします。
自分で育てた野菜を収穫して食べるという目標も達成でき、今セメスターの中で一番刺激的で面白く、楽しい講義でした。
私の記事を読んでくださったみなさん、欠かさずコメントをくださった教授とラボスタッフの方々、本当にありがとうございました。

コメント

農学部・開田さん

 遺伝の渡辺でございます。スタートの種子と現在のブロッコリーの比較。色々な苦労があったとはいえ、その努力の結晶というのがよくわかる対比の写真だと思います。「徒長」、これは多くの受講生に対して、壁となって立ちふさがりましたね。しっかり水管理をして、土寄せをしたことが、効果的であったと言うことだと思います。植物の栽培と言うことかもしれないですが、これから色々なことを行うという上で、壁に当たったとき、どうするかという対応に活かして下さい。最初のところでうまく壁を越えたことが大きな原因と思いますが、途中で、追肥を効果で着にできたのもよかったです。また、その大変さから、毎日の野菜がどれだけ大変な思いをして、スーパーに並んでいるのか、実感してもらえたことも講義の1つの目標でもあるので、大事なことを吸収できたのではと思います。あと、ざるを使った栽培は、高く評価できるものだと思います。あれを使えば、根っこまで全部食することができる。あの戦略を見たとき、へーーと思いましたので。

 先の田阪さんもそうでしたが、自然科学総合実験との相乗効果を書いてあり、そうした他の講義とうまくlinkして、これからも効果を上げてくれると、うれしいですね。植物の管理をしている場合、多くは、日単位で十分なのですが、カイワレダイコンのように、時間単位で計測をすると、変化の大きさに気がつくことがあります。そんな風に、物事を調べるときの時間軸をどの様に調整するか、自然科学総合実験でも、ぜひ、活かして下さい。こちらからのコメントが、次の記事をuploadするための励みになったというのは、講義をしている側としては、うれしい言葉です。全ての講義がそういうことにならないと思いますが、講義のこれと言うことをモチベーションにして、がんばって下さい。

 文章の流れを作ると言うこと。これは、なかなか、大変なことですが、大事なことです。その点で、ブログを書くときに写真を並べてみたのではないでしょうか。その並べ方で、どの様な記事になるか、変わると思います。レポートを書くときも、dataを並べて、この順番というようにして、書き始めてみる。ぜひ、トライしてみて下さい。もちろん、最初の所に、どんなことを書くと、読みやすくなるかというのも、この講義のブログで経験したと思いますので。あと、文章を書くのは、慣れないですよね。渡辺も昔は苦手でしたが、今は、そうでもなくて、日本語であれば、書いています。英語は、まだまだですが。。。4,000字というのは、原稿用紙、10枚ですからね。昔であれば、想像を絶するレベルだったのでは。ただ、手書きでなくて、ワープロを使う分、なじみやすいところもあると思います。ぜひ、継続して、文章を書くことをトライしてみて下さい。

 ブロッコリー、ぜひ、これからも栽培を続けてみて下さい。今年は比較的寒い冬なので、花蕾ができるのが遅いかも知れないですが、肥料を欠かさず、栽培して下さい。葉っぱの緑が濃くなるくらいに。その分、花蕾ができたとき、大きな花蕾に生長すると思いますので。肥料は上げすぎると、栄養生長をするので、花蕾は遅くなりますね。一方、上げなさすぎると、植物体としては、小さくなるので、その分、花蕾ははやくなると思います。せっかくなので、大きく育ててみてはどうでしょうか。ぜひ、変化が出てきたら、ブログ更新、楽しみにしています。一番刺激的でおもしろく、楽しい講義だった言うのは、開講した側としては、うれしい限りです。ということで、また、どこかでお目にかかれることを楽しみにしておりますので。。。


 わたなべしるす