【出前講義】SSH交流会支援事業「遺跡のモモ核から日本のモモの栽培化という進化をさぐる共同研究・発表会」での指導・助言(12/26)
2015年12月27日 (日)
クリスマス寒波が来ると言われながら、以外と暖かい週末で、。。こんなことを書くと、新年にかけて、大雪になったりしてはよくないのですが。。。ただ、札幌で真冬日がかなり遅かったと。暖冬は暖冬なのだと。。。そんな暖冬と言われるなか、2015年最後の出前講義は、京都市内。実施運営されているのは、奈良県立青翔高等学校のSSH。去年の岡山県立倉敷天城中学校でのSSHの発表会の時に、ご一緒したのが、ご縁で。。。地面の下、もちろん、場所にも寄りますが、歴史の地層が重なっているもの。昔、渡辺のlabがある生命科学研究科・本館の一部を壊して、新棟を建てたとき、地面の下から、100年前のものとおぼしき、レンガが出てきたのを見たのを思い出します。さらに、その下には、江戸時代の何かが、ちょうど、青葉城の城下町があったところだと思いますので。その前となると。。。いずれにせよ、ゲノムだったか、染色体のなかに、遺伝子の歴史が刻まれているといった遺伝学の先生の言葉のように、地層には地球の歴史、人の営みが刻まれているわけです。
こうした地層の中には、遺跡があり、土器だけでなく植物遺体もでてくることがあるというのを、昔、発掘の仕事をしていた方から拝聴したことがあります。奈良、京都言えば、「都」があったところなので、余計にいろいろなものが出てくるはず。建物を建てる時には、掘り返して、地面の下を調べると。その中に、「モモ」の種子が出てくる。このモモの種子を調べることで、どの様なモモが人の移動に伴い、移動し、栽培されるようになったのか。木本なので、大量の種子が出てくると言うことは、中国、朝鮮半島を伝わって、来た時、そのまま、放置されていたと言うよりは、栽培化されていたと考える方が、よいのでは。もちろん、その時を見たわけではないので。このことを、奈良県の遺跡だけ出なくて、去年までやっていた同じSSHの「ダイコンコンソーシアム」のように全国展開すると、おもしろいことが見えるのではと言うこと。まさに、文系の発掘と言うことと、理系の解析力を融合することでわかること。渡辺が分担を賜っている科研費・基盤(B)「アブラナ科植物の伝播・栽培・食文化史に関する領域融合的研究」に似ているなと。。。そんなことをさきの岡山県立倉敷天城中学校への出前講義の時、お話をしたら、今回のような発表会をするので、助言、指導をお願いしたいと。。。
ずいぶん長くなりましたが、そんないきさつで。今回の京都出張に。会場は、ずいぶんと伺っていない「京都大学」。伺ったことがあるのが「農学部」、「理学部」。なので、今回の医学部のキャンパスははじめて。キャンパスが広いのもあり、学部間がどの様な位置関係になるのか、。。最後までわからずじまいでしたが。。。今回の発表会は、このSSHの独立の企画と言うより、京都大学総合博物館特別展「京のイルカとの学びのドラマ」付帯事業小中高生の探求活動発表会「~新しい世界への扉~」との連携。最初は戸惑いましたが、いろいろな糸が縦横に編まれているので、それはそれでおもしろい企画だなと。
ダイコンコンソーシアムの時のように、ダイコンを材料として、多様な課題で研究するのではなく、モモの種子の形状を計測する、比較すると言うことで、それぞれの高校に特徴はないですが、それに横串を刺すと、歴史年代に対して、種子の形状がどのように変化したのか、それは品種改良の結果なのか、新しい品種の導入なのか、その当たりが日本だけでなく周辺国との関連性の調査が必要になるので、難しい問題ですが。。。いずれ、これを全国規模で、また、歴史年代を深めれば、おもしろいことがわかるような。これのポスター発表だけでなく、口頭発表もあり、最初の発表者は、最近はやりの英語。。。植物のことは知っていても専門ではない。せっかく、なかにいるのは、日本人な訳で、日本語でdeepに議論することが大切なような。それを構築してきたのは、明治時代に日本語、母国語で考え、議論することの大切さを理解してくれた先人。「グローバル化」というのはわかりますが、どうも方向性が。。。という気がしてならないのでした。もちろん、立派な発表でしたが、どうせなら、英語で議論を戦わす、という方が、betterなのかも知れないです。ただ、隔靴掻痒になるのではと言う気もしました。ポスター発表には、渡辺が運営指導委員を仰せつかっている福島県立福島高等学校のも。日程が合わず、ポスターだけの発表のようでした。
指導されている先生のなかには、博士号を持った教員の方もお見受けしました。遺伝子の研究でなくて、しっかり形態観察、形態がどのように変化するかと言うことを理解することの大事さをわかってくれた方も。高校生にとっては、おもしろくないと思うかも知れないですが、何がどのように変化したかを理解できれば、なぜなのかを考える力にもなります。是非、チャレンジして下さい。また、どこでも多いですが、発表を聞いて下さいというのが多いこと。「グローバル化」を言うのであれば、国際学会では、必要に応じて、聞かれれば、説明して、議論する。皆さん、忙しいですし、これはというのを調べに来ている訳なので。そのスタイルを変えると言うことの方が、英語より先のような。。。説明をすれば、時間は過ぎるし、鋭い質問を受ける時間も短くなります。いきなりピンポイントで、これはといわれると、知らないことも多いわけで。でも、発表する限り、学校で習ってないというのでなく、その背景は、きちんと学習してほしいなと。その方が、しゃべるよりも遙かに重要です。
あとは、テレビアニメを使ってのおもしろい研究も。思わず、拝見しましたが、前提となる「面積というか、土地の形状」とできあがったものが、一致してないものも。。。これはちょっとどうでしょうかと。しばらく議論して、気がついてくれました。是非、その形状に合わせた設計をしてみて下さい。
最後になりましたが、奈良県立青翔高等学校・SSH担当・生田先生、竹内先生、山田先生をはじめとする関係の先生方にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。今後とも、このモモの活動だけでなく、よりよい連携ができればと思います。
わたなべしるす
PS. 先述の通り、発表会には、全国からいろいろな高校が発表に来ていただけでなく、SSHのいろいろな企画が合同で会議。これまでSSHでお世話になった学校の先生とも偶然。世の中狭いです。その中で「ダイコンコンソーシアム」でお世話になった学校の先生にもお目にかかり。。。コンソーシアムの復活をと。。。運営指導委員をしていたものとしては、何とかしないと。。。
PS.のPS. 中学校の発表の部と言うことでの参加なのか、詳細を伺うことができなかったですが、お世話になった別の学校の先生・生徒さんも。学校には、また、年度末にも発表会で、コメントをお願いされ、伺う予定です。よろしくお願いします。
PS.のPS.のPS. 発表会のあと、共同研究の打合せを大学のなかで。はじめて伺うキャンパス内で。そういえば、こんな建物を写真で見たことがあるなと。。。打合せの建物は、重要文化財だったような。。。(ふと、うちの大学には、そんなものあるのだろうか。。。)。。歴史と伝統はかなわないですが、渡辺が今のキャンパスに戻ったときの耐震補強前の建物を思わせるような天井の高い建物で。。。これがよいなと。。。貴重な時間、ありがとうございました。
PS.のPS.のPS.のPS. 今回の出張で、科学者の卵養成講座の修了生というか、ひよこさんと議論することがあり。。。渡辺は、四国から仙台で。その方は東北から関西で、遠く離れて、がんばっておられるのを拝見すると、こちらもがんばらないとと。。。そうした「ひよこさん」たちの活躍をまた、どこかでと思います。ありがとうございました。