両性花を基軸とした植物の繁殖戦略の「挑戦性の痕跡」を
紐解くため、先端情報学をコアに異分野を連結して
生殖システムの基盤原理の理解への変革を目指します。

植物は自ら移動できないため、着生環境に合わせた可変的な繁殖戦略を見せます。その典型例が自殖(自己交雑)と他殖(他者との交雑)という真逆の生殖システムを内包する「両性花」です。それぞれの植物種は、繁殖戦略に合わせてこの自殖と他殖を目まぐるしく改変しており、その作働因子群における極端に速い進化の動態は、ゲノム配列やタンパク質立体構造に痕跡として刻まれています。本領域では、この両性花を基軸とした植物の繁殖戦略の「挑戦性の痕跡」を紐解くため、AI技術を中心とした先端情報学をコアとしてゲノム生物学、構造生物学や有機化学等の異分野を連結し、静的な植物の極めて動的な生殖システムの基盤原理の理解への変革を目指します。

詳細はこちら

代表あいさつ

「真に学際的」な交流、異分野融合アプローチの創出、そして国際的な研究動向を牽引する若手研究者の育成を目指し、多くの海外研究者を巻き込み、世界に対して研究の中心に身を置ける環境を作り上げていきたい。

植物は自身が動けないからこそ、様々な環境の中での繁殖戦略において独自の挑戦を繰り返してきました。自身のみで繁殖を可能とする「自殖」と、他との交雑を可能にする「他殖」という二つの概念を共存させ、柔軟に往来を可能とする「両性花」という存在を巡る進化に、その挑戦性が隠されています。
私たちは「挑戦的両性花原理」という領域名のもとに、いかにして植物がこの可塑的な生殖戦略を可能とし、また、それを起点とした進化を繰り広げていくのか、その原理の解明に臨 みたいと思っています。今や当たり前の存在となりつつあるゲノムと言う媒体を通じてAI技術など先端情報学を駆使し、そして近い未来にそれと融合的な新展開を見せるであろう分子動力学シミュレーション・構造予測・進化選択圧など、幅広い学際的なテクノロジーをも相乗的に巻き込むことで、この「植物の挑戦」の正体を明確な原理として定義できる時代になったと感じています。行く行くは、その原理の理解を基とした進化の再現・応用によって、植物の自由なデザインをも実現する日が来るでしょう。
この先進的な領域研究において、私たちは、特に「真に学際的」を目指した交流や、それに基づく異分野融合アプローチの創出、そして国際的な研究動向を牽引するような若手研究者の育成を目指しています。多くの海外研究者を呼び込み、研究に巻き込んでいくことで、世界に対して壁を作らず、その中心に身を置くことが出来る環境を、領域を挙げて作り上げていきたいと思っております。
本領域の5年間の取り組みに、温かいご支援をお願い申し上げます。

学術変革領域(A)「挑戦的両性花原理」領域代表

お知らせ

一覧へ

【本領域共催】Cold Spring Harbor Asia, Awaji, 国際シンポジウムを開催します(2025年5月18日~22日)
2024.12.02
2025年5月18日(日)から22日(木)の日程で...
領域代表交代のお知らせ
2024.10.10
本領域の領域代表は、10月9日付けをもって東京大学...
第2期公募研究の募集が始まりました!
2024.07.23
  当領域の令和7(2025)~令和8(2026)...

研究経過

一覧へ

【プレスリリース】植物花粉の急速な目覚めを支える巨大タンパク質の発見(藤井班)
2024.12.05
当領域の計画研究班・東京大学大学院農学生命科学研究...
【プレスリリース】ヒメツリガネゴケをモデルとしてメスの生殖器官発生を運命づける転写因子PpRKDの同定に成功(榊原班)
2024.12.04
計画研究・榊原班の立教大学 養老瑛美子助教・鈴木誠...
本領域のメンバーが令和7年度 日本育種学会【奨励賞】を受賞しました(津田班)
2024.12.04
公募研究班(津田班)の 津田 勝利 助教(国立遺伝...

記事はありません。