福島県立福島高等学校第2学年、安斎 公記(あんざい・まさき)です。ここでは第3回「探求型『科学者の卵養成講座』」を受講したご報告の3番目の記事を書かせて頂きます。第2章からの続きです。
4.プロジェクト④「土壌放射能の定量測定」"Quantitative Measurement of Radio Activity in Soil"
昼の休憩を挟み、午後の部最初の発表は、土壌放射線量を測定し、農業の安全性について研究したプロジェクトでした。私の所属する福島高校でも放射線量測定の活動を行なっている研究班があるので、馴染み深い活動報告でした。
事実、土壌放射線の不安から、福島や東北の農業が風評被害を受けており、今でもその払拭に向けた活動が各所で続けられています。数値で示されておいそれと取り除かれるものではないと思いますが、「間違い無く安全だ」と言える証拠として、科学の揺るぎなさを有効に使えるのだなと改めて感じました。
5.プロジェクト⑤「津波災害の緩和について考えよう」"Let's think about tsunami disaster mitigation"
続いての発表は、津波についてのプロジェクト。この講座が開かれている東北大学がある仙台市も、東日本大震災のときには甚大な津波被害を受けました。当時の私もニュースで目にし、映し出された光景が信じられなかった記憶があります。このプロジェクトは同じく甚大な津波被害を受けた岩手県釜石市と仙台市を比較し、東日本大震災発生前の状況から今後の津波被害を緩和する方策を立てるものでした。
掴みづらい心理的状況を模式図で表したり、二項対立的な論理を展開していたりと、工夫が凝らされていて、筋道が分かりやすく、自分の論理展開にも取り入れたいと感じました。
6.プロジェクト⑥「暗室下のコメのタンパク質合成」"Protein production of rice under dark condition"
次の発表は、災害をテーマにした前の二つのプロジェクトとは変わって、「『植物分子農場』(plant molecular farming)を医療タンパク質やインスリンのような化学物質の有用物質生産方法として利用する」というものでした。
ここまで打ち込んで、そもそも「植物分子農場」が何か分かっていないことに気付き、気になったので、インターネットで調べてみることにしました。しかし、「植物分子農場」という言葉がそのまま登場する検索結果は海外、それも台湾のものばかりでした。私の検索能力が乏しいのか、それともこの研究が台湾発のものであったり、台湾の政府が特に力を入れていたりするものなのか、いずれにせよ、翻訳機能を使いそのうちの一つを読んでみると、「植物分子農場」とは、植物の遺伝子工学技術を利用してタンパク質や化合物を合成するもので、外来タンパク質を生産するための従来と比較して安全なシステムとして期待されているものです。
さて、その「植物分子農場」を利用する上で重要な光について、安定させて照射するにエネルギーが熱としても放射されてしまう機械を用いなければならず、温度調節も必要になり、コストがかなりかかってしまいます。そこで、暗いところでは植物がどうタンパク質を生産するのかを調べ、この問題の解決を図る、というものでした。
海外で行われている研究(この研究分野の背景にとことん精通しているわけではないので実際のところが確かではありませんが)から、自分たちの発想で研究を発展させているところが、自分の研究姿勢にも必要であるなと感じました。
まだまだ発表は続きますが、このまま行くとまた記事が長くなりそうなので、次回に続けたいと思います。続編をお待ちください!
安斎 公記
投稿者:福島県立福島高等学校