東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最後の間引き(1056字)(経:阿部遥太)

2018年12月 2日 (日)

種まきから51日目となりました。そろそろ2つのハクサイも1/3程度重なってきたので最後の間引きを行います。(過去の記事で教えていただいた間引きの基準

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右が間引きした個体です。今回も解剖していきます。

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全ての葉と小さい7枚の本葉の拡大写真です。前回の解剖では10枚の本葉が確認されましたが、なんと16枚もの本葉が確認されました。

11/19日(種まきから38日)に間引いたものは10枚、12/2日(種まきから51日目)に間引いたものは16枚。どちらも同じ個体だと仮定すると、10枚までは、1日当たり0.26枚(小数第3位四捨五入)本葉ができていたことになりますが、それ以降は13日間に6枚なので1日当たり0.46枚(小数第3位四捨五入)本葉ができていることになります。成長が進むにつれ、本葉が作られるスピードは速まるのかもしれません。

若い本葉は中に隠れており解剖なしには枚数を数えることができないため、どちらも同じ個体だとみなすというめちゃくちゃな仮定のもと計算しています。ですので確証は持てません。

小さい葉は3mmほどしかありませんでした。外側の葉に比べて小さいだけでなくとても柔らかいです。

若い本葉を剥がしていて気づいたのですが、以前の若い葉と形態が異なっているように感じました。

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右が11/6日の写真、左が今回解剖した個体の葉の写真です。左の若い葉はほぼ全体が緑色ですが、右の若い葉は白い部分が多いです。また、左はより表面がぼこぼこしており、葉の淵はちぢれています。

間引きと解剖については以上です。


栽培環境についてです。

・日照条件:日に当たっているのはこれまでと変わらず後3時、4時の間までです。

・水やり:前回、水やりについていくつかコメントをいただきました。1度に与える水の量が少なすぎるのではないか、ということと、自然界では毎日雨が降るわけではないので数日あけて水を与えるほうが良い、ということです。ご指摘の通り、毎日少量の水を与えていては土の深層まで水が行き届いているかわかりませんし、自然界のコンディションとも大きく異なってしまいます。ですので、現在は鉢の底から溢れる程度の量の水を、3~4日程度の間隔で与えるようにしています。

・気温はここ数日は最低気温が5度前後、最高気温が10度前後です。(気象庁のhp参考)

・12/1に電車が大幅に遅れるほどの強風が吹き荒れましたが、ベランダのハクサイは変形することもなく無事でした。強風の日は今後もいくらかあると思いますが、このままベランダに放置しようと思います。

コメント

経済学部・阿部さん

 遺伝の渡辺でございます。細かいことは、ラボスタッフのオガタくんから、コメントがあると思います。1つ前の同じ学部の菅原さんと同じような比較、よいことです。さらに細かなところまで測っているのも。1つだけ。上の写真のように、下が白い紙であればよかったですね。これは写真を撮るときの、基本です。栽培に関しては、よくできていると思います。最後の写真の右側の中肋の部分。縦に筋が入っていると思いますが、それを見ると、ハクサイらしさがあると思いませんか。維管束が目に見えて生長しているのかなと。


 わたなべしるす

ー 追記 ー

 この報告の葉の分解も丁寧な仕事で見やすいですね。葉の枚数、大きさ、そして形態について言及されています。

 そしてそして、さすがに経済学部、計算をして葉の出るスピードを求めています。確かに同じ個体ではないのですが傾向は分かります。成長と共にペースが早まっていますね。こういった計算で真実を追求する姿勢は素晴らしいものです。

 関係ないですが、文系の人にこそ理系の知識が必要だと思います。例えば新エネルギーだの藻の一種だの、いろんなニュースがあります。その中で文系の人はよく一年でコストが半分に、とか大規模化すればコストが安く、とか論評します。しかし理系的な目で見るとおかしなことが多いものです。つまりあたかもこのままいけばコストが安くなり実現可能に見えても、実際は絶対的な理論上の壁があって実現できない、ことが多いのです。

 日常的な生活の中でも多少なりとも理系的な考えがあれば、抵抗器をつけただけの節電器とか、風呂の温度一定のヒーターで節約とか、あり得ない商品を見分けることができるはずで、残念に思います。

 さて話は戻って、いよいよ残された株、しっかり大きくしましょう。栽培条件を書いて下さるのは本当にありがたいことです。しかも、こちらのコメントをきちんと受け止めて実践しておられるのがいいですね。水やりについて、その通りに行って下さい。そのうち株が大きくなって水を吸い上げる量が多くなったり、空気が乾燥してきたりすればそれに合わせて頻度を変えて下さい。一回の量は、鉢底から水が見える量、これが基本です。

 温度は気象庁発表ではその通りなのですが、実際の温度は場所によって違います。12/2研究室の温室は最低温度0.5℃にまで下がりました。強風はこの先も吹きますから鉢が転がらないよう見てあげてください。

ではまた

ラボスタッフ オガタ