【研究成果】鹿児島県屋久島におけるハマダイコンの遺伝的多様性を自家不和合性遺伝子で評価「Genes Genet. Syst.」(7/7, 26, 11/17追記)
2021年7月 7日 (水)
自家不和合性の研究を始めたのは1987年。学部4年生の時。それ以降、基本、自家不和合性の分子機構の解明をしてきたわけですが、大学院修士課程1年の5月だったと思います。留学生として韓国から来たNouさんの実験を支援すると言うことで、日向先生と山形県へアブラナのサンプリング。Nouさんはその個体からS対立遺伝子を単離し、その後の日向研、磯貝研、高山研、渡辺研の基礎となる系統を確立。その当時に、サンプリングした個体毎の位置関係等を調べておくという頭があればよかったのですが、そんなことも考えつかず。いまごろになって、自然生態系での自家不和合性遺伝子を考えることになるとは、。。。
で、思い立ったのが、一昨年。現地の方と綿密な情報交換をして、2019年秋に屋久島のハマダイコンを調査し、2020年春にサンプリングを計画。ところが、コロナ禍で出張が中止に。そんな中でも効果的だったのが、リモートでの情報交換。現地の方から情報を頂きながら、サンプリング。緊急事態宣言の中での葉、種子の収集。遺伝子解析。その時々で動ける方にhelpをしてもらいながら、また、議論をして。コロナ禍でありながら、このような形で、論文発表できたのも、共同研究頂いた方々がそれぞれの「プロ」の部分を提供頂けたからこそ。ありがとうございました。という言葉がこんなにもfitしたのも、コロナ禍があったからだろうと。で、その論文は、国際科学雑誌「Genes Genet. Syst.」に掲載(Fukushima et al. (2021) Spatiogenetic characterization of S receptor kinase (SRK) alleles in naturalized populations of Raphanus sativus L. var. raphanistroides on Yakushima island. Genes Genet. Syst. 96: ***-***.)。現時点ではvolumeは分かっていますが、最終的なpageが不明なearly publishingの状態。pdfはfree downloadですので、是非ご覧下さい。
今回の研究は、宮城県仙台第一高等学校、屋久島環境文化研修センター、順天大学(韓国)、(株)トーホク、東京大学、三重大学、大阪教育大学との国際共同研究であり、コロナ禍での多くの方々の協力の下、自然界での自家不和合性遺伝子の多様性、分布などを解明することができました。これまでとは少し毛色の違う自家不和合性研究ですが、このことを基礎として、研究を発展させることができればと思っております。
わたなべしるす
PS. 14:00に、大学HPのtop、研究科HPのtopにも記事が掲載されました。
PS.のPS. 7/26(月) 河北新報に関連記事が掲載されました。
PS.のPS.のPS. ページ番号がつき、Final versionになりました。こちらからどうぞ。
Kazuki Fukushima, Toko Kanomata, Aoi Kon, Hiromi Masuko-Suzuki, Kana Ito, Sadayoshi Ogata, Yoshinobu Takada, Yukihiro Komatsubara, Tsuyoshi Nakamura, Takumi Watanabe, Saori Koizumi, Hitoshi Sanuki, Jong-In Park, Satoshi Niikura, Keita Suwabe, Sota Fujii, Kohji Murase, Seiji Takayama, Go Suzuki, Masao Watanabe (2021) Spatiogenetic characterization of S receptor kinase (SRK) alleles in naturalized populations of Raphanus sativus L. var. raphanistroides on Yakushima island. Genes & Genetic Systems., 96; 129-139.