【アウトリーチ活動】仙台市立七北田小学校・特別講義「花の不思議な世界」, 米沢興譲館高等学校・SSH異分野融合サイエンス(10/15, 18追記)
2018年10月16日 (火)
仙台市内の小学校は基本、2学期制だとか。。。大学の前期と後期のようなものなのでしょうか。途中で数日、秋休みが入るというの聞いたことがあるような。大学も10月から後期がスタート。いつものように「展開ゼミ」がスタート。最初の出足を心配していますが、天気のよい日だけでなく、太陽の光を当てることは、大事なこと。室内での栽培は、容易ではないですから。。。また、10月は後期が始まることに加えて、「科学研究費」の書類書きの月でもあり。。。これを気合いと根性でgetしないと、次年度の研究を展開できないわけで。。。年々、そのシステムがシビアになるのは。。。という気がしますが。いずれ、そうした中で得た研究成果を社会に還元することも大事なこと。仙台市教育センターとのコラボでの3つ目の学校は、仙台市立七北田小学校。以前は、通年でNSPを行っていたのですが、忙しさが半端なくなってきたこともあって。今回も玄関先で、welcome boardがお出迎え。ありがとうございました。
10/15(月): 仙台市立七北田小学校・特別講義「花の不思議な世界」
講義は、5年生向けに「花の不思議な世界」。先月の北仙台小学校と同じ講義内容。リンゴをモデルに、開花、受粉、受精、結実ということの理解を。イントロを北仙台小学校とは、変えたのですが、いつもとは違うパターンだったようで。この記事を書く頃には、はて??何をしゃべったのか。。。年は隠せなくなりました。いつもイントロは、渡辺の出身の愛媛県今治市。今治タオルを使ってくれている方もたくさんいました。何かの折りに使ってみて下さい。
花の名前を考えるところ。ヒルガオということの理由を説明できるのに、ほとんど時間がかからず。これも、理科をしっかり学んで、考える習慣ができているからだと思います。「科」の分類。これも難しいと思いましたが、バラ科果樹。たくさんのものがでてきたと思います。普段からの観察を大事にして下さい。
受粉の電子顕微鏡と受粉反応の動画。高倍率のものと動きがあるというもの。さすがに感動だったようです。ただ、5年生で学習するのは、植物では、受粉まで。花粉管、受精というのは、中学生になってからのようです。受精というのは、「メダカ」で学習するとか。。。動物も、植物も新しい子孫を残すとき、「受精」が必要ですので。そんな話に続いて、リンゴの品種のことを話すのですが、どれくらい知っているか。最近は、赤いリンゴと黄色、青系のリンゴについて。真っ赤なリンゴばかり選ぶと。。。。校長先生くらいの年齢になった時、赤いリンゴが消えてしまうかも。。。そうそう、日本のリンゴは、摘果をするので、大きいですが、海外ではそんなことはできないほどの、粗放な農業。この大きなリンゴができる大事さというか、ありがたさも実感して下さい。
最後は、自家不和合性。さすがに、植物が自分と他人の花粉を識別できるというのは、驚きのようでした。では、なぜ、そんなことが必要なのか。遺伝子を混ぜること。それで多様性を保つということ。そんなことをしっかり身の回りの観察から学んで下さい。
講義の最初と終わったあとで、相澤校長先生と理科専科の先生と理科教育などについての議論を。10年くらい前にスタートした「NSP」のきっかけを作って頂いたのが、内藤校長先生の時代。また、今の教育センターとのコラボの話を頂いたのは、坂本校長先生が教育センターにおられた頃にお話しを頂き、今に至っていて。。。そんなで、長きにわたり、渡辺が来たと言うことよりも、その間、理科専科の先生を置いて、教育した効果だと思います。先日行われた、全国レベルでのテストで、理科の成績がずいぶんよかったと。やっぱり、その道のプロというか、しっかり準備して、授業をできる先生がやるというのが大事なことなのでしょうか。また、講義の翌日から、6年生は修学旅行とか。その席で、校長先生が去年の出前講義の話をして、リンゴのことなどを覚えていたと。。。ありがたいことです。また、次年度、そうした機会があれば、幸いです。最後になりましたが、相澤校長先生、理科専科の先生、5年生担任の先生をはじめ、関係の先生方にお礼申し上げます。ありがとうございました。また、次年度もお世話になる機会があれば、幸いです。
PS. 講義の最後に、リンゴの果実を切ることを。いつもなら、縦にしか切らないはずですが、横に切るということ。そんなことはしたことがないのでは。なぜなのか。。。とある歴史と関係があるとか。。。当たり前を当たり前と思わずに、やってみることです。
米沢興譲館高等学校・SSH異分野融合サイエンス(10/18)
今年度から始まった、山形県立米沢興譲館高等学校・SSH異分野融合サイエンス。今年度、7月、8月に実施。「バイオ産業科学と社会課題」というお題。1回目に、果実類を観察して、意外と気がついてないことが多いことをというか、観察することの大切さ、どこを見るのか、何を見て、考えるのか、それが何とつながっているのかなど。普段余り考えてないことを、考える機会に。2回目では、地域、世界の科学の歴史を振り返ってみるとそこに何あるのか、また、それを踏まえて、人生をどう考えるのか。ということでした。夏と秋での2つの異なる受講生にと言うことで、同じパターンの講義になりましたが、今回は、前半に当たる「アブラナ科植物における自家不和合性の基礎から応用」の部分を。用意いただいた野菜、果実が、夏から秋のものへと変化しており。。。そうそう、今週の初めの仙台市立七北田小学校が1,000回目の出前講義でしたので、今回は1,001回目。1,500回を目指して。
違いを見つけると言うことは、実は、物事を分類すると言うことからスタート。それが、分類学、形態学というの発展しただろうと思うわけです。で、用意頂いた、リンゴ、ピーマン、トマト、オクラ、ズッキーニ、メロン、イチゴ、モモ、トウガンを「科」という大きな仲間で分類。
今でこそ、DNA塩基配列で分類するわけですが、以前は、花の形態による分類。「科」の中の細かなところ、あるいは、「科」を超えたところで、どの「科」が相互に近いのかについては、確かにDNA塩基配列の方が正確なのかも知れないですが。。。ところが、この話に行く前に、キャベツと芽キャベツの違いと言うことで盛り上がって(どちらも、Brassica oleraceaで、品種改良で、それぞれが成立したのですが。。。)。。。あらかじめ、こうした野菜類の写真を用意しておかないといけないことを痛感。。。で、先の分類ですが、夏にやったグループとは、また違った発想で。。。ただ、大事にしてほしいことは、なぜ、その分類にするのか、その理由はということ。なぜ、ということを大事にすれば、考える習慣がつきますので。。。最近、そんなテレビ番組もありますので。。。そういえば、そんな話を小学校の出前講義でも話をしたなと。。。
後半は、植物の生殖、自家不和合性について。前半を2hr使ってしまったので、後半を1hrという駆け足になりましたが。。。自殖性、他殖性の違い。他殖性が重要であること、また、自殖を続けると、どうなるのかなど、今までの植物、花に対するイメージは違ったのではないでしょうか。ヨーロッパの中世のハプスブルク家の話をするのですが、1年生でも意外とたくさん知っているのは、感動でした。また、英国の陶磁器を作っている「ウェッジウッド」のことを知っている方も。意外なところで、サイエンスと接点があったりしますので。色々なことを結びつけて考えることができるようになって下さい。
最後とのところで、自家不和合性のからくりというか、種子と果実の関係を。。サクランボの時期には、外れていますが、リンゴはこれからが最盛期。そんなバラ科果樹においては、自家不和合性を有しているというのが、通常。なので、受粉樹が必要になるわけですが、そんなことをしたら、まともな果実ができるのか。雑種の果実にならないのか。。。その当たりは、教育指導要領というか、どこで何を教えるのか、難しいところですが、やっぱり、系統的に教えることの大切さを改めて。。。講義の最後には、代表の方から、今日の講義の感想とお礼の言葉を。その言葉を忘れずに、自然を観察して、違いを見つけて下さい。
最後になりましたが、実施に当たり、今崎先生、熊坂先生をはじめとする関係の先生方には、大変お世話になりました。本物を見る機会がある、米沢という環境の下で、それをどの様に実行するのか、ということの難しさを改めて、強く実感できた3hrの講義でした。ありがとうございました。次回は12月の2回目の講義になるかと思います。楽しみにしております。
わたなべしるす
PS. 学校から駅に戻る途中の畑に、アブラナ科野菜の、ブロッコリー、キャベツなど、たくさん見つけました。学校の周りを改めて、観察してみて下さい。意外に、たくさんの野菜の不思議を見つけることができますので。
PS.のPS. 次年度のSSHの計画、科学者の卵養成講座についても、意見交換の時間を頂きました。ありがとうございました。よりよい発展につながればと思いますので。何卒よろしくお願いいたします。