東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第10回 春くん(キャベツ)の成長観察と温室作成①(5344字)(文:坂谷日向)

2018年12月12日 (水)

 みなさん、こんにちは。文学部の坂谷です。

 まずは前回の記事について、2点お詫びと訂正を致します。字数の記載をすっかり忘れておりました。さらに土の乾きやすい鉢が最も生長の遅いものとしていましたが、正しくは最も生長の早い鉢(画像左端)です。

20181210122919-cd24e8d61acfc5e709f85ab8fecbe17707ca5f25.jpg どちらも修正済みですが、今後こういうことがないよう気を引き締めてプレビューでの確認を強化して参ります。

 いよいよ雪が降ってきましたね。朝、布団から出るのが嫌になる季節の到来です。ですが、秋田ではもっと降っているようです。下の写真の左が9日朝に寮で撮影したもの、右が8日夜父から送られてきたものです。

20181210115553-23606eb2842f1c455b4955fab7d97a8f24f0c446.JPG 

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 仙台は道路は雪がすぐに溶けるのでまだ自転車で登校できています。木や生け垣にちょんと雪が乗っているのは、イルミネーションとも相まってとても綺麗です。秋田はもう木全体が雪ですからね...。実家に帰省したら雪かきですかね。

 さて、今回の記事では春くん(キャベツ)の観察に加え、温室作成の第一弾を報告します。


★今回の内容★

1.春くん(キャベツ)の生長観察

2.春くん(キャベツ)の温室作成①


1.春くん(キャベツ)の成長観察

 今回は12月9日(11時、気温13.1℃、湿度54%)の観察の様子を報告します。前回まで最も成長の早いもの、遅いもの、室内で育てているものの3種類のみをピックアップしていましたが、今回からは追肥をやるやらない、そして次回からは温度管理をするしないで、1鉢1鉢条件が変わってくるので、少々長くなってしまいますが1つずつ観察結果を書いていきます。さらに、今回から鉢ごとの相対比較ではなく、その鉢での生長度合いで比較していきます。比較するのは葉の枚数葉の長さ茎の長さの3項目にします。最終的にグラフで可視化する予定です。茎の長さ、葉の長さは現段階で最も大きい(長い)もの(赤丸で囲ってある葉です)とし、以後はそれをずっと測定し続けようと思います。何か目印をつけたいのですが、傷をつけるのは気が引けますし、茎に何かを結びつけるとしても結球の邪魔にならないか心配です。もう少し考えてみます。

 いずれも向かって左が12月1日のもの、右が12月9日のものです。

 

 ア)追肥有り・室外での温度調整有り

 葉の枚数 12月1日8枚→12月9日9枚

 葉の長さ 12月1日7.3cm→12月9日8.8cm+1.5cm

20181211005601-278cf5a60039dde2be04084dc0a0d19bc5ede96f.JPG 茎の長さ 12月1日5cm→12月9日5.5cm+0.5cm

20181211005847-99cdb23af6d6459e81081fdb4bb7537df66c80a3.JPG 茎も少し伸びていましたが、最も驚きだったのは葉の色の違いがくっきりと出ていたことです。中間報告で渡辺先生に「キャベツの葉の色が薄いので、数粒追肥した方が良い」というコメントを頂きましたが、こうして比べてみると違いがはっきりと分かります。

20181211011404-cc842b63722fa0248a128446efb63a909398521c.jpg 左が1日のもので、右が9日のものです。例によってこのサイトで調べたところ、1日のものは若葉色、9日のものは千歳緑(せんざいみどり)が最も近い色でした。葉脈も9日の方がくっきりとしており、より隅々まで張り巡らされているように見えます。市販のキャベツの外側の葉に似てきました。

 

 イ)追肥無し・室外での温度調整有り 

葉の枚数 12月1日8枚→12月9日9枚


葉の長さ 12月1日6.5cm→12月9日8.5cm+2cm

20181211101122-46d910f6537176b998c0c453260a403cd8b6bc85.JPG

 茎の長さ 12月1日5.3cm→12月9日5.5cm+0.2cm

20181211101538-b0dc35250c4c19f018769b9a036f6b399bcb18d8.JPG

 光の当たり具合もあると思いますが、こちらはアに比べ、9日の方が葉の色が薄くなっているように感じます。アとこのイは同じ温室で温度管理をする予定で、土も初回の授業で頂いたものなので、追肥だけでどれほど差がでるのか楽しみです。2016年度の田阪さんの記事のコメントに「肥料が多いと成長はいいのですが、えぐみは強くなります」というものがあったので、追肥がなくても結球できるのか、味の違いはあるのかなど、様々な観点から比較したいと思います。今のところは同じくらい、もしかしたら追肥を与えてない方がなぜか丈夫で、大きく生長しているような感じがします。

 

 ウ)追肥有り・室内での温度調整有り

 葉の枚数 12月1日8枚→12月9日9枚

 葉の長さ 12月1日5.9cm→12月9日7.2cm+1.3cm)(測定する葉を間違えたので写真内の定規を参考に、画面越しの1cm=実際の1.8cmで計算しています)

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 茎の長さ 12月1日4.5cm→12月9日3cm-1.5cm

20181211112858-b24caede5942d16a30340a6fa1f706bbfe8fd481.JPG 茎が短くなってしまっているのは、茎が少しこちらに倒れてきており、かつ葉が開いているのにもかかわらず、定規をたてたまま計測してしまったせいです。今まで茎の長さは1番高い位置にある葉の根元までと決めて計ってきましたが、このようになるのであれば測り方を変えなければいけないですね。どうするかは次回までに考えます。

 

 エ)追肥無し・室内での温度調整有り

 葉の枚数 12月1日5枚→12月9日5枚


 葉の長さ 12月1日2.3cm→12月9日2.5cm+0.2cm

20181211104821-f0cb2bdbdb11d313be411d81364180da3dd867a0.JPG

 茎の長さ 12月1日4.2cm→12月9日3.3cm-0.9cm

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 なんということでしょう。茎の長さが短くなっています。私も驚いて何度も写真を見返したのですが、やはり短くなっています...。写真を見る限り、ウのように葉が開いたり、茎が倒れてきたりしているわけではないのですが、何か測定方法を誤ったのかもしれません。次回は気をつけて行いたいと思います。

 そして注目したいのが子葉の様子です。


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 このように萎れたようになっているのは葉が赤紫になっているエとオのみというのが気にかかります。どなたかの記事のコメント(すみません、リンクを探しきれませんでした)でも拝見していたのですが、こちらのサイトによると「子葉は自身に十分な栄養分を貯蔵するか、足りなければ光合成するようになって必要な量の栄養分を次世代の本体に与える働きをしており、使命を終えると枯れおちる」とのこと。これらは役目を終えたのかもしれません。ただ枯れるというと黄色や茶色になるイメージがあるのですが、これらは赤紫のまま。さらにこれらよりも生長しているア、イ、オの子葉は緑のまま未だ健在なので、少し不安です。とりあえずは観察を続けようと思います。

 

 オ)追肥有り・温度調節なし

 葉の枚数 12月1日5枚→12月9日6枚


 葉の長さ 12月1日2.5cm→12月9日2.9cm+0.4cm

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 茎の長さ 12月1日3cm→12月9日3.4cm+0.4cm

20181211170035-62ca58e38b0d9285bfdc61fc8ced12f5a40b4183.JPG エ同様、子葉が萎れています。また、アップで確認してみると、日の当たり方等の違いはあるかもしれませんが、より紫が濃くなっているように感じます。

20181211172407-9d60c8ead57629ceb4e802e0f0054cb9dc386024.jpg アップにしたら少しぼやけてしまい恐縮なのですが、左右共に手前の葉(裏側)の紫色奥側の葉(表)の緑色で比べています。右が紫色も濃い代わりに、緑色も濃いように感じます。追肥効果でしょうか。子葉の件も合わせて、エとオの紫色はもう少し経過を観察しようと思います。

 また、前回の記事のコメントで「室内で育てていたものの土の土壌pHがキャベツに適していないのでは」というご指摘を頂いたので、いろいろと調べてみました。まず、やまむファームさんのサイトによるとキャベツの好適土壌酸度(生育に適したpH値)は5.5~6.5とのこと。他の野菜と比べるとやや酸性よりの方が適しているようです。また、同じサイトを見ていて驚いたのが、「植物そのものも土壌を酸性化する」のだとか。作物は根から養分を吸収する代わりに水素イオンを出すそうで、すると土壌のpHが下がり、酸性に傾くらしいです。

 今回使用したのはキャンドゥ(株式会社瀬戸ヶ原花苑)さんの「花と野菜の土」ダイソーさんの「元肥入り培養土」の2種類で、パッケージや製造元のホームページを確認したのですが、残念ながらどちらもphは発見できませんでした。ちなみにキャンドゥ(株式会社瀬戸ヶ原花苑)さんの「花と野菜の土」の材質は見つけられなかったのですが、ダイソーさんの「元肥入り培養土」の材質はココヤシピート・クリンカアッシュだそうです。こちらのサイトによると、ココヤシピートはピートモスとは違い、「ココナッツ果実の堅い殻を作るファイバー状の層で、マットやロープを作る為に取られた繊維の残りを、3年から5年ほど堆積、醗酵させたエコロジーな天然資源」のことだとか。また、ココナツピートそのものは平均でpH6.3の値を示しているそうです。

20181212014743-f59803aedd9e9519727ebccbf0474bb8bf8cfa5c.jpgのサムネイル画像 さらに、紫になる鉢となっていない鉢に他の違いはないかということでしたが、違いといえば100均のものを使っているのは右3つで、追肥を与えたのは赤丸をしたものです。他は大した違いはありませんが、強いて言うなら右3つは与えた水がすぐに底から出てきます。反対に左2つは底から出てくるのに少し時間がかかり、特に1番右は吸収するのにも少し時間がかかるようになり、与えた水がしばらく表面にとどまっているような気がします。

 

2.春くん(キャベツ)の温室作成①

 昨年の岡田さんの記事のコメントで「午後6時以降、外気温と温室内温度とは全く差がありません」というものが、気になったので実際に自分で計ってみました。

         【日中】(12月1日12時)   【夜間】(12月3日2時)   【夜間】(12月9日3時)

室外気温/湿度     10.8℃/58%        4.8℃/計測不可能     0.9℃/計測不可能

室内温度/湿度     13.0℃/58%         15.1℃/63%       12.3℃/56%

 ちなみに暖房は一切つけていません。室内の方があまり変化していませんが、岡田さんの記事は12月27日なので、今後も温度には十分気をつけていきたいと思います。

 タキイ種苗さんの家庭菜園野菜栽培マニュアルのキャベツの欄によると、生育適温は15℃~20℃(5℃~28℃の範囲)で、結球適温は13℃~20℃(28℃以上、7℃以下ではほとんど肥大しない)であるそうなので、早速温室作成に入りました。

 温室は昨年の岡田さんのものを基軸に、同じく昨年の鈴木さんのアイデアの一部を加えて作りました。ただマネするだけではなく、先輩方の「より安く」「より効率的に」の要素に加え、「より簡単に」を合い言葉に作成しました。実際にかかった時間は1時間程度です。

20181212005345-5f355e25239003dd023338ec17e3e00d6359e04e.jpg  材料は①大きめの段ボール②底面積が①より一回り小さいくらいのダンボ-ル③100均で買っていた台④寮で支給されるシーツ等が包まれていたビニール⑤アルミホイル⑥ラップ⑦透明のテープ⑧実家から毛布を送ってもらったときのビニール袋(少し丈夫・パリッとしている)です。見て分かるように既にあるものを駆使していますし、なんなら③はなくても良いので、タダで温室が作成できます。

 まずは①の段ボールの底をテープで補強し、防水のためにラップで覆い、端をテープで塞ぎました。

20181212010225-f73c55e03514fcc39959d896332db0dc6eb94990.JPG 次に②の段ボールの底を同じようにテープで補強し、③の台を折りたたんで中に入れ、またテープで塞ぎます。この段ボールはこの上に鉢を置き、高さを確保するためなので、中に台を入れることで段ボールが重みで潰れないように補強しました。これは直接地面に置いて冷たさが伝わらないようにするため、空気層を確保して保温するためです。

 そして上と同じように防水のため、ラップでぐるぐる巻きにし、テープで端を塞ぎました。

20181212010646-42561252cfcb4956a167857205e41674edff58a9.JPG20181212010118-4e275fab48168b7f6629671917c906e4117cc251.JPGのサムネイル画像 続いて、①の段ボールの両脇、前の部分を切り取ります。残したところ同士をテープで留めて補強します。


20181212011055-70507486dc386ad896d454046f5b39f8386a232d.JPG
 両脇に④のビニールを貼り付けます。これはただでさえ少ない冬期の日光を余さず利用するための工夫です。同じく昨年はアルミホイルを張り、反射させて日光を当てていた方が多かったのですが、私は反射・集光による火災等が不安なのと窓が西向きのためアルミホイルに当たることには温室そのものにも日が当たるのではないかという考えから、とりあえず保留にしています。様子をみつつ、付け加えるなりしようと思います。

 それから段ボール全体にラップを巻き、切れ目の部分はテープで塞ぎます。また、手前側の底から3cm程度の高さ、20cm程度の幅を切り取ります。これは空気の入れ換えをするためです。

 それから⑧のジップ部分を切り取り、縦長に切り開きます。あとはその片端を段ボールの下に挟み込み、ところどころテープで抑えます。もう片端に段ボールのかけらを貼り付け、①の段ボールにそれを差し込めるように段ボールのかけらをアーチ状に貼り付けたら完成です。


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 次回は実際の設置の様子をお知らせします。ペットボトルを置く、梱包材を敷くなど、もう一工夫する予定です。

 


●先週・今週の記事●

 先週拝見した記事で最も役だったと感じたのは、やはり昨年の岡田さんの記事です。温室作成の方法や工夫、温室の維持について一通り参考にさせて頂きました。文章量も多く、記事も色やマークを使っていて見やすいので、ぜひこれからも参考にさせて頂きたいと思います。

 今週拝見した記事で最もすごいと思ったのは、同じ受講生の鈴木さんの記事です。過去記事を全て修正したとのことで、その真摯な態度と真面目さに感服しました。投稿も定期的に行っていて、私も彼のマメさを見習いたいと思います。

●今日の画像●

 今回の記事の最初に使った画像は、以前オガタさんに教えて頂いたバナナケーキに実家から送られてきたリンゴを足したもので、プーさんを作りました。バナナを2本ほど潰し、細かく刻んだバナナとリンゴ、ホットケーキミックス、卵1個を混ぜ合わせます。炊飯器に油を塗り、大きめに切ったリンゴとバナンを並べます。そこに混ぜ合わせたものを流し込み、スイッチオン。あとは炊き上がったものに、チョコと魚肉ソーセージで顔を作り、完成です。実はプーさんらしく蜂蜜で顔を描いたのですが、思ったよりも見えなかったので変更しました。次回は私の妹は大好きなジャガイモ頭のキャラクターを作ります。おたのしみに!

 

★次回予告★

・春くん(キャベツ)の生長記録

・春くん(キャベツ)の温室作成②

 最後までご覧くださり、ありがとうございました。

(文字数:5344字)

コメント

坂谷さんこんにちは

 いや~、蜂蜜熊ですか。そう見えます。しかしその構成、ケーキにチョコ、そして魚肉ソーセージとは!

 これは、非常に栄養学的にはいいものでしょうが、凄いですね。次も期待してます。あ、炊飯器で焼いたということで本当に焼けたか気になります。炊飯器によってはどうやってもできない機種があるからです。炊飯器もIH式やシーズヒーター式などいろんな種類があるようですよ。比較サイトなど見れば膨大な知識が手に入ります。

 ケーキといえばクリスマスなわけですが、若い人は楽しく過ごすのでしょう。本当に自分事ばっかりですが、今年はネコに高級ネコ缶でも与えながら過ごします。そういえば数年前、娘に珍しいものをと思ってサーティーワンのアイスケーキを買いました。それなりです。良いところは残したものをそのまま冷凍庫で保存できるところですね。まあ、次の日にはガバガバ食い尽くしましたけど。

 更に関係ないですが、本日は私の誕生日でした。実は昨日、他の人から言われるまで全く気づきませんでした。娘の誕生日はよく憶えていても、自分のは忘れるものです。若い人はそんなことあるのか、と思われるでしょうが、あるんですね。

 さて秋田市の雪、う~ん、仙台市の一番多い時のように見えます。秋田市は雪が多いというイメージはなかった(湯沢や大舘と比べて)のですが。12ー3月の生活はどういうふうなものでしょうか。

 などと前置きしましたが(番組始まって20分後くらいにタイトル出るようなもの)、植物は総じてうまく成長しましたね。報告も細かいものです。

 茎や葉の成長の数字、これは基礎データになります。論文も含めて世の中の話というのはこういう客観的現実的データから意味を抽出するものです。しかもややこしい言い方をしますが、その意味の抽出にも何段階もあるのです。

例えていえば、

   私は50円しか持ってない

   ↓

   パンも買うことができない

   ↓

   お腹空いたのにどうにもならない

   ↓

   午後授業出たくない

 ちょっと時系列とかぶってしまって良い例えになりませんでしたが、分かるでしょうか。つまり直接的なことから、意味合いを純化していきます。これは重要なことで、調査(理系なら実験)しても論文にならない、というのはこの意味の純化が不得意なことに原因があるものです。

 話が下手で分かりにくい人というのは、聞き手の求める意味の階層を分からずに、話してしまいます。そうなると自分だけ意味が通じていて、他人には分からない、なぜ他人が分からないのかさえ分からないということになります。先の例えで言えば、「え~どうして午後出なかったの?」と聞かれて、「パン買えなかったの」と返事をすれば分かってもらえませんし、まして「50円しかなかったから」と言えば他人には意味不明です。極端な例えですけれども。

 というわけで、せっかくの細かいデータなのでまとめましょう。今回葉の色の変化が写真でよく分かります。葉の色は光合成の基礎になるもので、おそらく成長に先立ちますから指標として重要ですね。施肥と対比しているのはいいことです。寒さで色が変わるのもありますが施肥による違いも若干見てとれます。

 室内・室外の違いも出ています。光の違いですね。しかし(エ)以降は極端です。あまりに成長が悪い、というより全く成長していません。子葉は枯れてしまっています。いずれ枯れるものですが、この大きさでは早すぎるもので自然な現象ではありません。赤紫色といい何らかの異常があってもおかしくありません。極端に条件が悪ければ、ですけどそんなに他と条件が変わりませんし私にもまだ分かりません。いきなりペタン、と枯れれば細菌病を疑うのですが、そうでもありませんね。

 (オ)では細かい考察をしています。土壌についてよく細かく調べてみましたね。なかなか製造元のサイトまで調べることはしないものです。ココナツピートは割と最近使われ出している素材で、実は私もそのpHは知りませんでした。どのくらい水を吸収するのか、あるいは乾くと水を弾いてしまうのか、ちょっと調べてみます。世の中案外と、立派に売られているものでもダメなものがあります。ビニール傘やボールペンとか一瞬で壊れるものがあります。

 植物の根は、K+やCa++など吸収し、H+を出しますね。その通りです。しかも、実は多種多様な物質を出しています。未だその全容を解明できていません。細菌のエネルギー源になる単純な糖類・脂肪酸だけではなく、今生物学分野で流行のスモールRNA、つまり情報をもった化合物さえ含まれます。根は水や養分を吸い、というだけの単純なものではないのですね。おそらく周辺の植物や細菌も含め、盛んに「会話」をしているのでしょう。

 温室作りに着手したのは立派です。

 先に室温の話ですが、普通の木造アパートではそれほど室内室外で夜間は差がありません。鉄筋だったり、最近の建築でしっかりしたものなら、今回計測したように差があるでしょう。ちなみに今の建築は熱貫流率、換気係数、熱損失係数などを細かく規定した基準(新省エネルギー基準など)が設けられていて、いい加減なものは作れません。このような温度差があれば、まずたいがいの植物は育てられそうです。

 温室のコンセプト、より安く簡便にというのはいいですね。そうした中でも日用的にあるものをうまく利用しています。立派です。アルミホイルの危険性で敢えて付けていない、というのもよく考えました。丈夫さ、換気、水やり時の仕方、など気を使っています。この温室の効果、せっかくですから物凄く出ればいいですね!

ではまた

ラボスタッフ オガタ