東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【アウトリーチ活動】福島県立白河実業高・特別講義(9/5)

2019年9月 5日 (木)

 台風13号が猛烈な勢力を保って、先島諸島を通過とか。最大瞬間風速61.2m/s。。どれくらいなのだろうか。時速に直すと、220km/h。新幹線が目の前を通過するようなものなのか。。いずれ、すごいことなのだろうと。仙台で見える雲も少し空きらしくなって。このまま、秋の交配シーズンになってくれると。。。と言う一方で、9月になったと言うことは、いわゆる、「科○費」の公募が始まったと言うこと。。。また、頭を抱える日々が続きそうで。


 9/5(木):福島県立白河実業高等学校・特別講義「高等植物における生殖・受粉反応」

 福島県では、4つ目に伺う農業高校がある学校(相馬農高岩瀬農高ふたば未来学園高;ふたば未来学園高は、総合学科になっていますが、母体は双葉農高ということで。)である、白河実業高へ。工業科、農業科、商業科(現在の名称は異なりますが、こう書いた方が、一般的で分かりやすいことで、お許しを。。。)。新白河駅から車で10minくらいでしょうか。1学年に1クラスの農業科とはいえ、ガラス室での蔬菜、花卉の栽培、果樹園、などもあり、現場を普段ゆっくり見ることができない渡辺には、刺激が多いところ。リンゴの果樹園で果皮が色づき始めているのをまじまじと見ることで、なるほどと言うことも。

20190905170140-15fc30b59e9d7a04558a2c70c9053311183d140d.JPG20190905170342-0078825861378bd1c9df98ecfb5738cd4568b9c4.JPG 講義を競って頂いた先生に無理をお願いして、1, 2年生合同で。前半を座学の講義。後半を畑での実習に。農業生産の多くが、果実、種子生産。そこに関わるのが、媒介昆虫。では、それがいなくなったら。。。実際、欧米ではある種の農薬とミツバチの関係が議論されていたり。。。事実はどういうことかを考えることが大事だと。また、受粉の時に、多様性を持たせるために、他家受粉を促進するための自家不和合性。その自家不和合性の巧妙さを利用したのが、アブラナ科作物の品種改良。授業で聞いたような話もあれば、はじめてのこともあったかと。いずれ、2年生になると課題研究をやることになるので、そんなことの基礎としてほしいと。

20190905170153-d0492b0b68733a7ab6f12c3f50c5cf9baa6bdeec.JPG 後半は畑での観察実習。畑のわきには、年末に出荷される「シクラメン」が今から準備。と言うか、小さな苗を考えると、もっと前になるわけですが。今から年末に備える、1.5年前から。ということは、普段のわれわれの研究でも大事な姿勢だと。数ヶ月先を見越して、今、何をやっておくべきなのか。こちらが考えさせられた時間でした。そのシクラメンがあるガラス室の前のリンゴの果樹園で、最初の実習。リンゴが赤くなるのは??、と言うか、どこが赤くなっているのか。葉取らずリンゴというのがあるけど、なるほどというのは、実物を見ると、葉っぱが影になって、赤くなってない。これも本物の力。もう1つは、アオイ科のオクラ。「三つ葉葵」といえば、有名な家紋。そんなこととちょっとした普段の習慣が関係していると。そんな風に、学校の中の畑などの自然を見るだけでも、おもしろい実験ができるのでは。是非、課題研究等で取り組んでみて下さい。おもしろい結果が出ると思います。何よりも、リンゴの果樹園がなければ、そんな実験をやりたくてもできないですから。。。

20190905170120-d48061d425e834d7d7dfa3f1a5458b74c948e3f2.JPG20190905170234-c7f60ec488d04380c40b54ac93f082cddc557345.JPG20190905170310-d453037bb9595331b076ccc1447a3ae218270be9.JPG 最後になりましたが、富樫校長先生は出張と言うことでお目にかかることができずと言うのが残念でした。岡部教頭先生をはじめ、関係の先生方に、この場を借りてお礼申し上げます。また、出前講義ができるのを楽しみにしております。


 わたなべしるす

 PS. 講義のリクエストを頂いたのは、岡部教頭先生。岩手大に勤務していた頃、農業高校の先生方が、先端研修と言うことで、1年、半年などの研修に来られていました。その最後に来られたのが、岡部先生。講義の前後に、岩手大の時の学生さんの話、実験の話など、覚えて頂いており、こちらも感謝でした。不思議なご縁をこれからもと思いますので。ありがとうございました。



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