東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表(農:平澤花織)

2018年1月14日 (日)

こんにちは、農学部の平澤です。最終発表をしていきたいと思います。


(1) 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、以外とうまくいったなと言うこと、という栽培について、感じたことをこれまでの発表のHPを引用(link挿入)するなどして、説明して下さい。これまでのプレゼンに使ってないような写真があれば、それを掲載してもOKです。

 正直、想像より大変だったことはありませんが、植物の成長と自分の生活との折り合いをつけなければいけないことは体感しました。日に日に伸びていく豆苗を早く収穫して食べなければと思っていても、自分のスケジュールを考えると今すぐに調理というわけにはいかないという場面がありました。

 また、市販されている野菜と自分が育てた野菜との質の差を味わいました。豆苗は市販品の方がずっと大きく、食感も良く(4回目の記事)、ミズナは市販品よりも青臭くなっていました(12回目の記事)。コストパフォーマンス等を考えると明らかに市販品を買ったほうが良いですが、市販品を買うだけでは味わえない体験ができることは家庭菜園の魅力だと感じました。

 かえって意外とうまくいったのは初期成長と水やりの頻度調整です。今まで植物を育てた経験から、初期成長が植物栽培において重要であることがわかっていたので、「本葉が出て本格的に植物が光合成を始めるまでは寒い夜風には当てず、室内で育てよう」と考えました。最低気温が氷点下になる日が珍しくない今日この頃、栽培を始めた10月の夜風など「寒い」と言うに値しないと思うようになりましたが、当時は20年暮らした横浜の気温と比べると寒く、発芽したての植物には酷だと考えていました。室内から屋外に移した時期もよかったのでしょうか、ミズナもハクサイも思ったより順調に成長し、自分の想像よりも立派に育ってくれました。

 水やりは予てから懸念していたずぼらな自分と心配性な自分との戦いでした。水やりを面倒くさがって水不足になってしまっても、水が足りないのではないかと過剰に与えてしまっても植物には悪影響ですから、必ず土に触れて確認することを徹底しました。植物の水やりの基本、「土が乾いてからたっぷり水をやる」ということを実践できたのはよかったと思っています。


(2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。

 私は植物の観察の肝は「植物全体だけでなく、部分ごとに詳細に観察すること」だと思っています。例えば「全体の葉の枚数が増えた」という観察結果に止めず、「特にどの部分から葉が増えているのだろう?」と踏み込んで観察することが大事だと思っています。その結果が6回目の更新で書いたミズナの葉の増え方に関する発見です。ミズナの若い葉の根元を調べることで、若い葉が中心からだけでなく、成長した大きな葉と葉の間からも出ていることに気づきました。

 これが活きたのは体育の授業です。私は弓道を選択しましたが、弓道はこの授業が初体験でした。ですから、先生の指導だけでなく経験者のクラスメイトの観察を丹念に行いました。「弓を引くときに手首はどのように動かすのだろう?肘はどうだろう?」「どの位置に立って弓を引くと的に当たりやすのだろう?」といったことを自分が弓を引いていないときに観察していました。実際、命中率は観察のデータが増えていくと増加していきました。射位が的から離れていくと命中率は減少してしまいましたが。

 趣味のギターで、サークルの上手な先輩のストロークを観察するときにも同様に役に立ちました。ギターのストロークは主に右手の「肘」「手首」「指」に分けて観察することでどこをどのように真似したら良い音が鳴るのかを知るヒントになりました。


(3) 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いますが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどを、まとめて下さい。これまでの発表のHPを参照してもOKです。

 朝目が覚めたときや、学校から帰宅したとき、自然にベランダの鉢たちに目が行くようになりました。特に発芽して間もなくのミズナやハクサイ、日々の成長が著しい豆苗は早く大きくならないものかと見る度に楽しみになりました。ミズナやハクサイは毎日の変化は小さくても、気がついたら植物はあっという間に成長していたということもしばしばありました。特にハクサイは結球が進んでいくのを間近で見られたのは良い体験だったと思います。一人暮らしをしていると、部屋に独りでいることが無性に寂しくなることがよくありますが、ベランダの植物たちは程よい距離感で私の支えになってくれたこともありました。冷たい夜風や雪に負けることなくすくすく成長していく植物からは元気をもらうことができました。

 植物を育てるということは毎日の世話が大変なように思えますが、水やりのタイミングなどを掴み、観察することが自然と習慣になっていたので私は特別苦痛に感じたことはありませんでした。むしろ癒しとなった側面の方が大きかったように感じます。


(4) 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察して下さい。

 この講義を通して自然科学分野での発見をどのように人に伝えると効果的なのかということを学びました。特に自分のオリジナル要素を出すことの重要性に気づきました。ゼミ開始前は自分の気づいたことは他の人も気づいている取るに足らないことだろうと考えていました。しかし、記事の更新を通して案外自分も他の人が気づきにくい発見をしているものだということを知りました。また、自分の考え方を述べて、それに対してレスポンスが来ることの喜びを体感することで考察を書く際の自信に繋がりました。また、一つの事柄から導ける考察は一つだけでなく、広い視野を持つことが大切だと実感しました。私の拙い考察に対して丁寧なコメントを下さった渡辺先生、ラボスタッフのオガタさん、増子さんに深く感謝しています。ありがとうございました。

 これによって自然科学総合実験のレポートも初めは無難なことを述べるだけに止めていた意識が変わり、少しずつ自分の観点を入れようと努めるようになりました。例えばギターを用いて弦の振動と音程の関係を調べる実験では、自分の絶対音感を用いて音程を測る必要のない箇所でも音程をメモし、データを増やすことで自分にしかできない考察を書くことができました。


(5) 理系・文系を問わず、この講義を受講できるようになっています。植物を栽培して、観察するということは、客観的に物事を捉えて、自然科学的なものの見方を学ぶということでもあります。そうした点について、自分自身が習得できたと思う点、他の受講生と比較して、さらに、研鑽を積むことが大事と思う点を、考察して下さい。

 このゼミを通して「なんとなく大きくなったように感じる」という主観を「葉の大きさがn cm増加した」と定量的に表す習慣がつきました。他人が見てもわかるように記述する意識がついたのはよかったと思います。

 また、比較対象を作ることで新たな考察ができるということを学ぶことができました。市販の豆苗と育てた豆苗を比較することで新たな発見があったのはとても興味深く、面白かったです(4回目の記事)。

 一方、私は特に実験の条件に対する意識が疎かだと感じています。ゼミのはじめの段階からきちんと観察日時や気象条件を記事に書いている方もいた中、私はその方々の記事を見てようやく観察日と気象条件を入れるようにした次第です。それでも時間のメモは忘れがちで、結局観察時間は記事に載せずじまいでした。自然科学総合実験でも先生から言われないとメモをし忘れるので、これからは実験条件を意識して実験や観察を行っていきたいと思います。

 また、まだまだ植物に関する知識が足りず、視野が狭いため深い考察をすることは難しいです。これからもっと多くの知識を身につけるだけでなく、その知識をつなぎ合わせることでより深い考察ができるよう勉強を続けていきたいと思います。


(6) 以上の(1)~(5)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。

 この展開ゼミで習得した植物栽培スキルを自宅やサークル活動での植物栽培に生かしたいと思います。まだハクサイは収穫しておらず、ミズナもまだ収穫することができるのでそれまで引き続き栽培・観察をしたいと思います。ミズナはあと何回収穫できるでしょうか。硬くなって食べられなくなるまで少しずつ収穫をしていきたいと思います。記事の更新も週1回とまでいかなくても、収穫まで続けようと思います。また、ハクサイ・ミズナの収穫が終わったらまた別の植物を育ててみたいと思っています。

 また、文章を書く技術はレポートに活かしていきたいと思います。(4)で述べたとおり、自分のオリジナル要素を含める、(5)で述べたように実験条件を忘れないということを意識していきたいと思います。

 さらに、客観的な視点を大事にするという点は弾き語り活動に活きてくると思います。私は2月から自分のオリジナル曲でライブハウス活動をしていきますが、詩を書くとき、セットリストを含めたステージパフォーマンスを考えるとき、他者からの視点を大事にすることで自分の伝えたいことをきちんと観客の心に届けることができるのではないでしょうか。


以上に書いた通り、この展開ゼミから多くのことを学ぶことができました。渡辺先生、ラボスタッフのオガタさん、増子さんに重ねて感謝申し上げます。ありがとうございました。これ以降の更新の際もどうぞよろしくお願いいたします。

コメント

農学部・平澤さん

 おはようございます、遺伝の渡辺でございます。しっかりした最終発表、拝見しました。3人目の発表で早めの行動力はniceです。他のことでも、是非、余裕を持った準備、行動をして下さいということもないと思える最終発表の内容でした。振り返って、最初の記事を見てみると、農学部のサークルで青葉山で野菜の栽培をしていると。改めてこの記事を見て、栽培力の根拠がそこにあったのだなと。もちろん、それ以前の家庭菜園にあっただなと。。。植物の生長と普段の生活の折り合いをつけるのは、普段、講義、実験がある学生さんには、大変だと思います。一方で、研究室に配属され、大学院に進学すると、植物の生長に自分の生活を合わせることが、通常になってくるので、本格的な研究、実験をするようになった頃には、普段の生活も楽しくなってくるのではと思います。がんばって下さい。コース配属で、植物系でということをいわれていたのも、納得です。

 観察のポイント、まさに、その通りで、全体を見るけど、どこか、昨日と違うところがある、それがどこなのか。それは、全体を見て、細部の変化に気がつくことだと思いますので。そうした観察力が、体育の講義にいかすことができているということは、それ以外の色々な場面で普段から活かされているのだと思います。朝起きて、自宅に戻って、植物に最初にということが定着したことというか、すでにそのセンスがあったのだと思いますが、本格的な実験になると、さらに数が多くなることがほとんどだと思います。その時に、どこまで注意力が全体に届くのかでしょうか。それまでに、さらに、この感覚を磨いて下さい。それから、注意力というか、どこに目が行くかというのは、それぞれの個性ですね。そうなってくると、意外と、自分しか気がついてないことがありますし、その逆もです。なので、実験をするようになったとき、気がついたことを議論することが大事になるわけです。その感覚をここで学ぶことができたのは、これからの専門、学部での講義には活かされると思いますので。

 最初は何となくどこか違うでよいのだと思います。あとは、それがどこで、ということに気がついたら、それに対して、適切な物差しを当てるということだと思います。植物体であれば、普通の物差しくらいでしょうし。さらに微細な構造になれば、顕微鏡。その違いを遺伝子レベルに求めるとなれば、塩基配列になるでしょうから。それぞれの場面にあった物差しを持つことですね。そのために、受講生の中には、専用の「ノート」を作っていた方がいます。本格的な実験を始めたら、やったことは全て「ノート」に書いておく、というのは大事ですから。今回のことをきっかけに、基礎的な実験の段階から「ノート」を書くというか、そんな習慣をつけて下さい。

 記事の更新は是非、続けて下さい。収穫するまではもちろんですが、そのあと、収穫の仕方を工夫すれば、ミズナは採種もできると思います。この秋の種子になるでしょうし、また、違ったものを栽培したいとき、種を取りに来て、やってみて下さい。welcomeですから。今年の仙台は少し寒さが厳しい年回りのような気がします。それを乗り越えれば、冬作の栽培もそんなに難しくないと思いますので。気になるのは、青葉山の場合には、雪がたくさんあるので、そこが問題かも知れないですが。。この講義でなくて、サークルですが。がんばって下さい。


 わたなべしるす