一関第一高等学校 1年 藤原夏菜香です。
第8回の講座では、佐貫先生からILCを理解するための基礎的な素粒子の知識を教えていただきました。岩手県に住んでいるおかげで何度も素粒子の話を聞く機会はあったのにも関わらず、知識を自分のものに出来ていなかったことを痛感しました。
「空間の性質によって重さが変わって見える」という考え方をつかったヒッグス粒子のはたらきの説明が印象的でした。どうして空間の性質と重さの関係なんてことに目が行くんでしょう。まさに目から鱗です。
さて、私たちの学校の1学年は全員がグループに分かれ、ILCに関する課題研究を行っていました。時間が限られていてとても中途半端になってしまったのですが、なかなかに楽しかったのでこちらに書かせていただきます。
私のグループでは、ILCの運転で発生する排熱の利用について研究を行いました。蓄熱方法を調べているときにハスクレイという蓄熱材の存在を知りました。見た目はマシュマロのよう。水の吸脱着で蓄熱を行うそうです。調べていくうちにこれがILCの排熱利用への活用を期待されていることを知り、ひとまずハスクレイを使った排熱利用について考えることにしました。
ハスクレイの基本データ
・1000円/kg
・1kgで0.9MJの蓄熱が可能
・1200回使用しても蓄熱量は4%しか低下しない(繰り返し使用可
私たちのグループで出た排熱利用案は「温泉を沸かす」こと。ですが、日常に還元出来たほうがありがたいので、ひとまず各家庭のお風呂を沸かす時にかかるコストの検証をしました。
お風呂の定義
・250Lのお湯が必要
・26℃から43℃まで上昇させる
計算
お風呂を上記の条件で沸かす際の熱量
250×(43-26)=4250(kcal)
=17782kJ
※1cal=4.184J
ロスを10%とみて19560kJ(5.5kwh)
電気で沸かす場合
22(円)/1(kwh)
22×5.5=121円
ハスクレイで沸かす場合
19560kJ÷0.9MJ=22
より1回沸かすのに22kgのハスクレイが必要
22000(円)÷121(円)=約182
したがって182回使用すれば元が取れますが、22kgも毎回各家庭に運ぶのは非効率的ですね。校内発表ではここまでしか計算できなかったので温泉施設を作る場合についても計算してみます。
計算
湯量 160L/日・人
一日に来る人数 300人(少々多い気がしますが友人の助言より引用します)
160×300=48,000(L)
48,000×(43-26)=816,000(kcal)
816,000(kcal)=3,414,144(kJ)
3,414,144(kJ)÷0.9(MJ)=約3793
したがって3793kgのハスクレイがあれば沸かせます。
こうして見るとやはり運送コストが課題のように感じます。しかし、上記はあくまで素人計算の結果なので、もしかしたらもう少し効率がよいのやも知れません。
きっとまだ、ILCは様々な活用方法を秘めているはずです。コストの面で建設が危うくなっているILCに少しでも希望の光がさすことを願うばかりです。
投稿者:岩手県立一関第一高等学校