東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

~シュンギク栽培に再チャレンジ~<栽培の様子⑭>(宮一高:直江彩花)

2018年5月 4日 (金)

お久しぶりです。 「今年1月14日(最終発表)」以来のご報告となります。シュンギクの収穫と調理までご報告したかったのですが、私の不注意から1月下旬に植木鉢をひっくり返してしまいました。その後すぐに、鉢に植え直してみたものの、寒さのせいもあり枯れてしまいました。渡辺先生にはメールでご報告させていただきましたが、やはり鉢をひっくり返した時にすぐに対処方法をご相談すべきだったなと反省しました。

その後、どうしても収穫までやってみたいという気持ちがあり、あきらめきれずに2月、3月と再びシュンギクの種をシャーレに入れて発芽からやってみました。シャーレ内で発芽をさせてから土の中へ移し替えるのですが、やはり2月、3月上旬の寒さには勝つことが出来ず、芽が1~2㎝程出てはくるのですが、最終的には枯れてしまいました。この作業を2回繰り返しましたが失敗し続け、3回目に行った3月中旬に発芽させたシュンギクの芽が、今、順調に成長しています。今回、やっとご報告出来ることに安心しています。昨年10月~今年1月まで3か月半間かけて成長させたシュンギクよりも、今年3月中旬(3/18)~4月末までの1カ月半の間で育てたシュンギクの方が断然成長が早いです。秋冬に育てた野菜を春先にも再度育てることで、改めて本葉の形などを見直すことが出来て面白いです。そして、前回出来なかったこと(収穫と調理)をやり遂げたいと思います。


1.栽培の様子

■シュンギクの成長

≪2018年4月1日(日)8:00~栽培15日目~晴れ 17℃≫

シャーレ内で発芽をスタートさせて、植木鉢に植え替えて14日目です。

今年に入ってすでに、3回目のチャレンジですが、今回は順調に育っているようです。

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≪2018年4月14日(土)8:00~栽培28目~曇り 11℃≫

ちなみに、この頃近所の桜が散り始めました。風に吹かれて舞い込んだ花びらが植木鉢に入っていました。

→赤丸で囲んだ「薄ピンク色の花びら」がそれです。

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≪2018年4月29日(日)7:00~栽培43日目~晴れ 24℃≫

かなりの葉の数です。ここ数日で急に葉の数が増えてきました。以前「菅原ののさんの記事」シュンギクのわき芽の収穫についてを読ませていただき、自分もこんな風に育てて観察してみたいと憧れていました。私もわき芽を収穫し、大きさや葉の枚数等を観察してみようと思います。そして、GW中に間引きもしようと思っています。

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2.感想

あっという間に高校2年生になりました。本当に入学してからの1年間は早かったなと思います。その中で、貴重な経験(秋冬野菜を育てる)をさせていただきました。シュンギク栽培の再チャレンジについては早くご報告したいと思いながらも、気温が低い冬の間は、なかなか思うように成長させることが出来ず気分がどんよりしていました。でも今回ご報告することが出来てホッとしています。まだ成長過程ですが、続けて報告したいと思います。

ps.引き続き、陸上部で走っています。シュンギクの観察同様に頑張ります!

コメント

直江さんこんにちは!

 こうして報告して頂いて、本当にありがたいと思っています。シュンギクもどうなったかな、と考えていました。

 シュンギクは少しハードルが高かったような気がします。2月3月の低温で枯れてしまったのは残念です。しかし、それにもめげずに播き続けたということに敬意を表します。いや、立派ですよ。通常3回程度は粘るものですが、それ以上となると並大抵ではありません。

 是非とも収穫までしたいですね。ただし、これから気をつけることは抽苔(花を咲かせること)です。花を持ってしまうと、葉物野菜は硬くなり、味が急に悪くなります。シュンギクなど多くの冬物野菜は長日(一日のうちで昼間の時間が長くなってくる)と温度上昇に反応して花芽を持ちます。

 ハクサイ・ダイコン・カブ・キャベツなどのアブラナ科野菜もそうですしホウレンソウなどのアカザ科植物、フダンソウなどのスベリヒユ科植物にもそういうのが多いですね。

 ちなみにですが、同じキク科植物の花菊は逆に短日植物(一日のうちで昼間の時間が短くなってくる)ですね。その短日に対する反応で、何月に咲く菊なのか多くの種類があります。最も早いのは6月に咲いてくる夏菊です。これは短日に対する反応がほとんどなく、夏への気温上昇に反応して花をつけます。8月9月に咲く菊は短日に鋭く反応して花をつけます。10月に咲くのは普通ですね。逆に11月12月に咲く寒菊はかなり短日になって花をつけます。

 ここまでは品種改良なのですが、他に温室内でライトを照らしてわざと日を長くして開花時期を調整する場合があります。宮城県ではあまり盛んではないのですが、愛知県東部あたりでは(地理の試験に出る)そういう温室の電照菊栽培が盛んで、畑にこうこうとライトが光っているのがよくあります。これはエネルギーのためにライトを当てているのではなく、開花調整のためです。

 こういった日長を感受するのは葉で、フロリゲンという物質が作られ、頂上の芽に移動して花芽を作らせます。

 もう一つおまけに、短日植物、長日植物の他に中性植物というものがあります。これは昼間と夜が同じ、という意味ではありません。日の長さに関係なく花をつける、という意味です。よく生物の試験に出るものです。

 成長報告、桜の花びらというのも面白いですね。風流というだけではなく、我々には季節や温度条件がよく分かります。屋内なら厳密に温度管理、ということをするのは当たり前ですが、屋外の環境は年によってことなり、そういった植物の変化の方が適切ということもあります。

 農事歴でも、八重桜が散ったらナスを定植、とか使いますね。

 さて、皆さんは4月になると学年上がりがあります。我々年寄りはサザエさんのように学年上がりがありませんが。

 直江さんも部活・勉強・その他で走りまくっているようです。いいですね。私などは、高校を通して家で勉強したことは一分もない、いや教科書を家に持って帰ったことすらない人間でした。それを考えると頭が下がります。

 あ、最後に近頃見つけた妙なものの画像をつけます。

20180507154127-5f2145f773ab046dae963f2362339176856bf9fb.JPG おおっ、なんとなんと! カレーを入れたカレーパンを更に食パンで挟むという驚愕の食物です! 

 人類初の発想、フジパンやってくれました。意図は全く不明。手に油が付かないことが利点か?

「はさんじゃいました」てへぺろじゃねーよ! これは買うしかない! しかし微妙でした

20180507154426-767f4496941dabc04027cf832e5fb3a937f478e4.JPG これは、ホーマックにあった超進化型流しそうめん器、いったいどんな幸せ家族が買うのか? その名も「透明の極み」!! そこ機能と関係ない! しかも透明かもしれないが色がある。ちなみに上の窪みが地味に薬味入れになってます。

 ではまた。

 ラボスタッフ・オガタ


宮城一高・直江さん

 育種の渡辺でございます。ご無沙汰しております。連休が終わる昨日の夕方に気がついたのですが、コメントする時間がなくて。。。この時間でした。途中で残念なことになったという連絡は頂き、その後は、と思っていましたが、ここまでできるのは、オガタくんが書いてくれているとおり、たいしたものです。

 オガタくんが、日長とのことを書いてくれているので、それ以外のことで、気がついてほしいこと。それは、温度です。もちろん、気がついていますが、積算温度という言い方をします。どこかに書いてあったのか、思い出さないのですが、理系であれば、いわゆる、数学IIIというので、微分、積分を学びます。その積分に近いものでしょうかね。そこまで、仰々しいものではないですが。。あの寒かった時期は成長がゆっくりでしたが、今年の春先のように暖かい日があると、あっという間に成長します。もちろん、寒い日があったりで、実際には、ゆっくりになったところもあったはずですが。植物に限らず、生き物の成長は、温度に依存すると言うことを実感してもらえればと思います。あと、ぜひ、適期に食べること、それも大事にして下さい。花が咲くと、味は一気に落ちますので。


 わたなべしるす