群馬県立中央中等教育学校4年の栁澤日和梨です。今日は朝からドキドキでした。
私はいつも「今日の講座はどのようなことをするのかな」と想像してから来ています。午前のメニューは「サイエンスチャレンジ」いったい何をするのだろう。私は心を躍らせながらキャンパス内を歩きました。
そんなサイエンスチャレンジでは、グループのチームワークが試されるゲームを行いました。割り箸2膳、モール30本のみを使って、4個のピンポン球が乗るタワーを作る、というものです。タワーにのったピンポン球の1番低いところと机の間の高さをグループごとに競いました。グループのみんなでモールをねじったりピンポン球の土台を作ったり、楽しみながら協力して行うことができました。私たちのグループの記録は、残念ながら上位3位以内に入ることはできませんでしたが、おもしろいタワーができたので、独創性、芸術性においてはピカイチだったと自負しています。
午後は大関真之先生によるご講義「量子アニーリングと未来の情報科学」でした。講義の始まりは、大関先生が高校生時代に制作されたというコンピュータ映像からでした。高校生の頃から素晴らしい才能を発揮され、現在も多岐にわたって活躍される大関先生のご講義を聴講でき、貴重な体験となりました。
さて、講義のタイトルにある「量子アニーリング」とは、たくさんある選択肢の中から最適な選択肢を選ぶ(「最適化」といいます)問題を高速で解く計算技術のことをいいます。これは様々な分野での活用が期待されています。例えば、津波等災害時のとき、どのようなルートで行けば渋滞を回避して津波等から逃げられるか、ということがわかる避難システムとして量子アニーリングが活用されています。他にも、AGV(無人搬送車)が衝突を避けるような最適な経路選択などにも役立っています。
また、講義の途中で大関先生は、カナダのD-Wave System という企業の量子アニーリングマシンを実際に使うところを、スクリーンに映してくださいました。スクリーンには、丸がずらりと並んだものが映されました。この一つ一つが「量子ビット」という、量子(とても小さな物質やエネルギーの単位)情報の最小単位です。これに、「修学旅行の行き先、北海道と沖縄のどちらか選べるならどっちにする?」という問題を埋め込みました。すると量子アニーリングマシンはとてつもない速さでこの問題を「最適化」しました。これを見て、量子アニーリングが本当にすごいということを体感できました。
身近なところで、「最適化」するべきことはたくさんあると思うので、普段からいろいろなところに目を向けるようにしたいです。
次に、伊藤幸博先生によるご講義がありました。タイトルは、「DNAと遺伝子組換え植物」でした。伊藤先生は、ところどころにドラえもんのネタを挟んで講義を進めてくださったので、イメージがしやすくとてもわかりやすかったです。
私が最も印象に残ったのは、アグロバクテリウムについてです。これは土の中にすんでいるバクテリアで、植物に感染したときに自分の遺伝子の一部を植物の中に組み込みます。この遺伝子には2種類あります。1つめは、植物ホルモンをつくる遺伝子です。この遺伝子によって、アグロバクテリウムに感染された植物細胞は植物細胞をつくり、分裂して増えこぶになります。2つめは、アミノ酸の仲間をつくる遺伝子です。こぶの中でこのアミノ酸の仲間がつくられます。アグロバクテリウムはこれを分解する遺伝子をもち、栄養として利用することができます。しかし植物はこれを栄養にすることができません。つまりこのアミノ酸の仲間はアグロバクテリウム専用の栄養分となります。伊藤先生が、アグロバクテリウムは頭がいいとおっしゃっていましたが、本当にその通りだと思いました。
また、サツマイモが自然にできた遺伝子組換え作物だということにも驚きました。これにはあのアグロバクテリウム遺伝子が存在していて、これが発現することでサツマイモとなります。遺伝子組換え食品を食べることに今まで少し抵抗がありましたが、普段から自分が何気なく食べているものにもあって、もっと遺伝子組換えについて知りたいと思うようになりました。
今日の講座では、今まで自分が学んできたことがたくさん出てきました。数学、物理、生物など、学習したことがきちんと身についていなければならないということがよくわかったので、これからもっとしっかり勉強しようと思いました。
帰りの新幹線の発車時刻まで少し時間があったので、仙台七夕まつりを見てきました。初めて行ったのですが、想像以上に迫力があり、またその美しさは写真で収めきれないほどでした。来年も行きたいです。

投稿者:群馬県立中央中等教育学校