東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】岩手県立盛岡第三高等学校・SSH緑丘セミナー「大学教授から見た高校生の進路選択へのアドバイス」(6/1)

2016年6月 1日 (水)

 今日から6月。クールビズでという所もあるとか。。。研究室はあまり変化がないような。。。朝からずいぶんと強風が。この時期には季節外れの寒気が入っているとか。それが原因のような気もするが、もしかしたら、昨日の第74期将棋名人戦七番勝負第5局で、挑戦者・佐藤天彦八段が4勝1敗となり、名人位に。。。挑戦者の勢いによる風なのか、羽生三冠となったことへの寂しさの風なのか。。。いずれ、20代の若手ががんばるのは、どの世界でもありがたいことなのですが、渡辺より少し下の世代がすごかった将棋界に新しい風が吹こうとしているのは事実で。。そんな風が吹く中でも、東北新幹線は遅れることもなく。。。このあたりが日本の技術力というか。。。もちろん、これ以上の強風になったら、というか、ならないことを祈りながら。というか、田植えが終わった水田が少し緑が濃くなったのを眺めながら。。。

20160601200759-b37493efbfce7e98b7fe8623ec519cff2a52df66.JPG そんな6月は、一昨年以来の岩手県立盛岡第三高等学校・SSH緑丘セミナー。1, 2年生対象のキャリア教育。講義のきっかけは、前副校長の下町先生から3年前にお願いされ、その当時は、2年生の課題研究をやっているメンバー向けに。だったのが、一昨年から一気に拡大して。。。今回統括頂いたのは、SSH担当・円井先生、進路課長・野尻先生。こうして継続頂けるのも、ありがたいことです。玄関には、welcome boardが。ありがとうございました。前回は11月開催だったように記憶しているのですが、進路選択が年々早くなっているのでしょうか。最初に、今年度赴任された山形校長先生から、渡辺の紹介。身に余るような紹介で。。。その後は、渡辺をモデルにして、小学校時代から、現在に至るまでどの様に歩んできたのか。渡辺の子供の頃にしていたいろいろなことも、あわせて紹介。その時、何を考えていたのか、どこまでチャレンジするのか。そんなことの大事さも。

20160601200818-3e0dc5bf1273f8aaa28620cc4aff2d14702cef58.JPG 小学校、中学校くらいまでは、それなりにがんばれば、何でもできたわけえですが、高校生以降は、そうはいかない。そうしたときと言うか、どうやって工夫をするか。特に、大きいのは、記憶力。覚えることをできるだけ減らして、考える工夫を。。。それが、これまでの経験を活かして、考えると言うことだった様に思うと。。。もちろん、それだけで現在があるわけではなく、繰り返して、身につけたことは、それはそれで大事で。。。「あやとり」をいつものように実例で示しましたが、繰り返してやることの大事さは、わかってもらえたのではと思います。

20160601200951-fa32894758f2d901cb801b344575b151282bf97c.JPG また、少なくとも、高校時代に考えることの基礎力を身につけさせてくれたのが「数学」の問題集。答えの数字しかなくて、あとは、自由に考える。目的地まで、最短コースで行くことももちろん、よいことかも知れないですが、そうはいかないとき、try and errorで、何とか。あと、渡辺の時代には、論理的な文章を書く時間、機会はほとんどなかった高校時代。また、今のようにパソコンがあって、これと思う文章を羅列してみて、それを入れ替えてみる。昔の原稿用紙ではそうはいかない、最初に構想力が問われるわけです。もちろん、構想力は、大事なわけですが、最初からというのは難しいので、まずは、パソコンとワープロソフトで、よい文章を構築することをトレーニングして下さいと。大学、社会人になってから、きっと、その大事さに気がつく時がきますので。

20160601201107-a38e57b0d0400f56957b842a1e67075f0b5d04ec.JPG 今回も前回同様に、保護者の方の出席が。5月の金沢泉丘高校・SSH出前講義の時にも、保護者に声をかけて頂いたようですが、実際には、参加がなかったのが、今回は、かなりの参加者がおられ、保護者と同年代か、渡辺の方が少し年をとっているのはあっても、ここまで言ってよいのかというのは、いつも考えさせられます。ただ、先日の科学者の卵養成講座でも、ずいぶん多くの保護者の方が参加されており、渡辺の講義にうなずかれていたのを拝見しながら、それでよいのかなということも。。。今日は、生徒さん、保護者の方々までの距離などの違いもあり、少しそのあたりの感覚がわかりにくい部分はありましたが、今日の講義を題材に、議論をできる素地ができあがれば。。。そんなことを思いながらの講義でした。

20160601201124-f8b75f1c62858adb82838d945d8df4f9151e5feb.JPG もちろん、大学で何を学んで、何を将来するのか。今の時代、netであったり、オープンキャンパスもある訳なので、ぜひ、自分がこれと言うことを見つけて、その師匠になる方と話をしてほしいと。渡辺の頃とは、その当たりはずいぶんちがいますので。また、物事の最後のツメの部分、その部分は何をやっても「気持ち」が勝負を決めると。そのことは、高校の部活などでも、実感できるではと思いますので。もちろん、スライドの最後は、いつもの組織論。なんとなく、納得してもらえたのではないでしょうか。

20160601201208-29a7562437f044149e3f9dd17926c8ca9776a5d6.JPG 質疑では、いろいろありました。先日の科学者の卵養成講座の続きかと思うような質問があり、びっくりでしたが、動画だけで、自殖性、他殖性などに思いが及ぶというのは、ある種の感動でした。その時に言うのを忘れていましたが、是非、渡辺の研究室で、自家不和合性の研究をして、世界を、Natureを目指しませんか。welcomeですので。また、課題研究をする上での重要なこと。何より、繰り返して実験をすること。考えることですね。グループのみんなで。何より、失敗を恐れず、色々なことにチャレンジして下さい。失敗をして、学べることがたくさんあるわけです。してなければ、わからないこと。それも多いですから。あと、高校生の時に、遺伝子の研究。もちろん、わかりますが、それより大事なこと。それは、観察力。変化に気がつくと言うことです。これはできるだけ若い頃から身につける、子供の頃から。それが大きくなって、ものを言うようになりますので。是非、今からでも大丈夫です。チャレンジして下さい。

20160601201345-97b08cca0be7b0f973ca8a1d1ce8e2e00fa6c31a.JPG そんな質疑の後は、生徒代表の方から挨拶。これからの人生、色々な決断の連続だと。。。こちらが言わないといけないことを、今回の話を聞いて、理解してもらえたのは、何よりもありがたいことでした。感動でした。がんばって下さい。あと、花束贈呈も、ありがとうございました。もちろん、最後は、最後に世界に向けて、情報発信。

20160601201028-c3742c27395f09486c45d277c3bb411e3af897ec.JPG 最後になりましたが、お世話になりました、本企画を頂きました山形校長、木村副校長先生、円井先生、野尻先生をはじめとする関係の先生方にはこの場を借りて、お礼申し上げます。ありがとうございました。講義の前後に少ない時間でしたが、議論できたのは、こちらもありがたいことでした。SSHの発展に向けて、少しでも力になれればと思いますので。今回は、1, 2年生が対象でしたので、また、再来年になるでしょうか。こうした機会があれば、伺いますので、ありがとうございました。


 わたなべしるす



ARCHIVE