東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表(法:小竹大地)

2019年1月20日 (日)

 

 これが、この講義の最終報告となり、いままでの観察記録の締めくくりとする予定ですが、まずはこれまでに何度もきちんとした対応をとれなかったことをお詫び申し上げます。また、本来ならもう収穫の時期に入る予定でしたが成長具合をみたところもう少し様子をみたほうがよいと思うので収穫はもうすこし伸ばそうと思います。種まきからもう少しで4ヶ月が経過しようとしています。思い返せば長い付き合いとなっていますが無事に収穫を終える最後の最後まで気を引き締めて頑張りたいと思います。

(1) まずたいへんだったことと言えば、これは中間発表でも触れましたが水やりの調整と生育場所の選択です。大根は植物のなかでも成長に多くの水分を必要とするため実際にどれくらいの水をやればいいのか、またあまり日光の当たらない環境下においてどのような工夫を凝らすのが適切なのかとても悩みました。また、第9回観察記録(http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/as-vegetable2018/2018/12/13194421.php)において記事としたように、11月頃は大根の様子があまりよろしくなく、葉も生気を失い茎も地面に向かって倒れるように伸びていました。10月頃は僕自身も引っ越しなどがあったのでその影響を大根も少なからず受けていたのだろうと思います。しかし、この件については単なる水不足であったことが後から分かったので、水やりを怠った自分のミスだと気づき深く反省しました。それに加えて、帰省の時の大根の処置についても悩みました。僕は結局、コメントを受けて、いつもよりも水を多めにやって生育場所もベランダに置いたまま変えずに仙台を去りました。2週間後、こっちに帰ってきたときにも大根を心配していましたが、結果的にはなんともなかったので良かったです。去年の、ミニ大根を育てた文学部の中里早希さんの記録http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/as-vegetable2017/2017/12/31220252.php)などを後になって拝見しましたが、僕のしたこととは比べものにならないほどに工夫を凝らしていると思いました。わざわざ100円ショップで買ってきたペットボトルの水やりを用意したり、梱包材で鉢植えを包んだりするなど、ひとつひとつの工夫に栽培に対する熱意がひしひしと感じられました。僕は栽培に関してトラブルが起きたときは、慌てて対応をするという感じでしたが、中里さんのように普段からしっかりしている人は前もってそういう事態に陥らないように対策を講じているということが改めてわかり、自分の行き当たりばったりな考え方を自覚しました。逆に、意外とうまくいった点についてですが、最近は失敗続きだったので正直にいうとあまりぱっとは思いつきません。強いてあげるとするならば、少なくとも最初の段階は全体を通してみてもうまくいっていた時期であったと思います。最初は、あまり慣れていないこともあって特に大根の様子には気を配っていたので大きなミスもなく順調であったように思います。しかし、中盤あたりは慣れ始めていた時期でもあったので、あまり注意深く様子を観察することも無く、ただ漫然とその様子を記事として投稿していました。だからこそ、後半でそのツケが回ってきたのだと思うので、せめてそのことに気づいたこれからは今まで以上に気を配っていきたいと思います。

(2) 僕は2セメの現在、月曜日の4講時に冬木先生の自然と環境という講義を受けていますが、この講義で触れている内容にも、今回の講義とは少なからず関連があったかのように思います。例えば、僕らは野菜を一人2種類(多くても3種類)育ててきました。それは専ら、観察記録をつくりあげ投稿する目的と、最終段階で収穫して自分で調理し食べる目的の下で行われていたと思います。けれども、冬木先生の講義で取り扱われた農作物は、もちろん食用として栽培されているものもありましたが、燃料や飼料さらには投資にも利用されている農作物が数多く見受けられました。農作物は食用の他、バイオエタノールとして燃料に利用できることくらいは知っていましたが、まさか上場企業の株と同じように投資の目的としても利用されているとは思わなかったので衝撃を受けました。少なくとも、この秋冬野菜の講義を受講している学生たちの中に、食用以外の目的で野菜を栽培している人はいないと思いますが、冬木先生の講義を受けて、たとえ同じ種類の作物であったとしても生産者、消費者の意図によって全く異なる利益や効用を生み出すということが強く実感させられました。

(3) この講義は一応木曜日の4講時に籍を置いていますが、実際は毎日の観察の記録を週に1回程度の頻度で記事としてアップロードするというものでした。大学生活を送りつつ、毎日のように野菜の様子に気を配るというものはなかなか大変なものでした。でも、その苦労の代わりに得たものもいくつかあると思います。例えば、毎週一定量の文字数をアップロードすることで文章力やそれを支える観察力などが受講生のすべての人が得られたものだと思います。大学生である以上、講義によっては、課題としてレポートの提出を命じられることは数多くあるでしょうが、今回のように毎週のように観察記録としてのレポートの提出を課題とする講義はなかなかないと思います。けれども、自分の考えや意見を文字という客観的な形にして誰にでも見れるようなものにするという作業はやはり大事だと思います。だからこそ、この講義で得ることができたある程度の文章力はこれからの講義でも必ず役に立つ日が来ると思います。もう一つ身についたものと言えば、大根の観察の習慣化であると思います。僕は、好きなときに起きて好きなときに寝るという割と不安定な生活習慣を続けているために、なにかの作業を定期的に必ずやるといったことがどうも苦手でした。しかし、今回の講義を通して、短時間ですが毎日のように大根に水やりをすることで、僕の中で大根の世話をするという行為が習慣化されていったかのように思います。このようにやらなくてはいけないことを無理矢理でもいいから自分の中で習慣づけしなくてはいけないことは、これからの生活においても多々あると思います。そのようなときは、今回の経験を活かして、やらない理由を探すのではなく、是が非でもとりあえず行為を続けることで、その行為を自分の中であたりまえのものにすることで習慣づけを行っていきたいと思いました。

(4) この講義では文章を書くという行為が、講義を進める上で必須となっていますが具体的にどのような能力が文章を書くうえで必要になってくるかは、もちろんその時々において異なってきますが、今回の展開ゼミは主観的な文章と客観的な文章の両方が求められていたと思います。例えば、主観的な部分の例を挙げると、植物が成長または成長の仕方についてなぜそのような変化が起きたかという理由について考察するのが主観的な部分であり、客観的な部分については、野菜の大きさ、気温、栽培日数のような具体的なデータを挙げることにあると思います。そして、どのような点に変化があったかを考えると、これもまたいくつか変化した部分があると思います。その一つとして挙げられるのが、文章の組み立てです。僕は、最初の方の投稿では文章の前後の文脈など特に意識するようなことはありませんでしたが、後半に入って文章量が増えると、さすがに文章の構成というものを意識するようになってきました。まず、漠然と序論、本論、結論の内容を頭の中で思い浮かべ、序論では自分の近況や最近の出来事を踏まえつつ、本論で野菜の変化や様子、課題や目標などについて触れ、結論でこれからの方針や相談したいことについて文章におこす、といった流れが僕のこれまでの観察記録のだいたいの流れであったかのように思います。もちろん、現段階の文章にも課題はたくさんあるし、自分でもあまりおもしろい内容の文章とは言えないと思いますが、それでも初期段階の文章に比べたら少しくらいは見やすい文章に変化したいと思います。文章を書くときに、ただ闇雲に思ったことをあげつらうのではなく、漠然としていてもいいからとりあえず最初に文章の全体像をイメージすることは首尾一貫とした文章を作成するうえでとても重要なことであると思います。もう一つ変化した点を挙げるとするならば、この段落の最初でも触れましたが、主観的な文章と客観的な文章をほどよく織り交ぜる点にあると思います。例えば、野菜の画像や葉の大きさのような誰にとっても、同じように受け取れる情報を前回のものと比較し、そこから自分の考えを書いていくといった行程を踏むことがこれまでの文章で何度かあったかと思います。根拠もなしに自分の考えだけを挙げていては、想像や空想と大差がないし、かといって具体的なデータだけを挙げていても、それでは講義として観察記録をわざわざ見てもらう意義が無くなってしまいます。だからこそ、客観的な情報を根拠として、自分なりの考えを構築していくというやり方がとても大事になってくるのだと思います。

(5) 今回の講義を経て、できたと思う部分よりも出来なかったと思うところのほうが多いと思いますが、それでもいくつか習得できたと思うところもあります。例えば、視野を広げることです。野菜の成長を観察するというと、茎の長さや葉の大きさだけに目が行きがちですが、他にも、鉢受けを見て一日の水分の吸収量を把握したり、茎や葉っぱの伸びる方向を見て法則性を感じ取ったりなど、いろいろな部分に発見すべき特徴が野菜にはあると思います。ものごとを多角的に捉えて、特徴や良い点悪い点などを把握するという習慣づけは、この授業を通して少しは身についたと思います。そして、僕が一番身についたと思うことは、些細な疑問でも自分なりに調べようとすることだと思います。僕は基本的に億劫な性格をしているので、なにかに疑問を持つことは割と多くあっても、よほど暇でも無い限りわざわざ調べようとは思いませんでした。でも、この講義では野菜に何か問題(葉っぱが枯れたり、茎が折れたり等)が起きて、それをなにもせずに放置していたら大変なことになるので、今回の講義では何かが起きたら、また、何かをするときにはインターネットで情報を検索するようにしていました。もちろん、インターネットの情報だけを鵜呑みにすることだけが一番いい方法であるとは必ずしも言えないと思いますが、興味や関心をもった事柄を調べることで、その問題に対する対応策のみならず、関連のある他の情報なども同時に見ることができるので、特に学生であり機会が豊富にある今のうちに気になることはどんどん調べるべきであると思います。次に他の人たちと比較して、研鑽すべき部分について触れます。まず、その一つとして挙げられるのが、野菜の栽培に対する熱意です。僕自身、もちろんやる気がまったくないわけではありませんでしたが、秋の半ばごろは環境の変化もあり、あまり野菜の栽培に熱心的とは言えませんでした。しかし、他の受講生の方々は自分たちなりに簡易温室栽培をしたり、水やり専用のペットボトルを購入してきたりするなど、週に1回の投稿だけでもこの講義に対する意気込みが伝わってくるような投稿が多々ありました。その意気込みがあるからこそ、なにか工夫を凝らそうという発想が生まれてくるのであり、そして望ましい結果も現れてくるのだということを今になって自覚しました。もう一つ研鑽すべき点は、これはもう何度も触れていますが対応の遅さです。何か問題が起きても、それに築くこと自体が遅く、なにか対応をとることも今回の講義では遅かったと思います。この展開ゼミは、最初の講義で資料も十分に与えられていたし、教授と生徒の双方向の授業であるのでコンタクトをとる機会は十分にあったはずなのに、そのチャンスを生かし切れなかったのは本当にもったいないと思います。大学生は、常になにかの締め切りに追われているものであると思うので、どんな状況であれ迅速で臨機応変な対応が求められてくると思いますので、特にその部分を中心に直していきたいと思います。

(6) 今回の展開ゼミは、双方向性を意識して先生方からコメントをいただけるようになっていました。僕は大根を育てているので、特に水の量が肝心となってくるからか、鉢受けや水やりについてなど、水分に関するコメントを数多くいただきました。どのコメントも自分ではなかなか判断がつかないような事柄ばかりであったので、そのようなコメントは野菜を育てる初心者である僕にとってはありがたいものでしたが、どのコメントについても対応をするのが遅かったように思います。そのせいで、他の方々から改めて指摘を受けるまで行動を移せなかったのは、自分の反省点であるように思います。ですが、逆に言えば、実際に行動を起こしてみたら望ましい結果が得られたことが多かったので、野菜は小さな工夫でも大きな変化を起こすことを実感しました。

(7) 中間発表では、いかに双方向性の講義であることを自覚して先生方のコメントに対応出来るか、そして間引き、収穫をしっかりと達成できるかといった2点について主に目標として取り上げたかと思います。一つ目の目標については、はっきりといって全然駄目であったと思います。第8回観察記録(http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/as-vegetable2018/2018/12/06193906.php)を書いていた頃は、他の受講生の方々と比べても、自分の記事は明らかに見劣りしていたように感じます。2つめの目標については、まだ達成できるか出来ないかはこれからの行動に懸かっていると言えます。なので、一つ目の目標について達成できなかった理由について考察すると、バイトやほかのことにかまけていて、あまり野菜の栽培に熱心的でなかったのが一番の理由であると思います。

(8) 今回の展開ゼミで得た、文章力と考察力は、講義でのレポートやテストなどに対してはもちろん、就職活動で自己アピールなどにも応用できると思います。そして、これからの収穫についてですが、あまり時期を延ばしすぎても作物にいい影響を与えないので、春休みに入る頃にはさすがに収穫を終えるつもりです。多分、大根は今まで十分な水分を摂取できていなかったので、これからは土を寄せて、常に鉢受けに水が浸っているくらい、たっぷりの水をあげようと思っています。今まで拙い部分も数多くありましたが、せめて収穫だけは責任をもってしっかりとやり遂げようと思います。では、これを最後の投稿といたします。

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コメント

法学部・小竹さん

 遺伝の渡辺でございます。最終報告の〆切初日に投稿するという試みは、評価できますね。投稿の回数、タイミングについては、一定のものがあったことはよいことです。一方で、この講義の目的である「長い文章を書く」ということが途中の段階でできてなかったのは、残念でした。水加減をどうするかと言うことがかなりの問題だったようですが、ラボスタッフのオガタくんから、水加減、鉢受けのことなどの指摘があったり、他の受講生にも、多くのコメントをしていました。ここでは、1つの例として、中里さんの投稿記事を参考にしていましたが、同じ気温でということであれば、宮教大の金さんも品種は違いますが、ハツカダイコンの栽培をしていました。これというように絞らず、広く見る眼を養うことで、他の人たちの色々な工夫が見えてくると思います。講義を聴講している学生と教員という双方向性だけでなく、学生相互の双方向性にも注意を払うように習慣づけて下さい。

 「継続は力なり」という言葉あるように、続ける事は大事なことです。今回の講義で学んだことを他の講義にも波及させて、「続ける」ということをやってみることだと思います。その意味で、「毎日が展開ゼミ」ということの大変さから、多様なことを学んでくれたのではないかと思います。その学びを忘れないように。

 文章を書くときの主観的なこと、客観的なことと言うような切り分け方をしたのは、初めての受講生だと思います。よい点に気がついていると思います。また、文章を書くときに、流れを大事にすると言うこと。これも「ストーリー性」という言葉で、話をするのですが、その日に書く記事の元となるdataが揃ったところで、それを観察した順番でなくて、何から書くのか、何に主眼を置くのかと言うことを気にすることは、とても大事なことです。それによって、読み手への伝わり方も違っています。まさに、reader-friendlyという観点だと思います。reader-friendlyという観点では、これまでの投稿の多くが、もう少し大きなfontを使って、また、行間を空けるなどして、読みやすくなっていたように思いますが、今回の最終発表では、項目ごとに、質問内容がなかったり、fontがずいぶん小さくなっているのは、残念でした。

 他の投稿も上に上げた以外にも見ているようですが、是非、それらについて、着目したことなどをlinkを入れて、例示があれば、よかったと思います。講義への取組は、それぞれだと思いますが、他の受講生といろいろな意味で比較されるはずです。あるいは、過去の受講生とも。そうしたこともふまえて、これからの色々な講義で、今回の学びを有効活用して下さい。最後にあったように、作物を育てると言うことは、バイオエタノールのようにしないのであれば、食すると言うことが、ある種のお礼になるのだと思います。植物への。おいしく頂いて下さい。半年間、ご苦労様でした。


 わたなべしるす