東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

中間発表(理:福島和紀)

2016年11月12日 (土)

この展開ゼミが始まってから、これで一か月ですね。その頃とは周りの自然の様子が相当変化し、もう一か月経ってしまったのかと改めて感じます。

それでは中間発表に入りたいと思います。項目ごとにまとめていきます。


(1)中間発表までの観察で一番驚いたこと
植物を育てるというのは小学生以来であったので、じっくりと植物を観察するといった経験がほとんどなくどんな変化に対しても驚きがありました。最初の驚きは発芽の時でした。20161112093058-8452f2bb0ab87bbf7a66344a24acb7845cfa5cf4.JPG

自分の予想では、発芽のタイミングはどれもバラバラで生長の早さも違うのではないかと思っていました。しかし、実際に発芽させてみるとコマツナに関してはほとんど発芽が揃っていました。そして、これらはほぼ同じ速さで生長していきました。大きくなってからは写真で見られるようなちょっとした違いは大きな差にはならなかったように思います。

私は植物にも個性があるのではないかと考えていたので、なぜこれほど揃うのか不思議に感じました。一方でキャベツとブロッコリースプラウトはコマツナほどには揃いませんでした。

こうしたそれぞれの生長が揃ったり揃わなかったりといった違いも一つの発見だったと思います。

さらに、植物は周りの環境にとても敏感に反応することに驚きました。20161112093527-00f1694fc3cbcd0d77953737c5a40ffb8c9c12f7.JPG

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ブロッコリースプラウトを光に当て始めたときに、緑色に色が変わった時間が予想以上に早かったので植物の細胞の中で起こっている反応は素早いのだと感じました。コマツナに関しては他の受講生の方々も記事にされていたのと同じように、茎が光の方向に曲がってしまったりすることもその一つです。最初のうちは光が弱くなっている夜には茎が弱くて曲がってしまい、少し倒れ掛かっていることもありました。それでも昼に光が当たると真っすぐになっていました。次第に生長するにつれて茎も太くなり倒れることもなくなりました。また、自分のちょっとした失敗も受け入れてくれました。ある日肥料不足で子葉が黄色くなってしまいました。慌てて肥料を追加しましたが、子葉は元に戻りませんでした。しかし、他の葉の色は濃くなっていて改善されたように思います。こうした植物が持っている立ち直る力、そして何よりその変化が2~3日ほどで起こるということが驚きでした。環境に適応していかなければならない植物の能力がここに現れているように感じました。

(2)良かったと思う記事
まずは、農学部平岩さんの10月28日の記事です。植物の何気ないところにも細かく観察していて、しかもそれを言葉にし、文章として表現している点が良いと思いました。私の場合は観察した様子を書くときはとても抽象的な表現になりがちなのですが、この記事ではできるだけ具体的に様子が書かれており、書いている人がどう感じているのか伝わっていると思いました。私は見た様子をそのまま言葉にするというのが得意ではないので見習いたいと思います。そして、同じく農学部武田さんの11月3日の記事も良かったと思います。先ほどと同様に些細な変化も文章化されていて、また個体ごとの生長の違いも注目されていました。また、どの記事も章立てされ、日付別になっていて読みやすいと感じました。

(3)参考になったコメント
まず、10月12日に投稿した私の記事に対するコメント同じ日の農学部開田さんの記事に対するコメントが水やりの指標として参考になりました。水の管理の重要性と同様に土の重要性にこのとき気が付きました。実は育て始めてから水やりの加減がつかめておらず、また自分が水のやりすぎであることに気が付いていませんでした。このコメント以降、水の量を意識するようになり少しは改善したように思います。そして、11月2日に投稿した記事に対するコメント。ブロッコリースプラウトを収穫したときに個体差を実際に計測せず、見た目だけでの観察にとどまってしまっていました。より違いを明らかにするためにも、このコメントにあったような視点も取り入れることも必要であると思いました。

(4)最終発表会までの目標
これまで何度か記事にも書いてきましたが水の管理に注意すべきだと思っています。室内で育てているので雨で水が供給されることが無いので、気を抜いて水のやり忘れが無いようにしなければなりません。そして、肥料の管理も大事だと感じています。野菜が弱ってしまう前に、追肥のタイミングを逃さないよう気を付けます。このためにも野菜の小さな変化は必ず記録していきます。(2)でもすでに述べたように、今までは変化を抽象的な表現で書くことが多かったのですがこれからはより具体的な表現で変化を書いていこうと思います。そして、記事の改善もしていきたいです。(2)で挙げたもの以外にも、他の受講生の記事ではより読みやすく、分かりやすくするために章立てされているなどレイアウトが工夫されているものが多くあったのでそれを見習い、自分も良い記事になるようにしたいです。
また、最終的な目標として「一人で野菜を育てられるようになる」「動物との比較をして違いを見つける」という二つを挙げていました。「一人で野菜を育てられるようになる」というのは、自分で考えて一つ何かを成し遂げたいという思いから立てた目標です。野菜の栽培に限らず、今までは他の人にしてもらうことや決まったことをしていくことが多かったので、自分の自由な発想で行うことができるこの展開ゼミを試行錯誤して最後までやりぬきたいと思っています。もう一つ「動物との比較をして違いを見つける」というのは、自分は動物の体の仕組みに興味があるからです。植物と動物は同じ生き物ではありますが、自らの体を作り出す仕組みは異なっています。それを観察を通じて実感し、その差を考えてみたいです。現在のセメスターでは、専門科目の「植物生理学」という講義があるのでここで学んでいる知識も野菜の観察に活かすことはできないか、と考えています。


以上が中間発表です。後半も野菜を大事に見守っていきたいです。

コメント

理学部・福島さん

 遺伝の渡辺でございます。週末にかけて、こちらも学内外でイベントがあったり、ちょっとしたここにかけないような、ハプニングがあったりしたので。遅くなりました。最初の写真に限らずかもしれないですが、生活感はあってよいのですが、背景は、単色ですね。これから、気をつけてみて下さい。学生実験、卒論、その先になると、そうしたことは、重要ですから。ただ、どちらの植木ばちも、立派に育っているのは、この1ヶ月で、しっかり水管理のあり方を理解できたのではないかと思います。後半戦が楽しみですね。

 コマツナの発芽そろっている点、きれいな写真を撮影していますね。このようにそろっているのは、◎△交配となっていると思います。種袋の写真。あらためて、最初の講義の資料を見てみて下さい。これは、いわゆるF1雑種育種といって、両親がほぼ、homozygousな系統を使い、それを交雑することで、雑種1代目のF1は、均一な集団になると言うことを使っています。一方、それを自殖しても、F2で分離してしまうので、採種をしたら、形質は分離します。キャベツ、ブロッコリーも同じような育種のはずなのですが。。。もしかしたら、コマツナがB. rapa、キャベツ、ブロッコリーがB. oleraceaと言うことに関連しているのかも知れないです。種子のそろいの良さは、B. rapaの方がよいように思いますので。経験値ですが。。。

 生き物は、周りの環境の変化に対して、適応する必要があり、植物は動くことができないので、余計にそのように反応できるのだと思います。たぶんですが。子葉と本葉は、それぞれ、機能が違うというか、子葉は発芽の時に使う栄養をためてあるところ。胚乳の代わりですね。と言うか、胚乳の部分をほとんど吸収していると、言われています。なので、それは、使いっぱなしにするタンクのようなもの。それに対して、本葉は自力で光合成をして、そこに蓄積したり、場合によっては、物質を放出したり。転流という形で。そんな風に考えてみて下さい。

 文章を書くことは、よい文章を読むことから始まるとも言われています。ですので、他の受講生の方の記事を読んで、後半戦の記事作成に活かして下さい。また、こちらが書いているコメント、色々な方が書いていて、ニュアンスが違っているかもしれないですが、いずれも、たくさんの経験を持っているので、参考になるかと。最終目標の動物と植物の比較というのは、おもしろいですね。大学での講義を聴きながら、なるほど、こんな理由で、こんな形態になるのだとか、そんなことを見るのもおもしろいと思います。大きな収穫物になるのを楽しみにしております。


 わたなべしるす