東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

ハクサイの間引きと植え替え(経:阿部遥太)

2018年11月 3日 (土)

こんにちは。今回はハクサイの間引きと植え替えについて書きたいと思います。上の写真ですが、虫に食われた葉の様子です。犯人は見つかっていません。

さて間引きについてですが、このサイトによると間引きは本葉が3枚になったら行えば良いとのことです。

自分のハクサイも写真のように本葉が三枚になっているので間引きをしたいと思います。

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先に間引きを行なっていた番場さんを参考にします。番場さんが行った間引きがとても素晴らしいとのことでしたので、自分も真似して4本残しました。貴重な情報をありがとうございます。

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間引きをしてすっきりしました。

せっかくなので間引いた個体を観察していきます。

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間引きをして初めて葉の裏側を間近で観察しました。本葉と子葉では様子が違います。

まず、これは表についてもですが、前回の記事 で紹介した毛が子葉にはありません。

先生に「トライコーム」という正式名称を教えていただいたのでこれについて調べてみました。

以下、日本植物生理学会の記事からの引用です。

"強い光に対する防御、強風時に気孔から過度に水分を失う事を防止する役割、小さな害虫が葉の本体に近づきにくくする役割などが言われています。さらに、多くの植物で、トライコームは特殊な物質を貯めています。たとえば、バジル、ミント、タイム等ハーブの匂い物質はトライコームに貯められており、害虫を予防しています。トマトのトライコームにも害虫を寄せ付けない成分が入っているようで、トライコームに異常があるトマトの突然変異体は害虫に食われやすいという論文もあります。" (日本植物生理学会/大阪大学 柿本辰男 回答日:2011-01-26)


様々な機能があるのですね。

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爪を立ててみると、子葉では水分が滲みました。しかし、本葉に変化はありません。そこで、子葉と本葉の水分量を比べてみました。

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子葉と本葉それぞれ一枚ずつ、ティッシュの上で複数回押しつぶして水分量を比較します。ご覧のように、子葉(左4箇所)からはたくさんの水分が出てきましたが、本葉(右1箇所)からはあまり出てきませんでした。

不思議に思ってなぜここまで水分量が異なるのかを調べましたが、わかりませんでした。

予想では、本葉にはトライコームという水分を保つ機能がある一方、子葉にはそれがないため普段から水分を貯めているのではないかと考えています。

( 10月24日 午前1時18分 気温9度 湿度85パーセント 種まきから14日目)

※観察のためこの時は部屋に移動しています。


次に植え替えについてです。鉢の半径が小さく葉が重なってしまいます。そのためもう少し口の広い鉢(直径約15cmのものから、約20㎝のものに変更)に移動し、さらにもう一本間引きします。植え替えをすでにしていた植木さんの記事と先生のアドバイスを参考にし、「元の土を失わせない」「根を乾燥で傷ませない」「根を切断しない」ように注意して移していきたいと思います。

まず、間引きをする個体を用いて根の深さを調べます。シャベルを先端が底につくまで差し込んで引き上げ、揺さぶって土を落としたところ、6~7㎝であることがわかりました。シャベルが底につけば大丈夫だと分かったので同様にすべて引き上げます。

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このように根を露出させないように移し替えるので「根を乾燥で傷ませない」については問題ないと思ったのですが、下の写真のように土が崩れて空気に晒してしまいました。

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また、もとの土だけでは足りなそうだったので最初に配布されたものの余りを追加しました。再び十分に水をやり、かき混ぜました。そして穴をあけ、先ほど引き上げたものを差し込みます。

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無事、葉の重なりを無くすことができました。

( 11月3日 午前11時56分 気温17度 湿度53パーセント 種まきから24日目)

最後に前回指摘を受けた日照条件ですが、午前7時から午後3時ころまで日光に当たっています。

コメント

阿部さんこんにちは

 写真を撮る角度や、分かり易い示し方も今後使える技術です。クローズアップも上手に使っています。

 始めに間引きのことについてですが、結果的には非常に正しく行われています。その時期、そして間引いた本数も適切です。今回の残り本数がちょうどいいと思います。ただし、その時期の判定方法は違います。間引きは大きさで決めるものではなく、あくまで状態で決めるものだからです。植物はなぜか適切な密度でいるのが一番育ちがいいのです。理由はまだ判然としていません。ただし、過密になると害が出ます。水や日光を奪い合って共倒れします。そのため、間引きが必要になってくるのですが、もちろんその害を防ぐためです。具体的には葉の1/3が重なってきたら光の妨げになりますのでそろそろ間引きします。

 それが標準的な栽培ですね。ちょっと高度に言うと、何の種類の植物かによって間引き時期の判定は異なってきます。植物によっては本当に重なっていても複数のまま最後まで栽培を続けるタイプ(葉の立つタイプに多く、稲、アイリスなど)と、最初から単独であって間引きを考慮しないタイプ(葉の広がるシクラメンなど)なんかに分かれます。

 トライコームの観察、そして調査もよく書いているようです。ちなみにですがこのトライコームには書かれている通り各種物質が含まれている場合があり、園芸的に有名なのがプリムラ・オブコニカというデカめのサクラソウで、葉を触るとかぶれる場合があります。

 葉の水分量の調査というのは展開ゼミ始まって以来ではないでしょうか。その方法もユニークなものです。紙に吸わせて目に見えるようにするんですね。まあ、子葉は本葉とかなり厚みも違いますし、役割も違います。

 さて、次には植え替えという予想外なことにチャレンジしているようです。この展開ゼミは「野菜を盆栽にして育てましょう」ということで、大きくするのが目的ではなく、栽培を体感してもらうのが趣旨です。その方が、受講生の家のスペースや栽培の手間も少なく済むという配慮です。しかしもちろん、こうして植え替えをして育てて頂ければこちらとしては楽しいですね。

 このコメントを見ている他の受講生に対しては、植え替えが必須ではなく、鉢の大きさは小さいものの最小限栽培を確保できることも申し添えます。

 植え替えの手順や気を付けるポイントはよく考えられています。ハクサイは元々移植を嫌うタイプですので、根を大事にしましょう。根の張り具合がそのまま葉の大きさに直結します。

 仕上がりの写真はとても綺麗です。土の湿り具合、土の量ともに申し分ないですね。本当なら最初の鉢に播く際、端にもっと寄せてあれば、植え替えは単に鉢から土をそっくりそのまま抜いて移し替えるだけで済んだことではありますが。

 日照条件を添えて下さってありがたいですね。経過日数、温度、更に湿度まで書かれているは良いことです。

ではまた ラボスタッフ オガタ