東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表(文:中里早希)

2018年1月15日 (月)

こんばんは。中里です。

今回は最終報告をします。写真は今日のホウレンソウとミニダイコンです。元気そうです。


(1) 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、意外とうまくいったなということ、という栽培について、感じたことをこれまでの発表のHPを引用(link挿入)するなどして、説明して下さい。これまでのプレゼンに使ってないような写真があれば、それを掲載してもOKです。

 まず私の家にはベランダがないため、野菜を一切外で育てない室内栽培です。他の受講生の方々は皆、外で野菜を栽培しており、室内栽培をしているのは私だけです。そのため、他の受講生の方々はとは違う条件下で野菜を育てています。野菜を室内で育てることを承知でこのゼミを履修しましたが、不安はありましたし、外で育てることができる受講生の方々がうらやましい時もありました。しかし、ゼミが終盤に差し掛かった今は、室内栽培でよかったと思います。理由をあげると、まず室内栽培には虫や鳥といった外敵の被害に遭いにくいという利点があります。虫が苦手な私にとって、このことは非常に助かりましたし、何より外敵の心配をせずに安心して野菜を育てることができます。また、強風や雪、寒さといった天候による被害がない点もいいです。つまり、室内栽培には外部からの直接的な被害を防ぐことができるというメリットがあるのです。ゼミを開始した当初はこの点に気付いていませんでした。最初に想像していたよりも野菜を室内で栽培したことはうまくいきました。

 これには、デスクライト反射板温室遮光用の段ボールなどの道具をよく活用できたことが影響していると思います。はじめは、室内栽培のため反射板は必要だとは思っていましたが、温室を作成する気はあまりありませんでした。しかし、反射板と温室を作成してから野菜は順調に育っていったと感じており、作成してよかったです。他に、過去の先輩の記事からデスクライトを使う作戦を参考にしたのもうまくいきました。デスクライトを使えば、天候に関係なく室内でも野菜に光を浴びせることができます。また、初回の授業で渡辺先生に「室内栽培だと夜間も明るい場所に置くことになり野菜が育ち過ぎてしまうので、夜は野菜に段ボールなどで遮光するといい」と教えていただいたので、栽培初期から夜は野菜に段ボールを被せてきました。これらの道具を活用することで、野菜が育ちやすい環境を作ることができたと思います。

 上記以外に意外とうまくいったと思うには、過度に野菜の世話をしないことです。栽培を始めたばかりの頃は、毎日水やりをして肥料をあげなければならないのではないかと考えていました。しかし、水のやり過ぎは徒長や野菜が枯れる原因になります。肥料のやり過ぎは野菜の生長を促すどころか、むしろ悪影響を及ぼします。野菜の生命力は強いのですから、やるべきお世話をしたら、それ以上の余計なことはしない方がうまくいくこともあると感じました。ただ、やるべきこととやらなくてもいいことの線引きをするのは難しかったです。

 想像以上に大変だったのは、栽培初期の徒長と日光不足です。徒長はこのゼミで野菜を栽培するまで存在すら知らなかったため、対処には非常に苦労しました。室内栽培のため、通常の栽培よりも日光が不足してしまうのは当然です。外より日光が不足しがちな環境で、多くの光を野菜に浴びせるのは難しかったです。また、知識がないために水をやり過ぎてしまい、徒長を促進させてしまったこともあります。より強い光が必要なホウレンソウを室内で栽培するという、野菜栽培初心者にも関わらず、意図せずにチャレンジブルなことをすることになりましたが、中々面白かったです。

(2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。

 このゼミで履修したことが1番活かされていると感じるのは、報道部の活動する時です。中間報告でも書きましたが、私は報道部に所属しており、ここで学ぶことが部活動に役立つのではないかと考え、このゼミを履修しました。活かされていると感じる例を挙げると、このゼミを履修する前よりも取材相手の方に様々な質問をできるようになりました。報道部員として取材するにおいて、これまでいくつか悩みがあったのですが、質問が思いつかないことがそのひとつでした。私は、よい記事を書くにはたくさんの情報が必要だと考えます。しかし、以前は何を聴いたらいいのかよく分かっていなかったため、取材時間を余らせてしまったり、記事を書く段階になって情報がもっとほしいと後悔したりしていました。しかし、最近は取材中に聞きたいことが次々と思いつくことが多いです。これは、野菜を毎日観察し続けたことで、以前よりも様々な方向から物事を捉えることができるようになったからだと考えます。また、読み手をより意識して記事を書くようになったと思います。このゼミでも記事を書いていたため、必要な情報は何なのか、どのように表現すれば読み手によく伝えることができるのかと考える機会が増えたのもよかったです。

(3) 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いますが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどを、まとめて下さい。これまでの発表のHPを参照してもOKです。

 まず、「毎日が展開ゼミ」ということは想像よりも大変でした。これまで学校の授業以外でろくに野菜を育てたことがなかった私にとって、野菜の生長や変化の速さには非常に驚きました。意識しないで育てていると、あっという間に野菜の状態は変わってしまいます。忙しいからと放っておき過ぎて、手遅れになってしまうこともありました。逆に、毎日様子を見続けることで野菜の小さな変化に気づくことができます。どれほど小さくてもいい変化があれば、喜びに繋がるのだと感じました。

 また、食に対する意識も変わったと思います。毎日自宅で野菜を育てていたことで、野菜が以前よりも身近な存在だと感じるようになりました。以前よりも、野菜をより食べるようになりましたし、スーパーに買い物に行き野菜コーナーでダイコン・ホウレンソウ・豆苗をみると、よく自分の野菜と比較しています。このゼミを履修したことで、野菜に興味をもつようになったと実感します。


(4) 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察して下さい。

 上記の通り、私は報道部に所属しているため、授業以外でも部活動で文章を書きます。そのため、他の大学生よりの大学生活において文章を書く機会は多いと思います。しかし、単純には比較できませんが、私としては講義の課題としてのレポートや報道部での記事よりこのゼミで書いた記事は短いと感じています。もう少し長く書いた方が自分も読み手も方もより野菜の状態を理解できたのではないかと後悔しています。

 しかし、この文章量が少ないという点を補えるように、写真の撮り方を受講当初よりも意識するようになりました。私の野菜の写真はアップで撮影したものが多いです。全体的な様子を知るには野菜全体が写真に収まるよう、少し距離を取って写真を撮影した方が適していると思います。一方、近距離で撮影すれば、野菜の細部がよくわかりますし、迫力がでて印象的になります。この作戦は自分としてはうまくいったと思います。

 また、記事を書く際、表現方法や言葉の選び方に苦労しました。書きたいことがあっても適した表現や言葉が思いつかなかったり、きちんとした文章にならなかったりしました。このゼミでは、講義の課題としてのレポートとは違い、話し言葉で文章を書きます。読み手は講義得尾担当する先生だけでなく他の受講生の方々を含めた多くの人です。この展開ゼミで書くレポート、部活動で書く新聞用の記事、講義の課題として書くレポート。どれも皆文章ですが、書き方や表現が大分違うと感じました。書き方が変われば読み手が受け取る印象も変わります。文章を書くという点において、これはとても大きな収穫だと思います。

(5) 理系・文系を問わず、この講義を受講できるようになっています。植物を栽培して、観察するということは、客観的に物事を捉えて、自然科学的なものの見方を学ぶということでもあります。そうした点について、自分自身が習得できたと思う点、他の受講生と比較して、さらに、研鑽を積むことが大事と思う点を、考察して下さい。

 他の受講生の方々の記事には自分では思いつかないアイデアがたくさん見られました。例えば、温室作成。私以外にも何名か作っている方々がいて、どの温室も違っています。温室を作ったという記事を見る度、「なるほど!その手があったか」とか「この温室の〇〇な所はいいけれども、△△な所は自分の温室の方がいいかな」とか考えました。このように、他の記事と比較することで自分の記事や栽培の良い点・悪い点をより理解することができました。反省点として、周囲の様子も見て判断するということは研鑽を積むべきだと考えました。他の受講生の方々の記事や渡辺先生とオガタさんのコメントを見て、自分は詰めが甘いと感じることが度々あったので。

(6) 以上の(1)~(5)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。

 このゼミを通して考えたことは、ひとつの考えに固執しすぎず物事を柔軟に考えることと、視点を変えればどんな状況下でもメリットを見つけ出せることです。野菜栽培初心者の私が勝手な思い込みで失敗の危機に陥る可能性は多々ありました。そのような時、記事へのコメント、他の受講生の方々の記事、本やインターネット、人から得た情報に助けられました。分からないことがあれば、自分の考えに固執し過ぎず、情報を集め柔軟に考えるべきだと学びました。

 また、視点を変える点について(1)で書いたように、私がしてきた室内栽培は、外での栽培より野菜を育てるのが難しくなることがあります。しかし、室内栽培にもメリットはありました。要は捉え方次第かと。「外で栽培できないなんてついていない」と考えるより「私は室内栽培の方がやりやすい」と考えた方が前向きに取り組めます。

 他に、毎日野菜を観察し、定期的にその様子を記事にすることで、より観察力・表現力を身につけることができました。中間報告で挙げた目標のひとつ、観察力・表現力を身につけるは達成できたと思います。まだまだ未熟者ではありますが、私はこのゼミで学んだことを発展させて、読み手の方々に楽しんでいただける記事を書けるようになりたいです。

 この記事は最終発表ですが、ミニダイコンとホウレンソウの収穫がまだなので、今後ももう少し記事を更新しようと思います。ミニダイコンはスが入る前には収穫したいと思っているのですが、実はスがどんなものなのかよくわかっていないので、ミニダイコンの報告をする時、スのことも一緒に書きたいと思います。また、ホウレンソウは初期とは違う徒長をしていると指摘されたので、収穫するその日かで十分光を浴びせたいです。また、ホウレンソウは同時にではなく時期をずらして収穫してみるのもいいと書かれていたので、5日から1週間ずつ間隔をあけて収穫しようと考えています。収穫時期をずらすというアイデアは自分では思いつかなかったです。盲点でした。

 中間報告で最後まで野菜を育て切ることを目標のひとつに挙げました。豆苗は既に1回目の収穫を終えています。ミニダイコンもホウレンソウも順調に育っているようですが、最後まで気を抜かずしっかり育てようと思います、以前渡辺先生が「室内栽培という難条件でもホウレンソウを育てることができるという実例を作ってください」と書かれていたので、この言葉を実現できるよう頑張ります。

 

コメント

文学部・中里さん

 こんばんは、遺伝の渡辺でございます。しっかりした最終発表、拝見しました。5番目での投稿、余裕を持った行動は評価できますね。是非、このスタンスを継承してください。最初の写真、感動ですね。室内での栽培で、ここまで。ダイコンは何とかなるにしても、大変なのは「ホウレンソウ」です。人間の生活と一緒になると、いわゆる、長日、夜よりも昼の時間が長い。こうなると、一般のホウレンソウは、花が咲くことになります。今の時期は、昼の時間が一番短いくらいですから、長くなることがあり得ないことで、それがあり得ると、花が咲くわけです。なので、段ボールなどで、覆って、遮光することをできれば、花が咲かないで、食することができるだろうと。それをやり遂げているのが、すごいです。ぜひ、ホウレンソウ、柔らかいうちに、食レポをして下さい。部屋の中で徒長して大変なのに、ここまで回復できたのも、評価できますね。

 報道部でしたね。文章力が上がっただけでなくて、質問力、それが観察に由来しているというのは、こちらも予想外ですね。日々、身の回りの植物は変化しています。そんな変化にも目をやるようにしたら、観察力を上げることができますので。それで質問力を上げて、よい記事を書いて下さい。こんなことを書くのは、よくないかも知れないですが、皆さんががんばってくれたおかげで、渡辺が「全学教育貢献賞」を頂きました。中里さん自身が受講した講義がこのようになったわけです。取材記事としては、おもしろいと思いますが。。。どうでしょうか。自分で売り込むというも。。。と思いましたが。書かれてあった文章を見ながら、ふと。。。身の回りは、変化の連続です。そんな変化に気がつくことが、文学を学ぶ上でも、きっと活かされるはずです。そんな風になってくれればと思います。もちろん、普段の食生活に活かされているのは、よいことですね。

 文章量が短かったですか。それは残念というか、驚きでした。web-baseなので、いくらでも書いてOKなので。その当たりは、次年度のこちらの反省事項にしたいと思います。写真撮影は、報道にはつきものですね。どんな写真にするのが、インパクトがあるのか。今回学んだ、遠くから、近くからということの利点を活かして、よい記事にして下さい。また、読み手を意識した文章を書く場面の重要性を理解して、外に情報発信をしている意識を持って活動できたのは、色々なところで活かすことができるのでは。あと、周りを見る力ですね。自分の殻を破るというのとはまた、違ったことですが、周りを見えることは、大きいですから。意識して、これからも取り組んで下さい。

 何事もできないと思ったら、そこで終わるというか、止まります。そうでなくて、何とか工夫したら、できないかと考えること。そう考えるきっかけができたのは、これからの専門、学部での講義で、これは向いてないというももちろんあると思います。渡辺は、土壌学が苦手でした。一方で、農業経済学は好きでした。遺伝学をやっている割に。なので、これはこうというように決めないで、もう少し工夫できないか。こんなことをしたら、変かなと思うことをやってみること。隙間産業ですね。収穫まで、まだ、いくつかのイベントがあると思います。それらの投稿を楽しみにしています。最後にあった、室内でもこのレベルまでいくことができるというよきメンターになれたと思います。次年度以降の受講生に。これも高く評価できることですね。さらに色々なことに精進して下さい。


 わたなべしるす

 PS. 時差があるところにいて、日本時間では、15:40ころですが。このあたりで。。。続きは、また、明日ということで。これ以降の投稿へのコメントは。。。