東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第13回 質問と栽培の近況(理:山本実永)

2023年1月12日 (木)

第13回発表

 こんにちは。山本である。講義も始まり、期末試験やレポートが続々と発表されている今日この頃、皆さんはいかがお過ごしだろうか?さて、前回の記事で朝霧と浅漬けミックスに追肥したということを書いたが、追肥から10日後を目安に収穫するとよいというコメントと、10日間隔を目安として定期的に追肥するのがよいというコメントをいただいた。そこで、追肥に関して質問ですが、これ以降も追肥をしたほうがよいのでしょうか。前回の追肥からそろそろ10日が経ち、追肥するか収穫するかする頃合いですが、どうしたらよいでしょうか。私としては、最終発表もしくは第14回記事に合わせられるので、収穫するほうがよいかと考えております。

1 朝霧の近況
2 浅漬けミックスの近況

1 朝霧の近況

 朝霧は、ここ1週間で地に這うように株が横たわってきた。とても寒い日が続いたためだと思う。播種から86日目となる1月4日に追肥をしたが、8日が経過した12日時点では素人目には変化が分からない。ただ、なんとなく伸びたように見える。写真は一番上から順に、播種から87日目となる1月5日の朝霧を横から見た様子、同じく5日の朝霧を上から見た様子、播種から94日目となる1月12日の朝霧を横から見た様子、同じく12日の朝霧を上から見た様子である。

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そして、12日には、最初の方に出てきた本葉の内2枚がすっかりしおれている。より新しい葉の生長のために、葉緑素が分解されて枯れてしまったのだ。(前回の記事のオガタさんのコメントより)追肥をしたが、特に良くなったようには見えない。残っている本葉が育つとよいのだが...写真は、上が1月5日の朝霧のしおれた葉の様子、下が12日のしおれた葉の様子である。

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2 浅漬けミックスの近況

 浅漬けミックスは、黄緑色になっている葉がいくつかあったため、その原因を考えた。それは鉢の置き方がいつも同じであるため、日光が全く当たらないところができてしまうことだ。ここまでが、昨年の12月24日くらいの話である。そして、毎日少しずつ鉢の置き方をずらすということを実行した。しかし、目に見える形で効果は現れず、日光以外に原因がありそうである。写真上が播種から74日目となる12月24日の浅漬けミックスを上から見た様子、下が播種から94日目となる1月12日の浅漬けミックスを上から見た様子である。いずれの写真でも右側の葉の色が左のものに比べて薄い。

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また、浅漬けミックスも朝霧同様しおれている本葉が6枚ほどあり、つまんでみたところ、簡単に取れてしまった。だんだんと成長のためのリソースを新しい葉に回すように変化しているのだろう。早く収穫しないと、そのうち全部枯れてしまうかもしれない。浅漬けミックスの生育適温は15℃から25℃と、まだ耐えられそうであるが...どうなるだろうか。写真は、取れてしまった浅漬けミックスの葉である。

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第13回発表は以上である。今週末は大学入学共通テストがある。今年の問題はどうなるのだろう...(問題作成者が)去年と同じ轍を踏まないことを願う。

コメント

理学部 山本さん

育種の渡辺です。最初の写真が衝撃ですね。意図的に動かしたのか、偶然なのか。いずれ、こんな写真ははじめてです。で、追肥をするか、収穫するか。という質問ですが、これからの気温の推移と日照を例年並みと考えると、今日、明日のような気温は例外として、ほぼ一桁の最高気温で最低は0oC付近。日照時間は少しずつ長くなりますが、生長はあまり期待できないレベルだろうと。片平の植物の近況を伝えた渡辺の記事を見て頂くと、下の葉っぱは一定程度、枯れています。また、あまり生長は期待できないと思っています。なので、このタイミングで施肥をすると、青臭さが増えるだけというのが渡辺のイメージです。また、生長も前回と大きく違いがないというのも判断基準です。で、結論としては収穫をするということです。ということで、もう1名のコメント担当のラボスタッフのオガタさんのコメントは週末か、週明けです。この週末に判断するというのはどうでしょうか。

なにより10月に始まってからほぼ月に4回のペースを守ってこの講義をリードした点はniceですね。というか、最後の写真の2行の文章が気になりました。このところ、こうした試験をfollowしてないので。。。受験生でなく、作題者に・・・。あとで調べてみようと思います。それ以外については、今週末、あるいは週明けにオガタさんからのコメントが投稿される予定です。それも参考にして下さい。


わたなべしるす





山本さんこんにちは

 さあ一年の終わりで、試験やらレポートやらがどっちゃり待ち構えていると思います。嫌なことと言えばそうなんですが、これも「大学生活のイベント」だと無理矢理ポジティブに思いましょう。

 さて、教授が上でコメントしていた通り、ここは収穫でいいと思います。

 最終報告に収穫のことを載せられるのもそうですが、植物の状態的にそう思います。追肥のことは関係ありません。収穫前10日は追肥を空けるのと、定期的に追肥をするということは同じような意味のことを言っています。収穫の時期を決めるのが最初で、追肥をいつにするかは自動的にそれで決まります。

 ホウレンソウの株が横たわってきたのは、寒さ対応のためのいわゆる「ロゼット化」のためです。これはスーパーのホウレンソウでもビニールトンネルで保温したものは葉が真っすぐの普通のホウレンソウなのですが、露地もので無加温栽培のホウレンソウ、「寒締めホウレンソウ」は葉が横に寝ているはずです。

 そして形状では葉が「縮れて」「くるんと」しています。これも寒さ対応です。

 それだけなら良いのですが下葉が黄色くなってきています。それはリソースを中央に集中させる寒さ対応なのですが、困ったことに収穫する部位が減ります。なので今収穫した方がいいですね。追肥の効果はもともと篤農家でない限り分かり難いものですし、また追肥だけで緑が保てるかは、温度次第なところがあります。

 浅漬けミックスの「右の葉が黄色っぽい」という現象、光や風の環境要因でなければ、他に考えられること...... なかなか難しいですね。別個体ならば種の違い、あるいは地下部の根がすっかり飽和してしまい、根が他の株に負けてしまった株から影響を受けてしまったとも言えるのですが。

 これもまた収穫して、萎れていないうちに美味しくいただくのがいいと思います。生育適温はその日の最高気温のことではなく、平均気温のことなので今の季節は適温からだいぶ低いです(もちろん下葉は枯れても株全体は枯死しませんが)。

 最後の大学共通テストの話題、若い頃はそういった受験の試験監督官に駆り出されたものです。いやあ、受験生にとっては入試は人生を決める...... しかしま、実際それで人生決まりませんけど。

 栽培・収穫・実食含めたレギュラー記事、そして最終報告もお待ちしています。

DSC_1383.JPG いや覚悟といっても......

ラボスタッフ・オガタ