日本遺伝学会・第86回大会(長浜大会)のワークショップ「大量データ時 代の新しいゲノム遺伝学」(9月19日)において、矢野が招待講演「システムズ・バイオロジー研究に向けた大規模オミックス情報解析とWebデータベース
構築」を行いました。大規模オミックス情報を取り扱う上で必要となる統計手法やデータベース、機能アノテーションについて解説しました。
http://gsj3.jp/taikai/86taikai/program.html#wshop-w16
第32回日本植物細胞分子生物学会・盛岡大会において、シンポジウム「バイオインフォマティクス講習会II(2014)」をオーガナイズしました(8月22日)。配列情報や遺伝情報などの大規模オミックス情報解析手法を、実習形式を交えながら紹介しました。
http://www.knt.co.jp/ec/2014/jspcmb32/symposium.html
本シンポジウムは、本新学術領域研究との共催として開催しました。
木下班の研究成果がPNASに掲載されました。
Diana Buzasさんらの解析の結果、Cytosolic Iron-Sulfur Assembly(CIA)に関わることが知られているDRE2がシロイヌナズナのインプリント遺伝子FWAをはじめ複数の遺伝子のDNA脱メチル化に関わることが明らかになりました。DRE2は、ヒトから酵母まで保存されており、これまでにCIA経路に関わることに加えて、アポトーシスの抑制に関わること、また、N末にDNAメチル化酵素に類似のSAMドメインをもち、ストレスに応じて核移行を示すことなど、興味深い振る舞いが注目されていました。今回、シロイヌナズナのメス側生殖細胞にてDNA脱メチル化に必要なことが示されたことをきっかけに今後の展開が期待されると思われます。
関連サイト
高橋班研究分担者の長田直樹博士(写真、国立遺伝学研究所)が第86回日本遺伝学会(長浜9/17-19)におきまして奨励賞を受賞されました。受賞内容は、「ゲノム情報と進化理論の統合による進化機構の解明」 と、進化学的視点をもとにしたバイオインフォマティックスの研究成果が評価されたものです。

また、先月開催された日本進化学会第16回大阪大会(高槻8/21-24)にて、大学院生(M1)の秋山礼良さん(下写真右端)が、学生ポスター賞を受賞しました。「キイロショウジョウバエにおける体色変異と低温、乾燥耐性」に関する研究です。

アウトリーチ活動として、8月6日に首都大学東京生命科学コースにて開催された高校生向けオープンクラスの中で、高橋がショウジョウバエの形態や体色に関する実習を行いました(下写真)。

高橋記す
日本メダカの雌雄差の地理的変異の遺伝基盤を解明
雄雌で繁殖に有利な表現型が異なる場合、性差が進化することがあります。雌雄差は集団間によってその程度は大きく異なっていますが、その遺伝基盤はよく分かっていません。このたび、国立遺伝学研究室の北野潤研究室と琉球大学の山平寿智研究室の共同研究により、日本の野生メダカを用いてその遺伝基盤に迫る研究がMolecular Ecology誌にオンライン発表されました。
メダカは、オスの尻ビレがメスよりも発達していることはよく知られており、交配時にオスがメスをつかむためであると考えられています。山平研究室では沖縄のメダカの方が、青森のメダカよりも尻ビレの性差が顕著であることを見いだしていました。そこで、北野研究室ではこの集団間の違いを生み出す原因遺伝子座をマッピングし、染色体14番に強い効果のある遺伝子座を同定しました。この際に、テキサス大学のカークパトリック博士と共同で直交ルジャンドル多項式を用いる曲線の解析方法を確立しました。今後は、この遺伝的実体に迫ることで、野外の生物集団における雌雄差の変異の遺伝機構に迫ります。
Kawajiri, M., Yoshida, K., Fujimoto, S., Mokodongan, D., Ravinet, M., Kirkpatrick, M., Yamahira, K., and *Kitano, J. (2014) Ontogenetic stage-specific quantitative trait loci contribute to divergence in developmental trajectories of sexually dimorphic fins between medaka populations.
図:オス(上)の方が、メス(下)よりも長い尻ビレを持つ