みなさん、こんにちは。仙台市立仙台青陵中等教育学校5年の星野鈴佳です。今日3月14日、実は「一般相対性理論」を提唱したアインシュタインの誕生日なんだそうです。それから、3.14にちなんで、円周率の日でもあるそうです。何だかロマンを感じる一日ですね。
さて、今日投稿したのは、今までの卵での学びを通して感じたことをお話ししたいと思ったからです。ということで今回は、特に研究発展コースでのことについて書いていこうと思います。
私は昨年の11月から、医学系研究科病態病理学分野で実習をさせて頂きました。初めのうちは慣れない環境ということもあり、本当に緊張していて、TAの方に「どうしてそんなにオドオドしながら歩いてるの~」と笑われてしまったこともありました(自分ではそんなつもりはなかったのですが...)。そして、失敗の連続で空回りばかりでした。最初のうちに取り組んだ細胞培養も、なかなか手順を覚えることができず、教えて頂いてばかりでした。言われたからやる、自分で考えてできない、そんな自分に嫌気がさして、できることは自分でやろう、次に何があるのか頭で考えていこうと思えるようになったのは中盤になってからでした。実習に2か月以上参加した今でも、全てを自分でできるようになれた訳ではありませんが、「次はこれをしますか」と先回りして聞けるようにはなってきていたかなと思います。
ここからは、私が研究発展コースで一番印象に残ったことについて書いていきます。それは、「研究」というのは上手くいくことばかりではないということです。まず、実験の中でたくさん失敗してきました。入れる場所を間違えて薬剤を投与してしまう、ピペットの袋を反対側から開けてしまう(ピペットが無駄になってしまいます)、シャーレの底をピペットの先端で引っ掻いて細胞がつかなくなってしまう、というようなことは何度もありました。時には、細胞株がもとのもとからコンタミネーション(細胞以外の細菌、真菌、マイコプラズマなどの微生物によって細胞が汚染されること)していて、今までやってきた実験のデータがほとんど使えなくなってしまうこともありました。さらに、シャーレ内の写真の見た目と裏腹に、測定してグラフにするとおかしな表になってしまうと思っていたら、測定器自体の調子が悪かったということもありました。電気泳動法に取り組んだときにも、腰が痛くなりながら頑張って作業をしても、泳動すると結局上手くバンドが出ないことは何度もありました。また、結果自体はしっかり出ても、結局レポートや論文などで発表することができないものに終わることもたくさんありました。ですが、結局結果として使えなくても、次につながるものもたくさんあったと思います。例えば、抗がん剤耐性を持つ膵がん細胞にも、高濃度であれば細胞の増殖が抑えられているという結果が得られたことがあります。抗がん剤は副作用が強いので「高濃度であれば効く」というのは、実際に患者さんに投与することができないので実用が難しいです。ですが、どうしてそうなるのかについてさらに調べていくことで、また何か新しいことが分かってくるかもしれないとTAの方はおっしゃっていました。その結果自体使えないものであっても、そこから分かった小さなことや、反省を生かして次の結果が生まれて、また新たな結果が生まれて、最後に論文に載せることができたなら、そこまでにあったものは全部、確かに意味があったのだと思います。
思い出したのは、先月講義をして頂いた工学研究科の中山亨教授のお話です。2000本近いキイロキンギョソウから、何とか花の色を黄色くする酵素を発現させる遺伝子を抽出できたのにも関わらず、実際に青い花に入れてみても黄色くならない...。一筋縄ではいかない生物相手に、何度も試行錯誤を繰り返したとおっしゃっていました。講義の最後に、最終的に黄色い花を咲かせた株の写真を見せて下さったのですが、そのときは感動して思わずうるっとしました。
冒頭にも紹介しましたアインシュタインも、こんな名言を残しています。「間違いを犯したことのない人というのは、何も新しいことをしていない人のことだ」 間違いや失敗を恐れずに、少しずつ見方を変えながらも挑戦し続けることの大切さが分かります。
研究発展コースで実習できたこの2か月と少しの間は、自分のこれまでの人生の中で一番、色々なことを学び、視野が広がり、悔しさや不甲斐なさを感じ、もっと成長したいと思い、何よりこの道を選んでよかった、これからもこの道を進んでいこうと思えた時間でした。本当にやりきれて良かったと思っています。
さて、今回のブログのタイトルでもあります「日日是好日」という言葉、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。この言葉はもともと禅語で、今の言葉で言えば「毎日いい日が続いてけっこうなことだ」となります。ですが本当は、毎日が良い日となるように努力するべきだという教えの解釈、良いこと悪いことという判断から離れて、今この時を生きることが好日につながるのだという解釈、そして好悪の判断をせずにあるがままを良しとして受け入れるべきなのだという解釈などがあるそうです。私は、この姿勢は研究にも通じているのではないかと感じました。過ぎてしまったことにいつまでもこだわったり、まだ来ぬ明日に期待したりせず、目前の現実が喜びであろうと、悲しみであろうと、ただ今、この一瞬を精一杯に生きる。得られたデータや現状を前向きに受け止め、何とかしようと模索していく姿勢こそが大切なのではないかと思いました。ちなみに、森下典子さんの『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』は一読をおすすめします!
今までで一番長文になってしまいました...。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
投稿者:仙台市立仙台青陵中等教育学校