研究経過

【プレスリリース】日本の3地域に残る神饌赤米のルーツを解明 ――神事とともに受け継がれてきたイネの遺伝的起源――(井澤班)

October 7, 2026 3:42 PM

Category:プレスリリース, 論文発表

main:井澤班

東京大学大学院農学生命科学研究科の三村真生助教、井澤毅教授と、國學院大學大学院文学研究科の相川七瀬特別研究生らによる研究グループは、日本の3地域で神事用として古来より受け継がれてきた神饌赤米の全ゲノムを解読し、その遺伝的特徴を明らかにしました。
本研究では、日本の岡山県総社市、長崎県対馬市、鹿児島県南種子町の神社に伝わる神饌赤米を対象に全ゲノム解析を行い、その遺伝的な特徴を調べました。その結果、地理的に離れた地域で維持されてきた神饌赤米はいずれも温帯ジャポニカに分類されることがわかりました。また、赤色果皮形質に関わるRc遺伝子周辺は、機能の有無にかかわらず、ゲノム配列の多様性が大きく減っていることが明らかになりました。

文化的・宗教的慣習によって保存されてきた赤米をゲノムの視点から捉えた本研究は、日本におけるイネの栽培・伝播の歴史の理解を深め、温帯ジャポニカの起源に迫るとともに、地域に残る在来イネの遺伝的多様性を将来にわたって保全・活用するための基盤となることが期待されます。
本研究成果は、「Plant and Cell Physiology」誌に2026年9月21日付で掲載されました。

◆
詳細はこちらをご覧ください>東大HP (https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20260928-1.html)

<論文情報>
【論文タイトル】Unveiling The Origin of Sacred Red Rice Preserved in Japanese Shrines
【著者】Manaki Mimura*, Nanase Aikawa*, Tsuyoshi Mashiko and Takeshi Izawa (*は共同筆頭著者)
【doi】10.1093/pcp/pcag132

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神饌赤米

(左から本庄、新庄、対馬、南種子赤米)

植物受精卵の発生は体細胞が融合するとどうなるか?〜"Zygote-soma hybrid cell"を構成する配偶子と体細胞の比率が細胞運命を左右することが明らかに〜(井澤班)

August 25, 2026 2:20 PM

Category:論文発表

main:井澤班

東京大学農学生命科学研究科の戸田絵梨香特任研究員と井澤毅教授、東京都立大学理学部の亀川拓夢学部生(研究当時)と理学研究科の岡本龍史教授らの研究グループは、イネ受精卵発生における体細胞融合の影響について明らかにしました。

本研究では、イネ花から単離した雌雄配偶子を融合して受精卵を作出するin vitro受精系を用いて、受精卵(卵細胞×精細胞)にさらに葉由来のプロトプラストを融合することで、受精卵-体細胞融合細胞(Zygote-soma hybrid cell)を作出し、それらの発生プロファイルを解析しました。その結果、Zygote-soma hybrid cellが、それらを構成する配偶子と体細胞の比率によって、異なる発生プロファイルを示すことを明らかにしました(図)。本研究成果により、植物受精卵の発生可塑性を支える細胞動態および分子機構の解明に向けた研究の進展が期待されます。

本研究成果は、「Plant and Cell Physiology」誌に2026年7月31日付で掲載されました。

 

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図.イネ受精卵-体細胞融合細胞の作出(一例)およびその発生プロファイル

 

<発表論文>

雑誌:Plant and Cell Physiology

題名:Effects of somatic cell fusion on zygotic development in rice

著者:Erika Toda*, Takumu Kamekawa, Takeshi Izawa, Takashi Okamoto

DOI:10.1093/pcp/pcag110

URL:https://doi.org/10.1093/pcp/pcag110

Fuhrmann Aoyagi Martina Bianca博士研究員がNature PlantsのNews & Viewsを執筆(木下班)

August 20, 2026 3:14 PM

Category:論文発表

main:木下班

木下班のFuhrmann Aoyagi Martina Bianca博士研究員がNature Plants に掲載された論文に関して、同雑誌のNews&Viewsにおいて解説しました。シロイヌナズナのポリコーム複合体構成因子は中央細胞において受精が成立するまで胚乳発生を抑制しています。その協働因子が長らく不明でしたが、TIE1という転写抑制因子が見つかり、しかもその遺伝子がポリコーム複合体構成因子のMEDEA同様にゲノム刷り込みを受けていることを解説記事では紹介しています。

 

◆解説記事の日本語での紹介はこちらをご覧ください>横浜市立大学のHPへ

 

News & Views

Martina Bianca Fuhrmann-Aoyagi & Tetsu Kinoshita
TIEing down the central cell proliferation
Nature Plants 12(8):1426-1427
DOI:10.1038/s41477-026-02351-3

【プレスリリース】ダイズ種子発生のエピジェネティクス --ダイズの種子発生を支える クロマチン制御機構の一端が明らかに--(殿崎班・川勝班)

June 12, 2026 10:07 AM

Category:プレスリリース, 論文発表

main:川勝班, 殿崎班

植物を含む真核生物の核ゲノムは、遺伝子を多く含み比較的活発に働く「ユークロマチン」と、トランスポゾン(動くDNA配列)などの反復配列を多く含む「ヘテロクロマチン」と呼ばれる領域に大別されます。植物では、ヘテロクロマチンはDNAメチル化などによりエピジェネティックスに抑制されており、この抑制にはクロマチンリモデリング因子のDecreased in DNA methylation 1 (DDM1) が中心的な役割を果たしています。
 
横浜市立大学木原生物学研究所の
殿崎薫准教授、新潟大学大学院自然科学研究科博士後期課程のAhsen Gersさん、同大学農学部の深井英吾准教授、農研機構の加賀秋人グループ長、国立遺伝学研究所の豊田敦特任教授、理化学研究所バイオリソース研究センターの川勝泰二室長らの研究グループは、ダイズではDDM1がユークロマチンの遺伝子の発現制御にも関与していることを明らかにしました。

本研究成果は、2026年5月21日、英国科学誌「The Plant Journal」の電子版に掲載されました。

◆詳細はこちらをご覧ください>横浜市立大学のHPへ

 

<論文情報>

【論文タイトル】Differential regulation of heterochromatin and euchromatin by GmDDM1 during seed development ensures seedling viability in soybean.
【著者】Ahsen Gers, Kana Shiraishi, Kaoru Tonosaki, Satoru Okamoto, Akito Kaga, Ryota Kuroda, Jun-Ichi Matsuoka, Atsushi Toyoda, Taiji Kawakatsu, Chiho Maruko, Kazuki Takahashi, Keiichi Okazaki, Moeko Okada and Eigo Fukai
【doi】10.1111/tpj.70921

 

本領域メンバーが令和8年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰「若手科学者賞」を受賞しました(殿崎班)

April 9, 2026 11:53 AM

Category:受賞

main:殿崎班

公募研究班・横浜市立大学木原生物学研究所の殿崎薫准教授が、令和8年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「若手科学者賞」を受賞しました。

文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的とする科学技術分野の文部科学大臣表彰を定めています。

そのなかで若手科学者賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者個人に贈られるものです。

なお、表彰式は、令和8年4月15日に文部科学省で執り行われました。

受賞者
横浜市立大学 木原生物学研究所
(植物エピゲノム科学部門)
殿崎 薫 准教授

研究業績課題名
種の障壁を規定するゲノムインプリンティングに関する研究

 

詳しくは、下記をご確認ください。

■受賞者の決定について(文部科学省ホームページ)

■横浜市立大学HP

 

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