【出前講義】四国中央市川滝小学校「花の不思議な世界」(2016年度ふるさと出前授業-1、6/9, 23追記)
2016年6月 9日 (木)
前日にも書いたように、2016年度ふるさと出前授業がスタート。今年度は、渡辺の学部向けの講義の関係で、6月を2回に分けて。今年度で「ふるさと出前授業」と冠を頂き、4年目。6月の最終週にも5つの小学校に伺う予定。それらの小学校からも打合せのmailなどを頂きつつある、6月2週目の木曜日。朝方は雨降りでしたが、四国中央市川滝小学校へ伺う頃には、雨も上がり、講義が始まる頃には、少し晴れ間も。その分、蒸し暑く感じるような気温に。なにより、こうしたイベント名称が決まる以前、今治市内で出前講義を始めたきっかけが、今治市立常盤小学校。そこで理科を教えておられたのが、現、四国中央市川滝小学校・校長の村上先生。当時からすでに、愛媛県教育委員会から「授業の鉄人」として認定されており、現在も、いろいろなところで、講師として招聘され、教えることの楽しさ、意義などを広く教えておられ、アウトリーチ活動を行っている渡辺にも何よりも刺激になる方です。四国中央市川滝小学校に伺うのは、昨年度は、出前講義と教員向けの講義。これで3回目となります。
講義は「花の不思議な世界」。リンゴを題材にした開花から受粉・受精・結実についての講義。最初に、村上校長先生から渡辺について身に余る紹介。。。その中に「博士」というのがあったので。「博士」になるためには、どんなことをして、博士になると、どんなものを「お免状」のようなものとしてもらえるのかを。。。では、花とは何か。渡辺には実験材料ですが、小学生のみんなには、見て楽しいもの。5つの花の写真から、何かを考えてもらう。バラ、ヒルガオ、コスモスなど、よく考えてわかったなと。。。さらに、それぞれが、どんな分類群か。5, 6年生は去年の講義で「ヘチマの仲間」を講義して、ウリ科を覚えてもらったので。。。バラ科、ヒルガオ科、キク科。学校の帰り道で、同じような形をしているもの、見つけてください。
次は、受粉の所。電子顕微鏡の写真を見てもらい、花粉表面に模様があったり、花粉管がでるところの裂け目があるのを。実際の動画を見るのは、感動だったようですね。花粉管伸長も。もちろん、こんなイベントを学ぶのは、中学校、高校。でも、毎日見かける花の雌しべの上では、こんなことが起きているわけです。そんな不思議なが起きているのだなと。道草で、その不思議を感じながら、是非に。。。時間の配分を少々誤ってと言うか、寄り道をしすぎて、ここで中休み。
教室の後ろテーブルには、スポンジにいろいろな種を播種したものが。マメは、ずいぶん生長していました。おまけに今日、勉強している「花」も。ぜひ、このまま、栽培を続けてほしいと。あと、水だけで栽培し、少し日照不足なのでだと思いますが、退緑気味。。。ウィルスのモザイク症状ではないと思いましたが、。。あと、気にしていたのは「カビ」。植物に感染するカビがヒト、動物に感染するのか。。。少なくとも、渡辺は知りません。タバコモザイクウィルスが、ヒトに。。。どんなことになるのか、考えられないですし。。。また、そんな植物を見つけたら、さわると、別の植物に感染することも。いたずらはよくないですが、農作物が、いかに管理されているかも、わかった休み時間に。
花粉発芽、花粉管伸長の動画と電顕写真の関連性をちょっと説明したあと、リンゴの蕾の開花から結実まで。小さなリンゴの果実はとてもリンゴに見えない訳です。でも、リンゴがバラ科というのを最初に分類群で学んだので、ビワ、サクランボに似ていることから、そこの理解もすっきり。では、リンゴはなぜ、赤くなるのか。また、リンゴの中の種子は何ためにあるのか。リンゴそのものは、種子を拡散してほしいと。子孫繁栄のために。空きになると「泥棒草」と子供の頃いっていましたが、キク科の種子。これもいろいろなところに拡散する工夫。是非、秋になったら、観察してみてください。
そのあと、リンゴが持つ「自家不和合性」の性質。何で、こんなものがあるのか。動画で、自己花粉が何もならず、非自己花粉の時は、吸水、発芽が起きる。。。ずいぶん、難しいことだったかも知れないですが、自然の中ではそんな不思議も起きているのを理解してもらえたのでは。また、リンゴの名前は知らないけど、ミカンの名前はたくさんわかる理由も。。。最後は、リンゴのどこに花が咲いていたのか。。。ぎりぎりと言うより、少しover気味に講義は終わり。。。お礼の言葉のあと、帰り道で、渡辺にサインをという方も。。。忘れていたのは、世界に向けての情報発信。やっぱり、まだまだ、修行が足りないです。。。
4時間目、特別枠で村上校長先生と一緒に栽培しているウリ科のスイカ、ズッキーニ、キュウリ、ゴーヤを使って、交配の実験。こんな風にしてできるというのは、先日の愛媛県立西条農業高等学校でも。朝方の雨降りがありましたが、今朝咲いたようなよい花を見つけて、また、雑種を作ってみようという試み。これからどうなるか、しっかり観察してみてください。きっとおもしろいことがわかりますので。もちろん、曲がったキュウリとまっすぐなキュウリの違いも。楽しいことがわかると思いますので。
最後になりましたが、四国中央市川滝小学校・村上校長先生、5, 6年生の担任の先生方をはじめとする関係の先生方に、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。今後ともよりよい連携ができればと思います。よろしくお願いいたします。また、本企画の立案・計画を取り仕切って頂いた今治市立吹揚小学校・高橋校長先生、おかげさまで、今年度も順調なスタートを切ることができました。次回は、今月末の週になりますが、今年度もよろしくお願いいたします。新しい子供たちに講義できることを楽しみにしております。
わたなべしるす
PS. この記事を書いている時、すでに、四国中央市川滝小学校のHPには、渡辺が講義を行ったことがuploadされていて。光速対応に感動です。こうした点も学ばないと。。
PS.のPS. 学校の中には、子供たちが興味を引くようないろいろな仕掛けが。。今年も感動でした。クイズ形式になった理科のいろいろなものの展示。クイズ以外のものも見たくなります。算数のドリルは、何回も繰り返してやることが大事。そんなところには、niceなキャラクターが「算数はかせ」という横断幕を持って。。。小学校の頃、こうしたプリントをやるのが苦手で。。。学校の帰り道に友達と工夫しながら、やっていたのを思い出しました。
PS.のPS.のPS. 今回も校長室の中で、たくさんの次なる仕掛けを拝見。ちょっとした工夫で「シャボン玉」が割れないと。。。渡辺が普段実験で使っているような、そんなもので。。というもので。感動でした。忘れないように、lab.にもどったら、やってみようと。また、「師」たり得たるものとは。。。というような掛け軸も。その場では、すぐに理解できなかったで、これももどってからの宿題に。
PS.のPS.のPS.のPS. 四国中央市川滝小学校の最寄り駅はJR四国の川之江。紙の町であり、名水があることから清酒製造も有名。そんなJR四国の川之江からの帰り道は、新しくペイントされた電車。四国では有名な「アンパンマン列車」。ここまで来れば、さすがだなというか、仙台で見かける新幹線もすごいですが、これも別の感動を。。こんなことがあるのも、この講義の楽しみになるのでした。
PS.のPS.のPS.のPS. 6/23(木), 13:40. 出前講義の最後のところで、ウリ科の交雑実験を行った結果を村上校長先生からmailで連絡が。まず、(1) キュウリ(♀) x ズッキーニ(♂)の場合。立派に結実。収穫できそうなくらいだと。。。これには仕掛けが。。最近のキュウリは、品種改良で単為結果性、つまり、花粉をつけなくても果実肥大が起きる品種が好まれています。ハウス栽培などで、訪花昆虫を用意することがたいへんなので。ウリ科ではないですが、トマトの場合は、植物ホルモンのトマトトーンを使うこともあるようです。一方、(2) ゴーヤ(♀) x ズッキーニ(♂)の場合。結実せず、しおれて枯れてしまったと。。。ゴーヤも同じウリ科なので、単為結果性がないことはないのですが、キュウリほど強くないので。この場合は、種の障壁を越えることができず。。。と言うことだと思います。(3) ズッキーニ(♀) x ズッキーニ(♂)で、3つある柱頭の先端を1, 2, 3個と切除した場合。雌しべの先端は、花粉管侵入が起きる大事な場所。と言うことで、そこを切除したあと、袋掛けをしなかったのが、失敗。梅雨の時期に入り、長雨で病原菌などが侵入したことによる枯死だと思います。また、写真など頂きましたら、このHPに紹介しますので。